表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女王さまはみんなと戯れたい ~ユニークNPCがわたしを"推す"! VRゲーム (あれ? 推してるのわたし!?)~  作者: 麻莉
シーズン4 悪魔は嗤い、被造物は踊る 【3章:再起の女王】
420/428

試合に勝っても勝負に負けた気分

「分離できるとは言え、戦闘中に何が起きるか未知数。くれぐれも気をつけて」


 ヒメノは離れる。上空には丁度、黄金の邪悪龍(ファフニール)が飛んでいる。屋根に4人いる。バルバトルの姿が見えないけど、アクイローネが何かしたな、きっと。


 脚に力を込めて、跳んだ!


「ほへぇ!?」


 刹那。雲をすり抜けた。誰もいない空の領域。


 くっ! そうか、力が制御されていない。ちょっとした跳躍でも、ドラゴン基準の跳躍になるんだ。完全に私の理解の外側だった。くっ! コントロールが難しい。身体に重力が襲いかかる。落下の一途。ドラゴンの翼を広げても、動かせない。稀代の女王(イカロス)とは根本的に動かし方が違う。稀代の女王(イカロス)は外付けの翼。ある程度、自動で空を飛び、訓練次第で自由に操れる。でも、私の背中に生えているドラゴンの翼は、生きている。人間は翼を持たない種族。翼を与えられても、元々ない器官を動かすにはイメージが必要。自分の筋肉で翼を操るイメージを......


「即興で出来ないよぉおおおお!!!!!!」


 雲目掛けて落下。体勢を変え、雲を脱出。見える景色は黄金の国。


『仕方がない』


 空中で浮いてる。翼が上手く機能している証拠。


「ドラン?」


『我の担当は、この身体を動かすこと。翼を操るなんぞ造作もない』


「ありがとう!」


『回避は我がやる。ユミナは攻撃に集中しろ』


「OK!」


 宙を蹴る。目では追えない速度。目指すは黄金の邪悪龍(ファフニール)。迎え撃つ黄金の邪悪龍(ファフニール)。拳と拳のぶつかり合い。だが、せめぎ合いも一瞬の事。押し負けたのは黄金の邪悪龍(ファフニール)。一直線に地面に激突。


「すごっ!?」


『我が邪龍程度と同類な訳あるか』


「自信たっぷりで羨ましい」


『所でユミナ。この形態の名称どうする?』


「何よ、突然?」


『お前の事だ。名を決めないと、やる気が起きんだろう。我の名のように』


「............じゃあ、【暗黒面の醜聞(ダークマター)】で」


『ふ〜ん。で、意味は』


「【暗黒物質】。今の私の気持ち。声だけが良いおじさんが私の身体に入り込んでいる。私の心は暗黒に沈んでいるわ。黒歴史よ、暴かれたくない秘密〜」


『お前なぁ〜 要は闇に関する単語って訳か。良いのか、この身体で【ダークマター】なる言葉で命名すると』


「”すると”?」


「”コイツ、アホだな”とか思われるぞ。白と黒。相容れない色同士だぞ。お前は唯でさえ、人の視線や言葉に敏感な小娘なのに」


 くっ......鋭いわね。ま、ドランの言う通りかも。私情は捨てないと。


「じゃあ、【焔妃の白桜神(アルベド)】」


「ほぉ〜」


 どうやら気に入ったみたいだ。この限定フォームの名称は【焔妃の白桜神(アルベド)】に決定!



 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


    PN:【ユミナ】:【龍神化-焔妃の白桜神(アルベド)

       職業:①:【魔導龍王】

          ②:【魔導剣士】


   〜装備欄〜

     頭:【焔妃の白桜神(アルベド)】:【ドラゴンヘルム】

   上半身:【焔妃の白桜神(アルベド)】:【ドラゴンスケイル】

   下半身:【焔妃の白桜神(アルベド)】:【ドラゴンテイル】

     足:【焔妃の白桜神(アルベド)】:【ドラゴンレッグ】


   右武器:【焔妃の白桜神(アルベド)】:【ドラゴンアーム】

   左武器:【焔妃の白桜神(アルベド)】:【ドラゴンアーム】



 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 黄金の瓦礫を退かす黄金の邪悪龍(ファフニール)。飛翔。黄金の邪悪龍(ファフニール)が真正面から突進してきた。最大火力のドラゴンブレス。ドランの操作で黄金の邪悪龍(ファフニール)の攻撃を回避。


「ハハハ!」


 私の回避地点に待ち構えていた黄金の邪悪龍(ファフニール)黄金の邪悪龍(ファフニール)は、最上級のパンチを繰り出した。


『ふん!』


「なっ!?」


 黄金の邪悪龍(ファフニール)の攻撃が私の身体をすり抜け、空を切る。黄金の邪悪龍(ファフニール)の攻撃は私に当たらない。動揺を見せる黄金の邪悪龍(ファフニール)。対照的に笑うドラン。


