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NPCがわたしを"推す"! VRMMO (あれ? 推してるのわたし!?)  作者: 麻莉
シーズン4 悪魔は嗤い、被造物は踊る 【2章:【 】】
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使い魔も闇堕ちする時代

 起き上がる【ユミナ】。



 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


  【自我が消滅した(ルナティック・)静かなる殺戮者(オーバーロード)】起動中


    残り時間:03:10


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 自分がこの世に居られる時間。刻一刻と過ぎ去る。以前までは時間が余りすぎて、気晴らしに多くの生命体を葬っていた。が、今回は予定が大幅に狂っていた。最初にターゲットは処理した。非常に簡単で拍子抜けだった。次なるターゲットを殺す準備をしていたけど、思わぬ者たちによって阻まれた。自分の能力を知り尽くしている口ぶり、行動の数々。タイミングよく現れては対処された。邪魔だから、まずはコイツらからと攻撃を繰り出したが、死ぬまでは行かなかった。非常に面倒な相手たちだ。


 この身体も不思議だ。一見少女のような風貌。にも関わらず、戦闘に特化した構成。所持している物は自分にも扱いやすく、自分が居なくても少女の本気で大量の生命体が殺せる物が多い。何故自分を発動したのか分からないが、この世に誕生させた恩を返さないといけない。


 自分は誰かを殺しても心が擦り減ることはない。殺すために創られた存在。他者と絆を育むことはしない。仕事の邪魔だから。完璧に確実に敵を無に還す。それだけが自分の存在意義。他は必要としない。


 周りを見る。生命体は誰もいない。憂さ晴らしも出来ずにいた。

 次のターゲットを殺す途中。戻るしかない。否——————


 移動している? 意外に近い。好都合。


 向かった先、船の船首デッキ。


 巨大な槌とレイピアを持っている女性たちが自分を待ち構えていた。


「まだ、か」


「そのようですね」


 口ぶりから、コイツらも同じか。判断は早かった。殺すことに迷いはない。が、懸念はある。ターゲットは何処だ。この場には自分とコイツら2体しかいない。では、ターゲットは何処だ。


 牛柄の女が喋る。


「お前の探し物はココだぜ」


 船首の先端に糸で拘束されぶら下がっている集団を感知。自分を誘き寄せる餌にされるとは......

 糸を切れば、海に真っ逆さまに落ちる。この海域は凶暴な水棲生物が潜んでいる。自分が手を下さなくても、ターゲットどもは海の藻屑に成り下がる。が、それは自分のプライドが許さない。前方の邪魔者どもを排除し、自分の手でターゲットを葬る。


「もしかして、私たち2人だけだとお思いですか」


【ユミナ】を囲むように登場する星霊。ボロボロの奴が殆ど。


 なるほどな。気配を完全に遮断していたか。だが、()()()()()()()......


 バカの相手をするには、これで十分だ。


 19冊の魔術本。見開き、召喚紋が出現。

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


  〜『魔術本』〜


 ・黎明の不死鳥【魔術本:No.1】:召喚不可

 ・ピーコックの舞姫【魔術本:No.2】

 ・煉獄猟犬戦争【魔術本:No.3】

 ・ジェノサイド玉藻ノ前【魔術本:No.4】

 ・ライノ元帥【魔術本:No.5】:召喚不可

 ・蠍器官【魔術本:No.6】

 ・美女とアリゲーター【魔術本:No.7】

 ・熊王【魔術本:No.8】

 ・メガロドン帝国の逆襲【魔術本:No.9】

 ・クジラは老人に会う【魔術本:No.10】

 ・亀は見た【魔術本:No.11】

 ・キング・オブ・ディアー【魔術本:No.12】:召喚不可

 ・ヤミコウモリ伯爵三世の冒険鬼【魔術本:No.13】

 ・フェンリルの宝箱【魔術本:No.14】

 ・ワシを離さないで【魔術本:No.15】

 ・梟の家【魔術本:No.16】

 ・ラクーン・ドッグの奇蹟【魔術本:No.17】

 ・ミステリーCAT in black【魔術本:No.18】

 ・土竜の謎【魔術本:No.19】

 ・我はコブラ【魔術本:No.20】

 ・ジュラフは眠らない【魔術本:No.21】:召喚不可

 ・スパイダーはピエロ【魔術本:No.22】

 ・アルマジロの回転【魔術本:No.23】:召喚不可

 ・エレファントの終わりに【魔術本:No.24】


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 本に封印されている魔獣を解放させる。だが、それでは面白くない。

 何故、自分を封印していた【星刻の錫杖】を持っているにも関わらず、この少女はこっちも持っているのか疑問は尽きない。


【ユミナ】は”征服者の冥剣”を装備した。禍々しい空気を纏う長剣。闇は19体の魔獣に包む。対抗する獣も懐柔され、()()されていく。闇は晴れる。姿が変わるユミナの使い魔たち。闇魔法使いによって造られた災厄の魔獣たちは更なる闇に呑み込まれた存在。動物の姿はそのままで、顔や手首や尻尾など身体の至る所に黒い金属製の装甲が嵌められていた。瞳に正常さはない。赤く光る。凶暴な顔つきで周りにいる敵を睨んでいた。


 ケモノは散った。敵を倒すために。


 ”征服者の冥剣”を左手に持ち替え、裁紅の短剣(ピュニ・レガ)を右手に。

 この裁紅の短剣(ピュニ・レガ)。面白い機能が付いている。自分を生み出した神。傍らにいた少女が持っていたはずの短剣。少女が居なくなってから短剣を改造していた記憶がある。この面白い機能は改造に寄るもの。

 先ほど発動しようと試みたが、邪魔者によって使えず仕舞だった。運の良いことに発動前だったので、いつでも使用可能。

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