表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
NPCがわたしを"推す"! VRMMO (あれ? 推してるのわたし!?)  作者: 麻莉
シーズン4 悪魔は嗤い、被造物は踊る 【3章:再起の女王】
392/396

暴走には、制御装置を

 思いついたスコーピオンの行動は早かった。有無を言わせず私とアシリアはスコーピオンに連れて行かれて、研究所まで戻ってきた。因みに1箇所空間が空いていた私のベットには等身大のユミナちゃん抱き枕を置きました。(直ぐ皆が食いついた)


「ハイエナかよ、アイツら」


「どちらかと言うと、鯉に近いわね」


 あー鯉ってどういう訳か餌に敏感なんだよね〜 直ぐ餌の前まで群がってくるし......


「あんな発情モンスターな連中はほっときましょう。ユミナちゃん、私がさっき言った言葉訂正するわ」


「うん?」


「また、”女王”になってもらう」


「え、で、でも......」


「正確に言えば、【自我が消滅した(ルナティック・)静かなる殺戮者(オーバーロード)】を

 制御するには星刻の錫杖がどうしても必要なのよ」


「どう言う意味?」


「元々の星刻の錫杖は人間の女の子......取り分けリリス様に認められた少女に託される代物なの」


「そうだね、クラスがそうだし」


「でも、クラスが事象を改変したことで、『星刻の錫杖は人間が装備して真価を発揮する』のではなく、『星霊基地に置かれた状態で真価が発揮される』に書き変わっていた」


「星霜の女王になるのが、嫌だった」


「私が言う事じゃないけど、歴代の星霊はギスギスしていたからね。クラスの場合、プラスして悪神まで登場したから精神が不安定。中身は普通の人間の女の子だし......」


「仕事だけの関係だったと聞いてます」


「普段は一人でなんでもこなして、どうしても一人で対処できなければ、他の星霊を巻き込んで事態を収拾する流れだったから」


「っで?」


「疑問はあったわ。基地に鎮座している星刻の錫杖の専用スキルや魔法は、明らかに装備しないと発動しない効果ばかりだと」


「一応、おかしいって気づいたんだ」


「ま、でも......リリス様が創造した能力だから、きっと意味があるのでしょうね、っと当時は結論付けたわ」


「ふ〜ん。リリス様のネームバリューの価値が高いこと」


「石化から解放されても同様の感想だったんだけど」


「私がクラスを仲間にしたから、事象改変も解けたから、改変前の記憶が戻ったのね」


「正解! お陰で長年の疑問にも説明が付いたわ。で、今回の解決策にも繋がる」


「解決策......」


「星霜の女王専用スキル:【自我が消滅した(ルナティック・)静かなる殺戮者(オーバーロード)】を制御するには、同じく専用魔法:『十三人の禁断協調(ゾディアック)』が必要となる!」



十三人の禁断協調(ゾディアック)』が必要......でも、アレは............


「ユミナちゃん。当然察しているようだけど、『十三人の禁断協調(ゾディアック)』は現在使用できない」


「何故なのですか?」


「アシリアちゃん。『十三人の禁断協調(ゾディアック)』わね、簡単に言うと、ユミナちゃんの中に星霊13人が入って戦闘する魔法よ」


「13人の星霊がユミナの中に......?」


「勿論、主導権はユミナちゃんにある。ユミナちゃんは条件達成された星霊の武器、魔法やスキルを使い放題。主導権を星霊の誰かに明け渡すことで、ユミナちゃんの身体で星霊が行動することも可能よ」


「内側から【自我が消滅した(ルナティック・)静かなる殺戮者(オーバーロード)】の支配を『十三人の禁断協調(ゾディアック)』で制圧させる、ってことね」


「ユミナの身体の主導権を【自我が消滅した(ルナティック・)静かなる殺戮者(オーバーロード)】だと危険なので、『十三人の禁断協調(ゾディアック)』でユミナの身体に入っている星霊たちが動きを封じ、身体の主導権をユミナ本人に戻させる」


「100点満点よ、アシリアちゃん!」


「よく気付いたね、スコーピオン」


「図らずもユミナちゃんベットのお陰。皆、ユミナちゃんを抱き締める為に毎日囲むでしょう」


「うん。即カラダの自由がなくなる」


「いくら【自我が消滅した(ルナティック・)静かなる殺戮者(オーバーロード)】でも、常時13人の星霊に動きを封じられれば、カラダを動かす余裕がなくなる。その隙に空いたカラダにユミナちゃん本人が戻れば、二度とカラダを操られる心配はない」


まさか、みんなと寝るために作った部屋率9割ベットが暴走フォームを克服させるヒントが隠されていたとは......世の中、何があるか分からないね~


 もしかして、暴走よりも性欲が勝るゲームなのか?

 エロは世界を救う、みたいな......深く考えないでおこう。


「なるほど、でも......どうして使えないのですか? そのような魔法があるのでしたら、ユミナの性格上多用すると思います」


「クレバーの戦い方をするユミナちゃんにはもってこいの魔法なのよ。敵からしたら、二度と戦闘したい気持ちにはならないわ。ある時はユミナちゃんの予測不可能な多彩戦闘。ある時はユミナちゃんの身体を得たヴァルゴの無慈悲な暴虐、とかね〜」


「条件があるのよ、アシリア」


「”条件ですか”?」


「うん。『十三人の禁断協調(ゾディアック)』を発動させるには、星刻の錫杖を装備するのが一つ目の条件」


「ま、これは条件と呼べるのか疑問だけど〜 元々、星刻の錫杖に封印されている魔法だし」


「別の条件とは?」


「星霊の好感度が規定数を満たし、星霊が承認すればいい。『貴女の共に戦っても大丈夫』みたいな~」


「......好感度、減る要素あります?」


「この条件もユミナちゃんなら、余裕なのよ。でも、歴代の星霜の女王は苦戦しててね! 『十三人の禁断協調(ゾディアック)』の使用履歴が片手が数えられるほど、資料が少なくて」


