姉妹の明日
「ふあー......」
「せつな、外での欠伸はどうかと思うぞ」
ごめん、白陽姫ちゃん。城でオールしていて、ログアウトしたのが朝の六時。そこから寝ずの外出。
ちょっと前までの私には想像できない生活をやっている。健康を度外視している点では悪影響なのかもしれないが私個人が楽しかったんだ。後悔はしていない。だけど......眠気だけはどうすることもできないのが人間でもある。
「何かに夢中になるのは良いことだけど、無理は良くないからな」
「はい......気をつけます」
私を注意してくれた白陽姫ちゃんだけど、梨子さん曰く私と同じで何かに夢中になっていたらしく寝ていないとか。
梨子さんの言葉を疑うわけじゃないが、信じれなかった。隈もないしシャッキとしているしどんな体の構造をしているのか気になるくらいに私の義姉はいつも通りでいた。
「完璧だな〜 私の義姉は」
「ど、ど、どうした、突然?!」
「いつも威風堂々としていてさぁ〜」
「流石に外では気が抜けないしな」
「白陽姫ちゃん......何と戦っているのよ」
「強いてあげるなら、己かな」
「何それ、カッコいい!!」
「あ、ありがとう。嬉しいよ。今までのイメージが定着しているのか外では完璧にしないといけない気がしてな」
「確かに......でもさ、私の前だけは少し気を抜いていいからね!!」
「良いもんだな、姉妹というものは......」
「私も同じだよ」
家を出て歩くこと十五分。
「おはよう、お母さん」
私は灰色の一般的な和型のお墓の前で、そう発した。今日が私の母親でもある弓永春の命日。
「せつなのお母様が亡くなられて何年になるんだ」
私と白陽姫ちゃんはお墓の掃除をしていた。私が墓石を、白陽姫ちゃんは周りにある雑草や落ち葉を取り除いていた。
「私が三歳くらいだから......もう十四年は経つのかな」
「それは、その......」
「元々、心臓が弱くて私を産むことは困難だったんだって。それでも自分たちの愛を残したいと決死の覚悟で私を産んでくれた。そこから数年は大丈夫だったけど、突然ね。だから私自身はお母さんの顔も朧げで写真の方が見ている率が高いんだ。でも、抱っこされた記憶はある。これは確かなもの......」
「そっか......」
「白陽姫ちゃんは?」
「私は......ちょっと複雑でな」
「ちゃんと聞くよ」
「実は梨子さんは......私の本当のお母さんじゃないんだ」
「............そうなの」
「私の本当の両親は、私が六歳の時に二人とも飛行機事故でね。父様の秘書をしていた梨子さんが育ての親というわけだ」
「白陽姫ちゃん......」
「私は梨子さんには感謝しても仕切れない思いがある。だから結婚を勧めたんだ」
「白陽姫ちゃんからだったんだ。それは初知り」
「最後まで自分の幸せよりも私の身の上を心配していた。まぁ、私が一喝して前に進んでくれたけど」
「それじゃあ、今の梨子さんは幸せだろうね!」
「誰にだって幸せになる権利はあるからな」
......
............
..................
お参りまで済ませてた私たち。
「お母さん、私は......今とっても幸せだよ。父さんと一緒に元気でやっているし、高校の友達とも和気藹々と青春してる。そして......新しい家族もできた。詳細は後から来るヘタレでお母さんが愛した男性にでも聞いてよ。きっと泣きじゃくって何言っているか一ミリも分からないと思うから。あっ、紹介するね。こちらが私の姉になった白陽姫ちゃんです。見てよ、この溢れる美人オーラ。まさに完璧な人って感じでしょう!」
「やめてくれ......は、恥ずかしい」
「だって本当のことだし。ほらぁ、白陽姫ちゃんも挨拶してよ」
「えっと......春さん。そちらは良い環境でしょうか」
「ちょっと白陽姫ちゃん!?」
「わ、笑うな......私が一番困っているんだ。おほん、初めましてせつなさんの姉になった弓永白陽姫と申します。安心してください、妹さんの笑顔は私が守りますから」
「なんで、結婚報告みたいになってるの」
「け、結婚!? いや、仕方がないだろう。こうでも言わないと春さんも安心できないだろうし......け、結婚......」
「また二人で来るからね!!」
