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NPCがわたしを"推す"! VRMMO (あれ? 推してるのわたし!?)  作者: 麻莉
シーズン4 悪魔は嗤い、被造物は踊る 【2章:【 】】
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怒りは心を害する

「足癖が悪いな......」


 止められた。脚はラッキー・アニモシティの掌で止まった。


「......反応できるのね」


「部下から奪った身体機能の中には()も含まれている」


 動体視力を上げたか......



 脚を掴もうとしている。ユミナの手足は細い。巨大化した手に捕まったら最後。へし折られるのは明白。


 手のひらで脚を回す。方向を変え、残っている左脚で蹴りのモーションを取る。


【足技スキル】......【夜世界(ニュクス)】、起動。


 脚に常闇が纏う。回し蹴りでラッキー・アニモシティの頭部を蹴る。ラッキー・アニモシティは後方まで転がっていった。





 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 【狩猟時間(アルテミス)】の攻撃が命中しました。


   個体名:ラッキー・アニモシティ

   ・弱点露出:左手の掌

   ・効果終了まで:5分


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 【夜世界(ニュクス)】の攻撃が命中しました。


   個体名:ラッキー・アニモシティ

   ・全ステータスが大幅に減少

   ・効果終了まで:6分


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




 二つの画面。ラッキー・アニモシティの状態がよく分かる。そしてもう一つ新たに増えた画面。


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


   憤怒(レイジ):+1


   00:00:15


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 脚での攻撃が命中すれば必然的に条件が発生される。転輪の翠蹴(ラテラルアーク)を装備した状態で敵を攻撃した。結果、ラッキー・アニモシティは《状態異常:【憤怒(レイジ)】》に掛かった。


 闘牛が更に暴れ坊へ変貌を遂げた。



 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


  ・転輪の翠蹴(ラテラルアーク)


  攻撃成功時、相手に【憤怒(レイジ)】の状態異常が付着。【憤怒(レイジ)】付着者は10秒毎にHPが1割ずつ消滅するスリップダメージが発生。


  【憤怒(レイジ)】:10秒経過でダメージ量が2倍減少。【憤怒(レイジ)】付着者一人につき減少の倍率upされる。

 (一人なら2倍、二人なら4倍)


  【憤激(エグザスペレイション)】:50秒経過で発動。パーティーメンバー以外の半径1kmに存在する有機物に【憤怒(レイジ)】を感染させる。


  【烈臥状態(オーバーフロー)】:100秒経過で発動。付着された【憤怒(レイジ)】のスリップダメージが5割に変化する。付着人数に応じて、使用者のステータスが上昇(100人=1000倍)。全身に翠炎を纏う。拡張武装:【不死領域(アカーシャ)】が解放される。


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 ラッキー・アニモシティが転輪の翠蹴(ラテラルアーク)の攻撃を受けてから10秒経過している。2倍分しかダメージ量を減少できないけど、初手の突進攻撃を喰らってもダメージを抑えれる。欲を言えば、【憤怒(レイジ)】付着者を増やした。そうすれば、私が受けるダメージ量の倍率が増加する。



 30秒経過。



 突進してくるラッキー・アニモシティ。砲台が発射された様だった。一直線に向かってくる。ラグビーのタックルを知っているからか、ラッキー・アニモシティの攻撃を受ければタダでは済まない。


 いくら受けるダメージ量が2倍減少しているからと言って......

 横に回避した。


「はっ!!?」


 筋肉団子は軌道を変えた。咄嗟に防御の姿勢を取った。が、反射的に発生した防御の姿勢。腕が使えない以上、無意味な行動だった。


「が......っ!!」


 胴体に直撃。意識を失うレベルの突進攻撃。破裂音と轟音。壁に亀裂が生まれる。

 勢い冷めぬまま、二つ分の部屋を貫通。ユミナの身体は後方へ吹っ飛んでいった。



 ◆


 土煙を避けつつ、開通した穴を通るラッキー・アニモシティ。


「ふんっ」


 床にユミナの両腕を封印した証。二匹の雛鳥がいた。手で掬い、シャックスへ渡した。


「おや、彼女の一部ですか」


「どんな攻撃を与えても死なないお前のヒナ。足下にいては邪魔だからな」


「吸収はやめておきましょう。やる事がありますしね」


 二匹の雛は親鳥の糧と成らず、近くにいる事を許された。


「しかし、ラッキー。少々熱を上げてるじゃあないか」


「年甲斐もなくはしゃいだだけだ」


「では、昂っている状態で彼女の身体を我の元まで届けなさい」


「良いぜ」


 ラッキーの肩にシャックスが留まる。歩き出すラッキー。


「しかし、めんどいな。悪魔の能力発動も」


「悪魔それぞれ、です。特性と言えば良いのでしょうか」


 シャックスがユミナの身体を欲する理由。勿論、人間の機能を奪うため。だが、奪うにも条件がある。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 倒れているユミナの身体に捕まえたユミナの両腕の機能を宿したヒナをユミナの身体の至る所に当てれば、ユミナの人間機能を奪えれる。


人間(ようぶん)が良質品であれば、それだけ我も......ラッキー、お前も更に強くなる」


「ふんっ! たった数分でも戦闘して分かった。あの小娘はかなりヤれる。本当なら五体満足で闘ってみたかったが......」


「ここで時間を浪費しては、今度に影響が出るぞ。まだターゲットを始末していない」


「そうだったな。聖女を抹殺。当初の依頼を完遂する」


 二つ奥の部屋にたどり着く。


「ほぉ〜」


「やはり、アイツの契約者だ......」


 関心していたラッキー・アニモシティ。悔しそうな声を漏らすシャックス。

 煙は晴れ、目の前の光景が鮮明に映し出された。


「遅かったですね! オジサマ!」


 ソファーに、足を組みながら座っていたユミナ。彼女が履いている銀色のブーツ。翠炎が迸っている。

 優雅に立ち上がり、前に立つ。


調理開始(ヤる)よ———牛肉(マフィアのボス)鶏肉(アクマ)、をね!」



 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


    憤怒(レイジ):+6


     00:03:14


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

次話、明日8時頃投稿します

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