「基本星霊同士、不仲ですからね〜」


「不仲じゃありません〜 気に喰わないだけです〜」


「同じだと思うけど......」


「条件は二つだけですか?」


「もう一個あるわ。この条件があるから、ユミナちゃんは『十三人の禁断協調(ゾディアック)』を使用できないでいる」


「『十三人の禁断協調(ゾディアック)』が発動すると、星霊は身体が無くなり、魂だけの状態になるのよ。星霊魂は私の中に自動的に入る......遠くても近くても必ず13個の魂が私の元まで来て、吸収される」


 あることに気付いたアシリア。


「え、じゃあ......」


「アシリアちゃんにも理解できたようね。『十三人の禁断協調(ゾディアック)』を発動しても、13個の星霊魂は集まらない。だから魔法は必ず不発に終わる」


「私がオフィを倒したから......この世にオフィの魂は存在しない」


 アシリアはスコーピオンを見る。


「スコーピオンが態々、『十三人の禁断協調(ゾディアック)』を使うようにユミナに言ったという事は打開策があると?」


「もちろん! 運の良いことにオフィは今でも、存在してる」


「日記に残った残留魔力が図書館の持つ魔力活性化の効果で、存在しているだけだけど」


「ユミナちゃんには、揃えて欲しい物がある」


 私の前に画面が表示された。スコーピオンからのお使いクエストみたいな物だった。リストには私がこれから手に入れないといけない項目が記載されていた。



 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  ①黄金と宝石

  ②絶大な魔力量

  ③オフィ復活 (※手段は問わない)

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 ③は分かる。『十三人の禁断協調(ゾディアック)』に欠かせない要素だから。でも①と②は?


「”黄金と宝石”? ”絶大な魔力量”?」


「”黄金と宝石”は制御装置を造るために素材として入手してきて」


「”制御装置”?」


「ただ【自我が消滅した(ルナティック・)静かなる殺戮者(オーバーロード)】によるユミナちゃんの身体の主導権を奪っただけじゃあ、美味くない。【自我が消滅した(ルナティック・)静かなる殺戮者(オーバーロード)】が持つ、純粋な戦闘力だけをユミナちゃんに譲渡できれば、ユミナちゃんの戦闘の役に立つとは思わない」


「た、確かに......でも、可能なの? その......制御装置ってやつは」


「基本設計はある。問題だったのはユミナちゃんの情報」


「私の情報?」


「誰を対象に機能させないといけないのか装置に組み込まないと」


「じゃあ、今から身体検査する?」


「必要はない。もうゲットしてるから」


 試験管を白衣から取り出したスコーピオン。


「中身は船で私がユミナちゃんに注射したもの」


「い、いつの間に......ッ!」


「【自我が消滅した(ルナティック・)静かなる殺戮者(オーバーロード)】との戦闘中に。戦闘データとユミナちゃんのパーソナルデータをナノマシンが採取してくれてのよ」


「ま、ちゃんと活用してくれるなら、何も言わないけど......」


「ユミナちゃん情報をゲットしたから悪用は簡単に為せるけど〜 私だけのユミナちゃんドールを」


「スコーピオン、そのお話、詳しくお聞かせいただけますか」


 ちょっと......アシリアさん!!? 何を企んでる、その伊達メガネはどこから出しましたか? くぃっと、メガネを持ち上げるな......


「その試験管、破壊していい??」


 もしも私のドールが完成されたら、ナニされるか......想像しただけで碌な光景しかない。


「要は”素材集めしてきて”だね。了解。で、この”絶大な魔力量”って?」


「計算上になるけど、制御装置が完成しても、起動はしない。エネルギーが足りないのよ。なんたって常時【EM】を消費させる訳だし~ それじゃあ、装置を作る意味がなくなるからね。そこで、代わりにユミナちゃんが持つMP(魔力)を代替品として活用させ、半永久的に稼働する様にする」


 今の【EM】の上限は”500”。専用スキル・魔法を一度使う度に”50”は消費される。【自我が消滅した(ルナティック・)静かなる殺戮者(オーバーロード)】と『十三人の禁断協調(ゾディアック)』を同時に発動するなら、常時”100”ずつ減り続ける。速攻でガス欠になってしまう。

【EM】を回復させるのは簡単。でも、回復させるということは、その分敵に攻められること。必ずしも安全な場所はない。余裕を持ちたいのが本音。


「私の魔力で補うか......星刻の錫杖ボーナスで結構MPあるけど......足りないとは」


「【魔術師】程度の魔力量じゃあ、無いに等しい。ユミナちゃん、聞くところによると、【賢者】になれる素質があるみたいだね」


【賢者】か......すっかり忘れてた!?


「はい。分かりました、今以上に魔力量を増やすには上位の魔法使いになるしかない」


「③は適当に頑張って」


「最後だけ投げやり感凄いんだけど......」

自分等が考案した特注ベットが暴走フォームを克服させるヒントを発見するとは...


星霊がユミナ内部で【自我が消滅した(ルナティック・)静かなる殺戮者(オーバーロード)】を抑え込み、剥がれた身体に本人が返り咲く。自分の意思で、【自我が消滅した(ルナティック・)静かなる殺戮者(オーバーロード)】のバフが掛けられた身体を操る。

その為に、制御装置を製造。だから素材集めてきて~


超簡単に説明すると

『オラァ!! 身体返せ。でも、主が使うからスペックだけ置いてけ』




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