技を隠すのが、技だよ!
ラック値を上げていないと自負しているけど、まさか飛んだ先にソファーがあるのはリアルラックが発動したのかな〜
大型ダンプカーと衝突事故が起きたみたいな気持ちだった。
壁を突き破り、吹っ飛ばされるには慣れている。でも、ダンプカーがスーパーボール機能が付属しているのは予想外。意外にダメージを受けていた。
「やっぱ、回復アイテムも使えないのはキチィ〜な」
腕が使えれば全て解決できる。まぁったく、不便でしょうがない。
で、肝心の私の両腕はシャックスに捕獲されているのね。お陰で、ある程度分かってきたね。
「超大型車を回避しつつ、既に孵化してるヒナに触れない。これね!」
シャックス固有の能力か。シャックスの目を見たら、奪われるとか考えていたけど。それは、メデューサか〜ahaha
改めて思い出すと、私が両腕を奪われる可能性は、ヒナに触れたくらい。
シャックスが私の両腕を吸収しないのも、残る私の部位を奪いたいんだろうね。
「うんうん。後で謝らないと......」
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憤怒:+6
00:03:14
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【憤怒】が50秒経過すると発生する《状態異常:【憤激】》。私とパーティーメンバー以外が【憤怒】に感染する効果。今、+6。6人が感染してるのがハッキリした。
私の前にいる一人と一匹も感染してる。残る四人......恐らくヴェロニカとエマ、アガレスとセーレだろうな......
経過画面をタップするば、詳しい感染者リストが閲覧できるけど、怖くて見れない......
悪魔が有機物なのか疑問ではあるけど、悪魔も対象になったのは収穫。聖女候補者の二人は、偽恋人として関係を持った間柄でも、知り合いを無意味に怒らすのは心が痛い。
特別なウィンドウが表示された。
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・転輪の翠蹴
《拡張武装:【不死領域】が解放されました》
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転輪の翠蹴の特殊機能、拡張武装:【不死領域】。【憤怒】が100秒経過したことで解放される。
両足のふくらはぎの銀色の半円形が3層分。外輪の球体が開き、ジェット噴射。爆音を響かせ、前へ。
凄まじいスピードとパワー。目が開けれない風圧。でも、【叡智】と【記憶】でカバーされ、視界は良好。
近くにあった廃材を思いっ切り蹴る!
ラッキー・アニモシティの腕に血管が浮かび上がる。廃材が一直線に突き進んでくる。自分に襲いかかる廃材を巨腕で薙ぎ払った。
「っ!?」
誰もいない。
「こっちよ!」
背後に回り、真っ直ぐ突き出すように蹴る。強化された上段前蹴りがラッキー・アニモシティの背中に直撃。
「っち!!」
分厚い身体。吹っ飛ぶまではいかない。硬直はしている。
後ろへ大きく振り払う腕。頭上高くジェット噴射と跳躍で回避。後方へ宙返り。
追撃の腕での薙ぎ払い。身体を空中で回転し調整。伸びてる腕に着地。即座に更に後退へ飛び退いた。
足が床に着かないのね......だったら!!
左脚に付属してる不死領域の一つを分離。頭に装着。上下逆さまの状態で浮上し、ラッキー・アニモシティとシャックスを見入る。少々、モヒカンやちょんまげみたいで不格好だけど、戦闘中には余計な事。
「やれ!!!!!」
ラッキー・アニモシティは体勢が崩れる。彼自身何が起きた分かっていない。正体は単純。後方宙返りしている最中に不死領域の一つを分離。ラッキー・アニモシティの足に装着。私の合図でジョット噴射され、足払いされたような感覚に陥るラッキー・アニモシティ。
転輪の翠蹴に残ってる不死領域、4つ。全力加速。頭に装着されている不死領域は、身体を高速回転させるために利用。逆立ちした状態で回転蹴り。ラッキー・アニモシティの顔面を蹴り抜く。
「ハァ、ハァ...!!!」
疲労困憊のラッキー・アニモシティ。
「今だ!!」
ジャンプし、空中回転で姿勢を変える。伸ばした右足。高い位置から斜め下へ飛び蹴りを繰り出した。
床が突き破り、下の階層へ落ちていった。
カジノエリア。陽気な音楽、賑やかな歓声が響く。今宵も快楽と狂乱が渦巻く。人々は皆、命を賭け、熱狂していた。
天井が軋む。床が揺れ始めた。誰もがゲームを中断、見上げた。天井が破れる。落ちる影は二つ。人々は逃げ出していく。カジノエリアは大混乱へと変わった。
「戦闘不能ね......」
私の前で大の字に倒れているラッキー・アニモシティ。起き上がる様子はない。
「視界は最悪」
煙が充満。人々の叫び声と走る音から何処かのエリアに着地したのは分かる。
「うん?」
ラッキー・アニモシティの身体が萎んでいく。元の身体へ戻った。吸収されていた羽根は、奪われた持ち主の元へ戻ったのかもしれない。で、私のは......
