歩みを止めた女王に明日はない
どうも、ユミナです。今、私は木陰でラブの膝枕を堪能しています。
楽観的な考えが出来れば、どれほど良かったことか......
「もう、休憩終わり」
優しくおでこを叩かれた。
「ダメです」
休憩を言うのも、先ほどまでラブと戦闘訓練を繰り広げていた。毎回訓練と言うなの地獄を味わってるけど......
いつもは私が死んでから休憩するけど、今回は戦闘中に中断。現在に至ります。
「そんなに動きが悪かった?」
「......気づいていないのね、ユミナ」
うん? 意味が分からない??
「ユミナの現状が改善されない限り、戦闘訓練は行わないことにする。勿論、私以外とも」
「はぁあああ!?!?!?」
起きあがろうにもラブの手で押さえ込まれ、起き上がれない。
「黙って私の足を堪能してなさい」
「どうせなら、足と足の間を娯し見たいよ!」
「私はユミナと出会って、学びました」
ギクッ!
「相手に羞恥心を与えて、逃げる作戦でしょう」
バレたか......
「私の妻なんだから、ちょっとくらい融通きいてよ」
「ユミナの場合、”ちょっと”を遥かに超えますが......本当に気づいていない?」
真に迫る言葉。これは冗談を言う場面ではないな......
「分かるんだ」
「誰が戦闘を教えたと思ってる。私じゃなくてもユミナに戦闘技術を教えた者なら100%気づく」
「......ゴメン。迷惑掛けて」
「ハァ〜 何を今更。貴女の我儘は今日が初めてではありません」
溜まっていた涙を拭かれた。
「何度も言っているけど、私はユミナの選択を全て尊重する」
「......ッ!」
「貴女の側を離れないし、裏切らない。例え、世界中がユミナの敵になっても、私は貴女と共にいる」
「自分の為に生きてよ」
「私のしたい事は、ユミナと一緒に過ごすこと。それ以外は望まない。ま、最近星霊やユミナの従者と楽しく暮らすのも悪くないけど」
「私......怖いんだ」
「他者に刃を向けることが」
頷いた。
「また......人を殺してしまう。そう考えちゃって......」
「私に迫る攻撃。全て身体に当てないように動いていましたね。正確に言えば、相手を死なせない動き。はっきり言いますが、ユミナはバカだ。それで戦っていると思ってるのですか、バカ」
「キツいな......って、”バカ”多用禁止〜」
「当たり前。船での一件はユミナのせいじゃない」
「か......クイーンにも言われたよ」
「クイーンと私はきっと同じ価値観だろうね」
「私の立場からすれば、2倍怒られているからしんどい」
「当然の報いだよ。大事な人を殺した相手に報復した。正当な理由だ。付け加えるなら、その人物が初めからいなければ、大事な人は殺されずに済んだ。人物がその場にいるキッカケを作った存在も同時に消す。消さないともっと多くの大切な人たちが被害に遭う。だから、殺そうと企てた。何も間違っていない......今から、殺してこようか、彼らを」
ラブの言う”彼ら”。収監されたアニモシティ一派。ボス、幹部、構成員全員が船停泊後に兵士たちに連行されていった。懸賞金も戴いたけど、正直私には受け取る資格はない。
「良いよ......多分だけど、私たちに関わろうとしないと思う」
「まぁ、間近で【自我が消滅した静かなる殺戮者】のユミナを見たからね。自分たちの下っ端構成員のせいで何度も寿命を削る出来事に遭遇したんだ、復讐は考えない」
強く抱きしめられた。
「だから、休む! 良いわね」
「ありがとう......」