『この身体全体は我も操れる』


 ドランに回避を任せていたお陰で、超高速で動いたんだ。黄金の邪悪龍(ファフニール)の攻撃が私に当たる瞬間に残像に切り替えた。私単体じゃ、まだこんな挙動の回避は出来ない。


『我の攻撃だ!』


 勝手に動く腕、翼。黄金の邪悪龍(ファフニール)に肉薄し、胴体目掛けて右ストレートパンチ。

 渾身の攻撃を喰らった黄金の邪悪龍(ファフニール)は仰け反り、後退する。


「......ぐぐっ」


 思いの外の大ダメージで、黄金の邪悪龍(ファフニール)は苦しむだしていた。ドランが練った力は黄金の邪悪龍(ファフニール)の耐久を超えた質量の攻撃だったんだ。


 ってか、何しれっと主導権奪っているのよ、ドラン!?


『最後は一緒にキメるぞ』


「はいはい......行きますか!」


 右拳にドラゴンのオーラが収束する。龍族は内に秘めるオーラを攻防で扱うのに長けている。

 左拳には見知ったオーラ。密度の高い魔力だ。私は一応、魔法使いの職もやってる。渦巻く異様な煙は、魔力が外で可視化されているエフェクト。両手を前へ突き出す。異なる二種のオーラが溶け合う。一つに融合し、純白色の魔力が球体となって両拳に纏う。


 黄金の邪悪龍(ファフニール)も自身を纏う圧倒的な龍のオーラ。黄金の邪悪龍(ファフニール)の身体を優に超えた龍の塊。


 お互い身構え、足を動かした。敵の存在との距離が詰まる。


「『はああああああああああああっ!!!!!!』」


 両拳を突き出し、極大のドラゴンの塊とぶつかる。


 身体の残っている力が全て攻撃に変換されていく。強烈で膨大な質量。


 黄金の邪悪龍(ファフニール)のドラゴンの鎧は消え去る。勢いのまま、黄金の邪悪龍(ファフニール)にパンチが炸裂。黄金城に激突した黄金の邪悪龍(ファフニール)。大爆発を引き起こした。爆音、爆風が周囲を包み込み、衝撃となって広がり続ける。


『名付けて、ハイパーダブルドラゴンナックル』


「究極に......だ、ダサい」


 口を動かすのもやっと。身体が非常に重い。倦怠感が襲う。ステータスを見ると、スタミナが(ゼロ)、MPも(ゼロ)。HPなんて......ジリ貧だよ。私はゆっくり降下した。地面に着地し、座り込んでしまった。同時に【龍神化】が解けた。前に伏せる。ぐったりとしているドランと疲れMAXの私の誕生。


 変なウィンドウが表示された。えぇっとー 『一定時間、硬直状態が続きます』、か。か、身体......動かない。た、助けて〜 ()()()()()()()()()()()()()()......発情モンスターどもに見つかったら、どんな目に遭うのか、想像したくない......身体、動かない


 前方の爆煙の中から、人影が視認できた。


「どんだけタフなのよ」


 黄金の邪悪龍(ファフニール)だった。私たち以上に全身がボロボロの状態。


「ねぇ、ユミナちゃん」


 黄金の邪悪龍(ファフニール)の身体に亀裂が生じる。もう長くない証だった。


臥怒れ邪悪龍(ニーズホッグ)は......暴れてた?」


「え、アイツは己の欲求に忠実だったよ」


 ま、トドメを刺したのはキレたフェーネさんだけど。この状況で言うのは野暮だね。

 黄金の邪悪龍(ファフニール)は満足した顔を浮かべる。


「あー楽しかった! そっちは」


 黄金の邪悪龍(ファフニール)は瓦礫を壁にもたれ掛かる。


「少し思い出した......ありがとう」


 高笑いする黄金の邪悪龍(ファフニール)


「あははっ! 敵に感謝って。ユミナちゃん、その感触、忘れないでよ♡」


 黄金の邪悪龍(ファフニール)の身体に広がる亀裂。


「........................ユミナちゃんなら、私の力を正しい方向に使ってくれそう」


「”正しい方向”って......邪龍に似合わないセリフ」


「ふん。こちら側に足を踏み込むのは、いつでもウェルカムだ、か............ら」


 喜びに満ちた黄金の邪悪龍(ファフニール)は綺麗に消滅した。刹那、《ユニーククエスト:《黄金の邪悪龍(ファフニール)》の討伐》》が完了した。ファンファーレの音楽と共に黄金の邪悪龍(ファフニール)の素材が大量に落ちた。


「何よ......私の負けじゃん」


 黄金の邪悪龍(ファフニール)は自身の幸せを満たした。満足して消滅したから、黄金の邪悪龍(ファフニール)にとっては本望。試合に勝っても勝負に負けた気分。黄金の邪悪龍(ファフニール)は最後まで龍の矜持に準じていた。


「『その感触、忘れないでよ』、か......」


 心のざわつき。マイナスじゃなくてプラスの感情。その最終地点は私が再び”女王”として歩み続けることかもしれない。王を目指した理由、なんだっけ............

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