最下層に行くぞ~
インペリアル・アペクス号、最下層。一区画には牢屋がある。不正をした客を収監し、港に停泊した時に街の兵士に引き渡すことになってる。
「こんなにいたのね」
スコーピオンが牢屋の中にいる者達を見ていた。中にいるのは全員、アニモシティに関わった人間。ボス、幹部等、組織の人間が収監されている。別の房にも犯罪を犯した人間がいるが、二人の用事はアニモシティの構成員だけ。
「リブラは?」
キャンサーが辺りを見渡す。いつの間にか消えていたリブラ。キャンサーですら、感知出来ない位の歩き方。
「リブラなら、先に上に戻ったわ〜」
鉄格子に手を置くキャンサー。
「では、イケますね」
「大物は除外して、小物は利用できるかもね〜 そう言えば、リブラ。調停者の巫星杖に入れなかったわね?」
首を横に振るキャンサー。
「まだ、ウォーヴァ伯爵に仕えていた私兵の方が価値があった、と。私とスコーピオンにあげると言ってたような」
「もう少しでキャンサーお手製のマスクが出来上がるのよね」
「はい! 後は性能テストだけですが......」
腕を組むスコーピオン。
「彼らで試すのはリスクがある」
「マスターならぶっつけ本番でも宇宙には行けますよ」
「科学者的には人体実験は行いたい気持ちが強い。けど、な〜」
———と、その瞬間。
「「ハァァァァァァァァ〜〜〜〜」」
二人して長いため息。和気藹々で喋っていたスコーピオンとキャンサーは牢屋を見る。中にいた人間達は怯える。二人は激怒していた。自分たちを見つめる美女二人は鋭い眼光に恐怖していた。戦慄さえ覚える。
「人間って、つくづく馬鹿ね」
「実験の素体は無し。直ちに排除するしかありません」
上を見上げるスコーピオン。
「どうやら、私たちが排除するのは却下ね」
「......ですね。大変不本意ですが、お前達を守らないと行けなくなった」
中距離型殲滅武器:系統太刀【2E号-65S型】=七式戦術白刀を装備。切先を牢屋に向ける。
「だから、動くな!」
「アンタらの部下が余計な事をしたわ。本来なら破滅させたい気持ちはあるけど、アンタらがいなくなると、予想を超える数の生命体が死ぬ。だから生かすわ。決して温情だと思うなよ、下等生物」
万物の蛇蝎星鞭が蠢く。先端の鋭利な尾はいつでも、狙える。蠍の尾を模した先端。刺されれば毒を受けるが、生半端な毒ではない。解毒剤はスコーピオンしか所持していない超猛毒。液を皮膚に当たったから10秒後には絶命。死は免れない。
「来たわね」
天井に穴が空く。降り立つ殺戮者。二人は油断なく、武器を構えていた。両陣営、睨み合う。
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【自我が消滅した静かなる殺戮者】起動中
残り時間:07:28
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次なるターゲットはアニモシティに属する人間全員。効果範囲に居るには最下層だけ。
コイツらが全員死亡した後、周りにいる生命体が狩りの対象となる。
現在、船には多くの貴族、名のある商人が乗ってる。仮に全員死ぬ事になれば、スラカイト大陸の人間経済が破綻。




