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NPCがわたしを"推す"! VRMMO (あれ? 推してるのわたし!?)  作者: 麻莉
シーズン4 悪魔は嗤い、被造物は踊る 【2章:【 】】
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主を返してもらおうか

 遅れて飛び出したレオは観客席まで飛ばされ、なんとかその場に残ることが出来た。


「レオ。大丈夫!!?」


 アリエスとピスケスが駆け寄る。


「最悪だ......」


 曇らせた表情を浮かべるレオ。アリエス、ピスケスも同様だった。

 禍々しいオーラは星刻の錫杖を中心に放出されていく。爆発的に拡大し続けるオーラは巻き戻し機能が発動したかのように星刻の錫杖へ戻っていく。放出された凶悪なオーラは全てユミナの身体を覆う。オーラはユミナの身体に吸収され、浸透していった。


「戦うしかないのですか......」


「躊躇ったら俺たちが終わる。それにユミナと約束したろ」


 レオの言葉に二人は頷く。


「レオ」


 クイーンがレオを呼んだ。クイーンの後ろには彼女のギルドメンバーが多くいた。


「私たちもユミナを止める」


「帰れ」


 高圧的な態度と言動。


「オマエらが居ても足手纏いだ」


「で、でも......ユミナは私の」


 レオはクイーンの胸ぐらを掴む。


「付き合いは短いが、お前とユミナが特別な関係は知ってる。助けたい気持ちも分かる。だがな、今のお前にユミナは救えない。俺たちがやらないといけねぇんだ」


 クイーンを離すレオ。


「出来るだけ遠くへ逃げろ。今のユミナは周りにいる全ての生命体を殺す。クイーン、お前も例外じゃない。お前の声すら届かない。もう......遅いんだ、何もかも」


 悲しい顔のレオを見て、クイーンとギルドメンバーは歩き出した。自分には何も出来ない悔しさを胸に秘めながら......



 両腕を後頭部に掛けるピスケス。


「な〜にぃ、カッコつけてるんだよ」


「そうですよ、レオ......」


 アリエスはレオの身体にコツンと拳を当てる。


「あ〜でも言わないと、犠牲が増えるだろ」


「優しいんだ。ボクは正直、ユミナ様以外の人間に魅力を感じないけど」


「いずれ......わかりますよ、ピスケス」


「うんじゃ、やるか」


 段差階段を降りるレオ・アリエス・ピスケス。


【ユミナ】は足音に耳を傾け、首を振る。

 自分に迫る強者。が、今の【ユミナ】には興味がない。己が命を狩る者たちではなかったから。下にいる。自分が殺す者たちは。それ以外に時間を割くことはしない。満たされない渇きを満たすには、他者を葬ること。


 時間がない。近道。

 裁紅の短剣(ピュニ・レガ)の剣先を下へ。牢獄に向けて無発音で魔魂封醒(フリーダム)撃朱の剣(インパクト)を発動し—————————?


 正確。裁紅の短剣(ピュニ・レガ)は【ユミナ】の手から溢れる。転がる裁紅の短剣(ピュニ・レガ)


「無視か」


 声のする方へ。先ほど観測した敵。だが、まだ敵認定しただけで狩るには順番は後。最優先事項ではない。

 目障りなのも事実。少し痛い目を合わせるしかない。


 床に刺さってる星刻の錫杖。一人でに動く。杖を敵3に向ける。


 宣告無しの『輝を射抜け、(アストロアーツ)真なる青よ(・クエーサー)』が放たれた。煙が立ちこむ。


自我が消滅した(ルナティック・)静かなる殺戮者(オーバーロード)】に乗っ取られた身体が習得してる魔法やスキル。特殊技などは【自我が消滅した(ルナティック・)静かなる殺戮者(オーバーロード)】は自在に操れる。威力は持ち主以上が発揮される。無駄な詠唱も発音も必要としない。起動モーションも簡略化。ただ標的を亡き者にするための手段。いちいち敵に余裕を与えないために編み出した【自我が消滅した(ルナティック・)静かなる殺戮者(オーバーロード)】の執念。


「アタシたちの目を見なさい!」


 光の壁。


 生きてる。敵3誰一人欠けていない。無傷だった。彼女たちの眼。自分を狩る本気の目。


「何度も受けてるので、簡単です」


 高貴な修道服を着てる少女はうすら笑みを出す。


【ユミナ】は動く。が、反応が遅かった。


 後ろに吹っ飛ぶ。自分の両腕が噛まれているのに気付いたのは壁に磔になった時。手首を噛む魚。


「ダメだよ!」


【ユミナ】の手首を噛む魚は形を変える。有機物から無機物へ。ボルトで作られた手枷。振り解こうにもびくともしない頑丈さ。


「その身体でこれ以上、殺人を犯さない」


 ようやく理解した。自分の邪魔する者。厄介だ、面倒だ。なら——————


 手枷を破壊。床に着地。

 予定変更。時間を1分使う。問題ない。任務を遂行する。ニヤリと醜悪な笑みを出す【ユミナ】。

 婥約水月剣(プルウィア・カリバー)を装備。全身に【パンドラ】の腕を生やす。


 コイツらを狩るっ!!!


映画わたなれ、最高

この言葉に尽きる

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