「契約者は倒したわ。次は......」
振り向き見上げる。羽ばたくコウノトリを模した悪魔が見下ろしていた。
「お前だ!!」
「降参だ」
「......えっ!!?」
「降参、こぉ〜さぁ〜ん!」
「本気で言ってるの?」
不死領域をブースターとして使う準備をしていた。が——————
「うげぇ!」
シャックスの羽が人間の腕に変わった。何かを私目掛けて投げた。
咄嗟に掴んだ。あっ!!?
急いで見上げるが、シャックスが消えていた。
「逃げられたか......」
私の腕が元に戻るのを待ち、何かで気を逸らし、自分は消える、か......
で、シャックスは何を投げたんだろう? 手榴弾じゃないことを祈る。
「悪魔の護謨......ね」
シャックスのラバスト。1分以内に入れないといけない。悪魔の蒐集棚が嵌っている中指に手のひらを下に向けたまま前に出した。
大型のガラスケースが登場する。同時に煙も消え掛かってきた。
「オイ、あれ」
「はぁ、マジかよ」
「てか、なんで上から」
カジノエリアで遊んでいたプレイヤーが私を凝視める。
『マスター。ご無事ですか?』
『お嬢、生きてるか!』
シャックスの悪魔の護謨を入れる。
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2.アガレス:悪魔の欲板:交渉中
6.ヴァレフォール:悪魔の護謨:提案中
25.グラシャラボラス:悪魔の欲板:交渉中
41.フォカロル:悪魔の欲板:交渉中
44.シャックス:悪魔の護謨:提案中
56.グレモリー:悪魔の彫像:契約済
62.ウァラク:悪魔の欲板:交渉中
70.セーレ:悪魔の欲板:交渉中
71.ダンタリオン:悪魔の欲板:交渉中
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キャンサーとタウロスが駆け寄ってきた。
「二人とも、迷惑かけた?」
「いんやぁ、奥のスロット弄ってただけだし」
「私も......特には」
歯切れの悪いキャンサー。
「聞いてくれよ、お嬢。キャンサーな———」
慌ててタウロスの口を塞ぐキャンサー。
「ダァ!!!!! 言っちゃダメ!!!!」
恥ずかしそうな表情のキャンサー。
「もしかして......大負けした」
口を塞がれているタウロス。サムズアップで私の言葉に反応してくれた。大丈夫よ、キャンサー。過去の資金の大半を消費させた二人組が居たから~
「まぁ、賭け事なんて、勝ちもあれば負けもある訳だし。お金は十分にあるから気にしないよ」
「私の演算処理を用いれば、楽なのに」
「それを使うと、緩いから縛る、と言ったのはお前だろ」
あー自分で縛って、自分の首を絞めたのね〜 ドンマイ、キャンサー!
「うんでぇ、コイツは」
「アニモシティ家のボス、ですね」
「キャンサーは下層。ラッキー・アニモシティを連れて、先にリブラとスコーピオンが入ってるから合流して」
「畏まりました、マスター」
「タウロスは私と一緒。ヴァルゴとアシリアの元へ行きましょう」
「りょ〜かい」
ヤミコウモリ伯爵三世の冒険鬼【魔術本:No.13】を取り出し、使い魔召喚。
フェンリルの宝箱【魔術本:No.14】を取り出し、使い魔を召喚。
「コーちゃんはアクエリアスを呼んで。カジノエリアを修復」
頷くコーちゃん。
「ウルウル。ヴァルゴとアシリアの元まで」
巨大化したウルウル。背中に乗り、移動を開始した。
「そうだ。タウロス」
製造の金槌を持って、既にスタンバイ済のタウロス。
「その損傷具合で、理由は十分」
耐久値が減った装備品全てをタウロスに渡した。
カジノエリアの惨状を目撃し絶叫するアクエリアス
イモナちゃぁぁあああああああああああああああああん!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ヴァルゴ→基本:お嬢様。偉い人のいる時:ユミナ様。二人っきり:ユミナ
タウロス→お嬢
アリエス→ユミナ様
ジェミニ→ユミナ様(二人とも)
カプリコーン→基本:ご主人様。二人っきり:ユミナ
レオ→ユミナ
アクエリアス→イモナちゃん
キャンサー→マスター(呼び名変えた)
サジタリウス→ユミナ様
ピスケス→ユミナ様
スコーピオン→ユミナちゃん
リブラ→主様
オフィ→ユミナちゃ〜ん。時々、小娘ちゃん!




