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NPCがわたしを"推す"! VRMMO (あれ? 推してるのわたし!?)  作者: 麻莉
シーズン4 悪魔は嗤い、被造物は踊る 【2章:【 】】
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技を隠すのが、技だよ!

 ラック値を上げていないと自負しているけど、まさか飛んだ先にソファーがあるのはリアルラックが発動したのかな〜


 大型ダンプカーと衝突事故が起きたみたいな気持ちだった。

 壁を突き破り、吹っ飛ばされるには慣れている。でも、ダンプカーがスーパーボール機能が付属しているのは予想外。意外にダメージを受けていた。


「やっぱ、回復アイテムも使えないのはキチィ〜な」


 腕が使えれば全て解決できる。まぁったく、不便でしょうがない。

 で、肝心の私の両腕はシャックスに捕獲されているのね。お陰で、ある程度分かってきたね。


「超大型車を回避しつつ、既に孵化してるヒナに触れない。これね!」


 シャックス固有の能力か。シャックスの目を見たら、奪われるとか考えていたけど。それは、メデューサか〜ahaha(アハハ...ッ!!)

 改めて思い出すと、私が両腕を奪われる可能性は、ヒナに触れたくらい。


 シャックスが私の両腕(ヒナ)を吸収しないのも、残る私の部位を奪いたいんだろうね。


「うんうん。後で謝らないと......」


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 憤怒(レイジ):+6


 00:03:14


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



憤怒(レイジ)】が50秒経過すると発生する《状態異常:【憤激(エグザスペレイション)】》。私とパーティーメンバー以外が【憤怒(レイジ)】に感染する効果。今、+6。6人が感染してるのがハッキリした。

 私の前にいる一人と一匹も感染してる。残る四人......恐らくヴェロニカとエマ、アガレスとセーレだろうな......

 経過画面をタップするば、詳しい感染者リストが閲覧できるけど、怖くて見れない......


 悪魔が有機物なのか疑問ではあるけど、悪魔も対象になったのは収穫。聖女候補者の二人は、偽恋人として関係を持った間柄でも、知り合いを無意味に怒らすのは心が痛い。



 特別なウィンドウが表示された。


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


  ・転輪の翠蹴(ラテラルアーク)


  《拡張武装:【不死領域(アカーシャ)】が解放されました》


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 転輪の翠蹴(ラテラルアーク)の特殊機能、拡張武装:【不死領域(アカーシャ)】。【憤怒(レイジ)】が100秒経過したことで解放される。


 両足のふくらはぎの銀色の半円形が3層分。外輪の球体が開き、ジェット噴射。爆音を響かせ、前へ。

 凄まじいスピードとパワー。目が開けれない風圧。でも、【叡智(メティス)】と【記憶(ムネモシュネ)】でカバーされ、視界は良好。


 近くにあった廃材を思いっ切り蹴る!


 ラッキー・アニモシティの腕に血管が浮かび上がる。廃材が一直線に突き進んでくる。自分に襲いかかる廃材を巨腕で薙ぎ払った。


「っ!?」


 誰もいない。


「こっちよ!」


 背後に回り、真っ直ぐ突き出すように蹴る。強化された上段前蹴りがラッキー・アニモシティの背中に直撃。


「っち!!」


 分厚い身体。吹っ飛ぶまではいかない。硬直はしている。


 後ろへ大きく振り払う腕。頭上高くジェット噴射と跳躍で回避。後方へ宙返り。

 追撃の腕での薙ぎ払い。身体を空中で回転し調整。伸びてる腕に着地。即座に更に後退へ飛び退いた。


 足が床に着かないのね......だったら!!


 左脚に付属してる不死領域(アカーシャ)の一つを分離。頭に装着。上下逆さまの状態で浮上し、ラッキー・アニモシティとシャックスを見入る。少々、モヒカンやちょんまげみたいで不格好だけど、戦闘中には余計な事。


「やれ!!!!!」


 ラッキー・アニモシティは体勢が崩れる。彼自身何が起きた分かっていない。正体は単純。後方宙返りしている最中に不死領域(アカーシャ)の一つを分離。ラッキー・アニモシティの足に装着。私の合図でジョット噴射され、足払いされたような感覚に陥るラッキー・アニモシティ。


 転輪の翠蹴(ラテラルアーク)に残ってる不死領域(アカーシャ)、4つ。全力加速。頭に装着されている不死領域(アカーシャ)は、身体を高速回転させるために利用。逆立ちした状態で回転蹴り。ラッキー・アニモシティの顔面を蹴り抜く。


「ハァ、ハァ...!!!」


 疲労困憊のラッキー・アニモシティ。


「今だ!!」


 ジャンプし、空中回転で姿勢を変える。伸ばした右足。高い位置から斜め下へ飛び蹴りを繰り出した。

 床が突き破り、下の階層へ落ちていった。







 カジノエリア。陽気な音楽、賑やかな歓声が響く。今宵も快楽と狂乱が渦巻く。人々は皆、命を賭け、熱狂していた。


 天井が軋む。床が揺れ始めた。誰もがゲームを中断、見上げた。天井が破れる。落ちる影は二つ。人々は逃げ出していく。カジノエリアは大混乱へと変わった。



「戦闘不能ね......」


 私の前で大の字に倒れているラッキー・アニモシティ。起き上がる様子はない。


「視界は最悪」


 煙が充満。人々の叫び声と走る音から何処かのエリアに着地したのは分かる。


「うん?」


 ラッキー・アニモシティの身体が萎んでいく。元の身体へ戻った。吸収されていた羽根は、奪われた持ち主の元へ戻ったのかもしれない。で、私のは......


