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NPCがわたしを"推す"! VRMMO (あれ? 推してるのわたし!?)  作者: 麻莉
シーズン4 悪魔は嗤い、被造物は踊る 【3章:再起の女王】
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天使、降臨!

 ガラスケースを眺める私。中には宝石や鉱物が陳列されてあった。


「う〜ん」


 悩む。素材集め。中でも宝石類をスコーピオンから所望されている以上、上質で純度が高い素材を見つけないといけない。ヴェラの紹介で、会員制の宝石店にやってきて、吟味していた。


「気に入るものはありましたか? お嬢様」


「なんか、これっていう宝石がなくてね」


 街外のフィールドエリアでモンスターを討伐、鉱物採取エリアで採掘すれば早い。ドロップ品、採取アイテムの方が武具・アイテム製作にポテンシャルが高いから。でも、ヴァルゴが私を連れて外に行かないのは、察してくれている。


 店内を移動する。足が止まる。


「どうかしましたか? ご主人様」


「王冠か......」


 イミテーションの王冠が飾っていた。他にもティアラなど王族が身に付けるであろうに相応しい品々が多く目に入った。


「......外に出ようか」


 店を退出した。


 そうだ。私は王様に相応しくない。王冠を被るなんて......今の私には



 サングリエの街を歩く私たち。


「視線がいつもと違いますね」


「そうですね。なんか......同情に近いものですか」


「誰も触れなてこないのは、ありがたい」


 フレンドが教えてくれたけど、”例の事件”で聖女アシリアが死んだ事がゲーム内アナウンスで流れたらしい。その後、復活した事実もアナウンスされて、誤作動かと思われていたとか。でも、実際にインペリアル・アペクス号に乗船していたプレイヤーや多くの貴族NPCが船で起きた出来事を情報として拡散したことで、アナウンスの内容に信憑性を帯びていた。

 アシリアが復活したことを喜んだプレイヤーが多かったが、同時に目の前でアシリアを一度失った私に対しては、そっとしてくれている。

 ”例の事件”を経て、プレイヤーは改めて再確認したらしい。NPCはプレイヤーと違い、一度しかない命だと。聖女アシリアが復活できたのは、まさに奇跡。



「アイリスの所に行こう」


 隠居しているが、歴とした吸血鬼の女王だ。何かしら宝石類関連で心当たりがあるかも。ジェミニたちにも説明と報告をしないといけないし......


『貴女がユミナ様ですね』


 女性の声。第三者の声だった。辺りを見渡すが、誰かが接近してくる様子はない。


「ご主人様、上です」


 カプリコーンに言われ、上を見ると———


 純白の羽が舞う。視界を彩る。世界は祝福される。


「て、天使......」


 3人の天使が降臨した。白い翼、明るい黄色の輪っかが頭上を漂う。3人の天使、どれも女性だった。全員の翼はカプリコーンと同じ12枚。白の衣装にそれぞれを象徴するかのような色で構成されていた。髪色も赤、青、緑で個別化されていた。


 天使が地上に降り立つと同時に、私の前に透明な階段が誕生した。階段は上へ、雲を貫くまで増え続けていた。


「ハァ〜」


 ため息を吐くカプリコーン。表情から察するに、知り合いっぽい。


「ご主人様。彼女らは私と同類。最高位に位置する大天使です。紹介します、左からバカ、アホ、カスです」


「......名前にしては大胆な名だね」


 そんな天使いたっけ?


「ミカエル」


 えっと......緑色の髪だから......アホさん。明るい少女の声を発しているのに、もの凄く怒っている感じがひしひしと感じる。笑顔のまま、カプリコーンを見ている。他のバカさんとカスさんも同様だった。


「久々の再会。珍しくボケが気に入った者に興味が出てね! 同時にボケの主がどのようなお方か知りたく、地上に降り立ったのに......」


「まともな紹介もできないようだね、ボケババアは」


「本当です、ボケてるから仕方がありませんけど〜」


 中性的な声を持つ、赤髪のバカさんとゆるふわな声の持ち主、水色の髪を持つカスさん。2人もアホさんと同じ笑顔だった。作り笑顔。いつでも天から天誅攻撃を繰り出してもおかしくない勢いがあった。


 あーなるほどね。完全に理解したわ、カプリコーン含め天使美女も星霊と同じように罵倒し合う仲の良い関係なのね〜


 カプリコーンはボケという名で呼ばれていたのか...



「では、どう紹介しろと。ご主人様に覚えてもらうには、蔑称で呼んだ方が手っ取り早いです。我々は忙しいので、失礼します」


 カプリコーンに引っ張られ、その場を後にしようとする。


「星霊、アリエスを救えるとしても、失礼すると」


 私たち3人足と止めた。振り返る。


「どういう意味ですか?」


「我々天使は、完成させました———ユミナ様の持つ『清浄なる世界へ(ヴィム・エブリエント)』でも治せない呪いを治す手段を」


「来る日に備えてね」


「確実に治せます」


「本当ですか」


「はい。ただ......天界から動かせず、来ていただくしかございませんが」


 美女天使3人の言葉が本当なら......アリエスの身体が治る。なら......私が起こす行動は一つ。


「行きます、天界に」


 緑色の髪の天使が前に出る。


「改めて私はガブリエル」


「僕がウリエル」


「わたしがラファエルです。ユミナさま〜」


 バカ、アホ、カス改めて、ウリエス、ガブリエル、ラファエルと邂逅した。

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