「強くならないとダメなんだ!!! 敵を確実の滅ぼす力がっ!!! 殺す覚悟が......っ!!!」
「うん?」
「えぇ!?」
ヴァルゴとアリエスだけ結界に隔離された。魔法陣とは違う。見た事がない言語が刻まれている。結界に周りを赤文字で流れていた。ヴァルゴが結界に触れると、手は弾かれてる。同時に警告音が鳴り響く。
「な、何よこれ!?」
ウリエル・ラファエル・ガブリエル3人はヴァルゴとアリエスに近づき、結界を解こうとしていた。
「どうなっているの?」
「この結界は一定数の”悪”に反応し、対象者を覆う結界です。天使の堕天への抑制にも繋がります」
「天使は俗世の耐性が少ないから、ですか」
3人は頷く。
「ユミナ様一同は対象外にしておりました。トップからの指示で」
「じゃあ、なんで発動しているのよ!!」
笑い声。私たちを囲む様に登場した天使たち。全員武器を構えている。
ウリエルが怒る。
「オマエ達、何やっている」
「ウリエル様。我々は誇り高き天使族。そのような俗物の侵入を許す訳にはいきません」
少し偉そうな天使が喋り始める。偉そうな天使を皮切りに周りの天使が叫ぶ。
「悪魔だと」
「なんと醜い」
「穢らわしい」
「暴力の塊」
「我々の敵」
「あの聖女......呪われているぞ」
「悍ましい女だ」
「聖女なのに......悪に染まるとは」
「身体に呪いを飼うなど」
「堕ちる所まで堕ちたものだな」
星空の姫神から放たれた閃光。天使の一人。肩に命中。抑えながら落ちていく。
「どいつもこいつも......私たちに喧嘩腰じゃないと展開を進める気がないのかよ」
ゆっくり、はっきりと毒を吐いた。
怒りはある。でも、不思議だ。あの時よりも冷静で言われる。”例の事件”以降に突如私のステータスに表示された隠しパラメーターの【感情値】の影響かしら......
天使達に睨みを利かす。
「アリエス。少しだけ我慢してね............みんな、天使を皆殺しにするぞ」
どの種族にも派閥はある。ウリエル・ラファエル・ガブリエルは私たちと友好的な関係を築きたい派。私たちを囲み、暴言を吐きまくるクズどもは過激派みたいなものか......ってか俗世に耐性が弱いんじゃなかったのか。どうなっているのよ......天界のルールは!
「カプリコーン」
「構いません」
既に鞘から熾星の細剣を抜き、戦闘準備を済ませていた。
「良いのね」
「盟友に再会できた。とても喜ばしいことでしたが......私の友を侮辱したことは万死に値する。ここまで天使界が腐っているなら、私が粛清するべきかと。ご主人様、一つお願いがございます」
「言ってみな」
熾星の細剣の切先の向き。ウリエル・ラファエル・ガブリエルへ向いていた。驚く3人。だが、覚悟をした表情だった。
「3人は私が殺ります」
「良いよ、好きにしな」
振り返る。星霊たちはそれぞれ武器を展開。いつでも行ける様子だった。
「結局こうなるのか」
「結構、気に入っていたのに、天界〜」
「非常に残念だ」
「ま、友を愚弄されて黙っているほど腑抜けじゃないからな」
「アリエス。待ってなさい。天使が開発した技術。私のモノにする。そしたら完璧に治すわ」
「天使の素材か......良いモノだと良いのですが」
「何人かイキの良い者を収容しよう」
「誰が一番狩れるか競争しない〜」
天使も武器を構える。あちらさんもやる気みたいだ。
「......お嬢様」
未だ結界に囚われているヴァルゴ。
「天使を絶滅させるより、飼い慣らすのはどうですか」
「......いらない」
「どうして、ですか?」
「今の私には十分すぎるくらいに従者がいる。これ以上......欲しいとは思わない。奴隷にするにも反旗を起こす確率が高い。なら、ここで邪魔者を葬った方が効率的。この考えしかない」
「そ、そうですか」
「それに......」
上を見上げた。
「この世界に、護る価値があると思う」
私の言葉に星霊は誰も口を開く事はしなかった。
「お嬢様......私は、貴女の決定に異を唱えることはしません。貴女の選択こそ、私の道。でも、許されるなら一言、言わせてください」
悲しい顔のヴァルゴが私を見つめてきた。
「キミはそれで良いの?」
「はぁ!? どういう意味よ」
「私が見てきたキミは、どこまでも真っ直ぐで、誰かを救うために戦ってきた———それが私のユミナだ。ここで彼らを殺せば......後戻りできなくなる。だから、問う。本当にその選択は正しいの?」
身体が揺れる。
「わ、私は......」
拳を握る。
「私がやらなくちゃダメなんだ。もう......誰も、大切な人たちを失いたくない!!!」
そうだ。後悔しない選択を取らないと。私が甘い考えをしてから、失ったんだ。もっと強大な強さを、もっと誰よりも早く......敵を葬らないと......人が死ぬんだ。私の大切な人たちが.........消えてしまう。だから、私は——————
口が震えていた。でも、ハッキリと一言一句怒りを込めて叫んだ。
「強くならないとダメなんだ!!! 敵を確実の滅ぼす力がぁああ!!! 殺す覚悟がぁああ!!!」
息が荒い。言い切った時、星霊は顔を、武器を下に向けていた。
「な、なによ......皆。敵が居るんだぞ!!!! アイツらを駆逐しろぉおおお!!!!!!!!」
『ダメだよ。従者は道具じゃない』
相当焦ってる...