「契約者は倒したわ。次は......」


 振り向き見上げる。羽ばたくコウノトリを模した悪魔が見下ろしていた。


「お前だ!!」


「降参だ」


「......えっ!!?」


「降参、こぉ〜さぁ〜ん!」


「本気で言ってるの?」


 不死領域(アカーシャ)をブースターとして使う準備をしていた。が——————


「うげぇ!」


 シャックスの羽が人間の腕に変わった。何かを私目掛けて投げた。


 咄嗟に掴んだ。あっ!!?


 急いで見上げるが、シャックスが消えていた。


「逃げられたか......」


 私の腕が元に戻るのを待ち、何かで気を逸らし、自分は消える、か......

 で、シャックスは何を投げたんだろう? 手榴弾じゃないことを祈る。


悪魔の護謨(イーヴィルラバー)......ね」


 シャックスのラバスト。1分以内に入れないといけない。悪魔の蒐集棚(コレクション・ケース)が嵌っている中指に手のひらを下に向けたまま前に出した。


 大型のガラスケースが登場する。同時に煙も消え掛かってきた。


「オイ、あれ」

「はぁ、マジかよ」

「てか、なんで上から」


 カジノエリアで遊んでいたプレイヤーが私を凝視める。


()()()()。ご無事ですか?』

『お嬢、生きてるか!』


 シャックスの悪魔の護謨(イーヴィルラバー)を入れる。


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 2.アガレス:悪魔の欲板(イーヴィルスタンド):交渉中

 6.ヴァレフォール:悪魔の護謨(イーヴィルラバー):提案中

 25.グラシャラボラス:悪魔の欲板(イーヴィルスタンド):交渉中

 41.フォカロル:悪魔の欲板(イーヴィルスタンド):交渉中

 44.シャックス:悪魔の護謨(イーヴィルラバー):提案中

 56.グレモリー:悪魔の彫像(イーヴィルフィギュア):契約済

 62.ウァラク:悪魔の欲板(イーヴィルスタンド):交渉中

 70.セーレ:悪魔の欲板(イーヴィルスタンド):交渉中

 71.ダンタリオン:悪魔の欲板(イーヴィルスタンド):交渉中


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 キャンサーとタウロスが駆け寄ってきた。


「二人とも、迷惑かけた?」


「いんやぁ、奥のスロット弄ってただけだし」

「私も......特には」


 歯切れの悪いキャンサー。


「聞いてくれよ、お嬢。キャンサーな———」


 慌ててタウロスの口を塞ぐキャンサー。


「ダァ!!!!! 言っちゃダメ!!!!」


 恥ずかしそうな表情のキャンサー。


「もしかして......大負けした」


 口を塞がれているタウロス。サムズアップで私の言葉に反応してくれた。大丈夫よ、キャンサー。過去の資金の大半を消費させた二人組が居たから~


「まぁ、賭け事なんて、勝ちもあれば負けもある訳だし。お金は十分にあるから気にしないよ」


「私の演算処理を用いれば、楽なのに」


「それを使うと、緩いから縛る、と言ったのはお前だろ」


 あー自分で縛って、自分の首を絞めたのね〜 ドンマイ、キャンサー!


「うんでぇ、コイツは」


「アニモシティ家のボス、ですね」


「キャンサーは下層。ラッキー・アニモシティを連れて、先にリブラとスコーピオンが入ってるから合流して」


「畏まりました、マスター」


「タウロスは私と一緒。ヴァルゴとアシリアの元へ行きましょう」


「りょ〜かい」


 ヤミコウモリ伯爵三世の冒険鬼【魔術本:No.13】を取り出し、使い魔召喚。

 フェンリルの宝箱【魔術本:No.14】を取り出し、使い魔を召喚。


「コーちゃんはアクエリアスを呼んで。カジノエリアを修復」


 頷くコーちゃん。


「ウルウル。ヴァルゴとアシリアの元まで」


 巨大化したウルウル。背中に乗り、移動を開始した。


「そうだ。タウロス」


 製造の金槌(ビルド・アップ)を持って、既にスタンバイ済のタウロス。


「その損傷具合で、理由は十分」


 耐久値が減った装備品全てをタウロスに渡した。

カジノエリアの惨状を目撃し絶叫するアクエリアス

イモナちゃぁぁあああああああああああああああああん!!!!!!!!!!!!!!!!!!



ヴァルゴ→基本:お嬢様。偉い人のいる時:ユミナ様。二人っきり:ユミナ

タウロス→お嬢

アリエス→ユミナ様

ジェミニ→ユミナ様(二人とも)

カプリコーン→基本:ご主人様。二人っきり:ユミナ

レオ→ユミナ

アクエリアス→イモナちゃん

キャンサー→マスター(呼び名変えた)

サジタリウス→ユミナ様

ピスケス→ユミナ様

スコーピオン→ユミナちゃん

リブラ→あるじ

オフィ→ユミナちゃ〜ん。時々、小娘ちゃん!

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