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NPCがわたしを"推す"! VRMMO (あれ? 推してるのわたし!?)  作者: 麻莉
シーズン4 悪魔は嗤い、被造物は踊る 【3章:再起の女王】
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隠していた事が気付かれた

 扉が開く。


『ママ!』


 研究室に入ってきたのはアリス。頭からのダイビング。アリスを抱きしめた。


「もうぉ〜 危ないでしょう」


「ママに会いたかった」


 くぅ〜 可愛い子。流石我が子。嬉し涙が溢れてくる......っ!


「ユミナ様。申し訳ございません」


 謝罪したのはアリス専属のメイド。黒エルフのマチルダさん。


「良いよ、マチルダ。迷惑かけてごめんね」


「ママ! 最近、アリスがんばってるよ!」


「偉いね、アリス。ごめんね、ラボから出してあげれなくて」


「すこーぴおんが言ってた。”今頑張れば、ずっとママとお外で遊べる”って!!」


 マチルダと手を繋ぎ、アリスは部屋を去った。


「アリスちゃんの身体が徐々に良くなっているわ、安心して」


 アリスは既に死んでいる。兄のフォンラス・アーテン博士の手で復活を果たした。でも、かなり無茶な人体改造が施されていた。初めてスコーピオンやキャンサーの診せたら、いつ死んでもおかしくない状態だと告げられた。でも、しっかりと身体の循環が改善されれば、普通の子どもと同じに生活できると言われた。暫くアリスは治療最優先となっている。


 案内された場所。集中治療室のエリア。ガラス越しに病室が見える。私に気づいたアシリア。読書を止めて、手を振っていた。


「アシリアちゃんは問題ないわ。でも、念の為、後2日は入院ね」


 別の部屋の前で足を止めた。寝ているアリエスが見える。


「アリエスは......大丈夫?」


「五分五分かしら。日常生活レベルまでは回復したけど、いつ倒れるか分からない。魔法やスキルは当然使っちゃダメ。ましてや戦闘なんてもってのほか」


「治るよね......」


「ハッキリ言うね。絶望的よ。それだけ【呪いの(カースト)救護(ホーリー)】は危険な代物。どうしてアリエスに刻まれたのか原因は未だに不明。言い方が悪いけど、【呪いの(カースト)救護(ホーリー)】を持っていたから星霊に成れて、ユミナちゃんと出逢えた」


「私が呪いを解く」


「当ては?」


 答えれなかった。当てなんてない。でも、このまま黙って時間だけが過ぎるのは耐えれない。何かしないと......


「ユミナちゃんは数々の奇跡を起こした。或いは......」


 廊下を歩くと広い空間に辿り着いた。


「ねぇ......」


 指を指す。


「まぁ、呆れるのも当然ね」


 ドランが寛いでいた。何やってるんだ、アイツ。


「ドランは身体中が破壊されてね。修理は終わったけど、居座りを決め込んだのよ。『ここは何て快適な場所なんだぁ!!!』って」


「いつもなら、説教するけど......私のせいだし」


「ヴァルゴのバカのせいで『稀代の女王(イカロス)』も使用不可になったしね」


稀代の女王(イカロス)』は見事にぶっ壊れ、修理に時間が掛かるとタウロスに言われた。タウロスレベルの鍛冶師でも時間を有するのは、相当損傷が激しいと言うこと。『稀代の女王(イカロス)』だけじゃなくて私の装備類は船での一件で耐久値が減り続けて、あと一歩で全損状態となっていた。


 修理が終わるまでは『稀代の女王(イカロス)』は使えない。ま、仮に『稀代の女王(イカロス)』が再装着可能になっても、呼び出すためのドランが召喚に応じないから、戦闘の戦略的に支障はない。『稀代の女王(イカロス)』は使えれば良いやのレベルです..................戦闘か......



 身体を伸ばすスコーピオン。


「そろそろ寝ようかしら。ユミナちゃんの部屋で良い?」


「うん。私はOK」


 アシリアの病室の扉が勢いよく開く。いつの間にか新しい寝巻きを着ていた。


「私も一緒に寝たい」


「アシリアちゃん......う〜ん。特別よ」


「やった!」


 ボルス城に戻ってきた私たち。


「月が出てる......回復させなくて良いの?」


「大丈夫......暫く星刻の錫杖を使いたくない」




 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 ・星刻の錫杖(アストロ・ワンド)Lv.10:【ENERGY MOON】44/500


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 最近の天候は曇りが多かったから、月チャージは出来ずにいた。今日の夜は月が出ていた。三日月の形だけど、星刻の錫杖はどんな月の形でもチャージが可能になった。でも、【EM】を回復したら......また


「これは......酷い」


 先に私の寝室の扉を開けていたスコーピオン。釣られて私とアシリアも覗き込む。案の定と言いますか、分かりきっていた事実と言えば良いのか。ベットには女性たちが既に就寝していた。


「相変わらず人気ね、ユミナちゃんのベット......ハァ〜」


「ベットが人気と言うよりも、私と一緒に寝たいから先に場所取りしているだけでしょう」


「これ......寝られるスペースありますかね」


 見た感じ、空いている場所は無さそう......いや、1箇所空いてる。これ見よがしに”貴女の為に空けました”と私を誘っているかのような配置。


「謎の空間に私が入ったら、どうなるのかな」


「雁字搦めね」


「逃げることを許さず、四肢を掴む者たちに身体を弄ばれます」


「だね! 自由を失うかぁ......振り解くのに別の力を消費しそう」


「どうします。私の寝室で3人で寝ますか」


「それが妥当かな。スコーピオンも......? どうしたの?」


 振り返ると、スコーピオンが目を見開いていた。何かを閃いた目のようだった。


「私は......大バカだ」


「最高の科学者だと思うけど?」


「どうしてこんな簡単な事に気づかなかったのよ。疑わなかったわ。クラスの記憶改善が解かれて、歴代の星霜の女王は誰も【自我が消滅した(ルナティック・)静かなる殺戮者(オーバーロード)】を制御出来ていなかった。いや、わざと気付かせないために......」


 何やらブツブツ独り言を始めたスコーピオン。私とアシリアは首を傾げるしか出来なかった。


「ユミナちゃん!!」


 スコーピオンの手が私の肩に。勢い良く振り下がったから両肩が痛い......っ!

 興奮冷めず、私の身体をそのまま前後で揺らす。気持ち悪い......


「有るわ!」


「な、何が......??」


 急に大声を出さないでよ。心臓が飛び出すじゃん。


「【自我が消滅した(ルナティック・)静かなる殺戮者(オーバーロード)】を制御する方法」


「えぇ!?」


自我が消滅した(ルナティック・)静かなる殺戮者(オーバーロード)】を制御?

 何かヒントを得た様子だけど......私はサッパリです。


 スコーピオンは何に気付いたんだろう......

スコーピオンの気付きとは......?

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