「け、結婚......」
「白陽姫ちゃん?」
「ふぎゃあがばま」
「大丈夫?」
「大丈夫、今なら私は神にもなれる!!」
「そ、そうなんだ......えっと、頑張って。神就任の時は招待状を送ってね。そうだ、お姉ちゃん」
「うん!?!?!?」
「何処かにご飯、食べに行こう!!」
「............そうだな、行こうか一緒に」
陽光が続く道。
並び歩いている女性たちは笑顔も姿も美しく。
手を繋ぎながら、前へ進み出した。
◇
『グォオオオッ!!』
唸り声を上げながら神氷竜グレイスプライマルが飛翔する。翼を大きく羽ばたかせ、羽を氷に変えて下にいる人の体を貫こうとモーションに入っている。
『———ッ!!』
白い布を纏いし女がこちらに迫ってくる。人は飛ぶことができない存在。だが、白き女は当然の如く空を飛び自分の懐まで到達してくる勢いだった。
白き女から危険な香りが放つ。この女を野放ししてはいけないと羽を大きく展開し、一番外側に生えている羽根を全て投下させた。はためかせて発生した風。羽根は一枚一枚形を変え、冷気と風を纏いし氷柱が白き女へ向かう。
巨人の体であればグレイスプライマルの氷柱などさほど損傷は発生しない。だが、小さき者の体にとっては刺突されるのは明白。
「無駄だ......」
白き女は空間に手を突っ込み、女と同じかそれ以上の長さを有している太刀を取り出した。
女が持つにはあまりに不釣り合いな武器だった。黄金の刀身に持ち手は銀色。
太い柱を次々、斬っていく白き女。大振りしかできない動きに全てを斬ることはできず、柱に亀裂が生じることはなく落下していく。地面にいる小さき者は巨大な柱が地に触れたことで立つことも困難な状況。人の身で自分の懐にまで近づくのは称賛に値する。が、しかし......どんなに足掻いても小さいのに変わりない。
「この太刀は銘は『金始刀【閃】』。能力は未来視。先が見えるって言えばドラゴンでも分かるかしら?」
上を見上げれば、自分よりも空を支配している女。氷柱にのまれて落ちたとばかり思っていたが女は何もなかったかのように威風堂々と空中で立っていた。
「貴方の皮膚は硬い。流石に断つことはできなかったわ」
女の言葉と同時に自分の体中が切り刻まれた。大損傷を負い、怯みにより落下していく。翼も羽も全て裂けられ自由を失い落ちていく。
「斬るだけが攻撃ではないわね」
空を蹴り、自分に近づく白き女。
持っていた太刀は姿が消え、鎚を出現させた。柄の部分は銀色で長く伸び、打撃として機能する均一頭部は巨大だった。
本来の金槌の頭部は黒色となっているが、白き女が持っている鎚の頭部の色は煌めく青色。あまりに奇妙奇天烈な色合い。
「これでダメなら隠し球を使うか......いくよ、『破王双藍』」
力を溜めて振りかぶる。巨大な鎚を扱える筋力を女が持っている驚きと怯んでいるとはいえ、動けない自分がいた。
加速された鎚の面が腹部に直撃。甲高い打撃音と破壊力を纏わせたエネルギーも相まって、地面に叩きつけられる。
フルスイングのパワーで地面に叩きつけられた神氷竜グレイスプライマル。その影響でミサイルが落ちたかと思えないくらいの衝撃がフィールドに走る。地面が大きく揺れ、巨大な破砕音が鳴り響く。衝突したところを中心に衝撃が放射状に伝わる。衝撃波も生まれ、フィールドは割れ目や裂け目へと変わった。ヒビの中心となる衝突部分は大きい力が発生し破断線が密集。外側になるにつれてヒビが入っていたが間隔も粗く溝も深くなる。裂け目となっているヒビはギザギザのような折れ曲がったような線が入り、長さはまばら。長いものもあれば短いものもあった。
爆ぜた神氷竜グレイスプライマルがドロップした素材類は地面がクレーター状になっているので下へ滑らないと取りに行けなかった。
地面に足を付けた白き女ことクイーンは見下ろす。
「『魔魂封醒』や『X:変型機』を使わなくて......良かったわ」
「あの団長......」
「うん?」
「クイーンさん、何かあったんですか」
「それはね」
「それは......」
「私も分からない」
討伐に加わったパーティーメンバーが騒然となる。
クイーンは滑りながらニヤリと口元を上げた。
(せつな......お姉ちゃんはまだまだ新米神だけど倒したよ!!)
◆
「うわぁー......!?!?」
冷や汗が搭載されているのかと思うくらい鬼気迫るものが体に押し寄せる。
突然のことで敵モンスターとの戦闘の休憩中に自室の設置されていたベットで横になっていた私は、キングサイズのベットから飛び出し、ベランダに出た。
湖の香りと森から溢れる香りが私の心を和ます。
「大丈夫ですか? ユミナ様」
丈の長いシルクのローブを着ていたヴェルゴが私を心配してくれた。
「ごめんね、急に......」
「何かあったんですか?」
「いや......分からないんだけど......怖い感触があった気がしたんだ」
「この城に敵が」
「怖いは怖いんだけど......熱い眼差しって感じ。ごめん、私も良く分からない」
「きっと先ほど戦った擬態群蜂が影響しているんでしょう。さぁ、横になってください。少しは気が紛れますよ」
「そうするよ......」
謎の脅威に私は恐れ慄くのだった。
PN:【ユミナ】
性別:【女性】
種族:【人間】
職業:①:【星霜の女王】
②:【魔法使い】
所持金:1414213ノター
Lv:55
HP:105 杖:(+500)
MP:180 杖:(+1000)
STM (スタミナ):35 杖:(+500)
STR(筋力):30 杖:(+500)
MAT(魔法攻撃力):100 杖:(+500)装備:(+500)
DEX(器用さ):50 杖:(+500)
AGI(敏捷):30 杖:(+500)装備:(+15)
VIT(耐久力):30 杖:(+500)装備:(+100)
LUC(幸運):55 杖:(+500)
CHR(魅力):40 杖:(+500)装備:(+1400)
〜装備欄〜
頭:純白の霊奏(CHR:400)(VIT:100)
上半身:幽天深綺の魅姫【劫力白双】
下半身:幽天深綺の魅姫(MAT:500)(CHR:1000)
足:バードラン(AGI:15)
右武器:星刻の錫杖Lv.5:【ENERGY MOON】23/80
左武器:
装飾品
①:オフィの指輪:蘇生回数:0/3
〜スキル欄〜
【攻撃スキル】
・加速する弾丸→→螺旋状の乱射→螺旋回転しながらモノを投げれる。敵に触れた瞬間に周りの敵が余波で爆発する。
・スラッシュパワー→斬撃攻撃上昇。超低確率で敵を麻痺させる。
・ロック斬り→剣攻撃でのHIT数上昇。超低確率で敵にクリティカル。
・旋風蹴り→STM値依存と脚での攻撃でSTR上昇。
・ダブルスラッシュ→双剣スキル:二連撃攻撃が可能。超低確率で敵攻撃をガードできる。
・スクリュードライバー→拳、拳武器使用時にSTR値、上昇。
【状態異常スキル】
・威圧冠→敵が一定時間、怯み・速度低下状態。
・魅惑の笑顔→→魔性の微笑→高確率で敵が魅了状態。
・血祭り→恐赭の喝采→敵に対して恐怖を伝染させれる。
【パッシブスキル】
・見習いの大歩→→勝利の義勇→戦闘終了後にHPが半分・MPが15%回復。
・活力の胎動→→龍脈の中頂→戦闘終了後にHPが15%・MPが半分回復。
・魔力の流れ→→魔速の流動→MP消費が半分。
・ソウルチェーン→パーティーメンバーとの同時攻撃でクリティカルが上昇。
・ダブルアクセル→→チャージング・アクセルフォース→俊敏値と回避率が上昇。
・ホッパームーブ→ジャンプ力補正。
・初速の行進→→暴走の代償→俊敏値が大幅に強化されるが、高速移動するたびにHPが消費されていく。
・フォーカスアイズ→視野が補正される。
・諸刃の心核→一定時間、精神攻撃を受けない。
・魔法使いの右手→→魔道の右腕→右手に魔法使い装備がある時、MATの強化補正。
・魔法使いの左手
・隠者の努力→フィールドにいても一定確率で狙われにくくなる。
・死突猛延→一度だけHP1で生存できる。(LUC値依存)
・装武を備えつける→→命装武を纏いし存在→装備していない武器の攻撃力とHPを消費することで自分のSTR、VITが上昇。
・逆転の命殺
・牙城の幻影
・幸福の力→→四願の福来→CHR、LUC上昇。
・二つの絆→→二重絆→パーティーメンバーの数に依存、クリティカル率が上昇。
・艶美魔々→CHR、MP依存でMAT補正。
・好機姫幸→LUC値上昇。
・心扉開闢→パーティーメンバーのステータス上昇。
・微壁の鉄→一回だけ敵からの攻撃を無効。盾装備しないと使用不可。
・気配探知
・解析 Lv2→低確率で敵のウィークポイントが知覚できる。
・攻火炎:高
・無火炎:高
・反火炎:小→火属性の攻撃を低確率で反射する。
・攻流水:高
・無流水:小→水属性攻撃を一定確率で無効にできる。
・攻氷結:高
・無氷結:小→氷属性攻撃を一定確率で無効にできる。
・攻風:小→風属性攻撃で一定確率で上昇にできる。
・攻雷:小→雷属性攻撃で一定確率で上昇にできる。
・毒耐性:高
【その他スキル】
・ランタンの種→→光る遠隔器→三体のランプが浮遊する。(使用者のMPに依存)
・採取 Lv10
・鑑定 Lv8
〜呪文欄〜
ファイD(15)→→ファイG(20)
ウォーD(15)→→ウォーG(20)
リキッド(20)→自分を低確率で液状化になれる。
アイD(15)→→アイG(20)
ポイズD(22)→→ポイズG(24)
サンダー(15)
ハリケーン(15)
シャイン(15)
スリープ→敵に低確率で睡眠状態になる。
吸血・改(9)
吸魔・改(9)
軽壁・改(9)
強勢・改(9)
回復(10)→→回復・極(30)→HPが全快になる。
回復の雨(15)
脳天落とし(4)
眼眩し(4)→低確率で敵を目眩状態になる。
〜【星霜の女王】専用〜
スキル:星なる領域Lv.4(EM:8)
仲絆の力(EM:7)
簡易の偽月(EM:7)
煌めく流星(EM:10)
魔法:清浄なる世界へ(EM:15)
月光からの愛(EM:10)
2章終わります。ここまでお読み頂きありがとうございます。数日位お休みします。
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