《状態異常:【部位封印】》
『君があの女を契約したのは、知ってる』
「しゃ、しゃべった......?」
コウノトリが人語を話す。これだけでラッキー・アニモシティはナニカと行動を共にしていると理解った。
「悪魔契約を結んだ者同士は引かれ合う、と言うわけか」
『そのようなルールは存在しないのだがな......自然と引き寄せられる』
「鳥さんも悪魔だったのね」
『シャックス。これが我の名だ』
ヒヨコは小さき羽で上へ飛ぶ。シャックスが広げた自身の羽に吸収されていく。程なくして全てのヒヨコがシャックスに取り込まれた。羽がより一層、艶を出していた。
「さぁ〜て、君からは何を奪おうかな。君を倒せば、あの女に勝利した事になる」
「勝手に代理戦争に巻き込まないでよ。やりたきゃ、ご自身でガンガン行ってください!」
シャックスの羽から羽根が抜き出る。ゆっくり落ちる羽根はラッキー・アニモシティに刺さる。
羽根を与えられ、ラッキー・アニモシティの身体が膨張していく。漲る筋肉。スーツは破け、上半身裸となる。
「我の能力だ。人間の機能を失わせ、他者に譲渡する」
人間の機能を失わせる......? 雛が人間の力を模した形なら、奪われた人間は......
「ラッキーの部下は、人間的機能は失っている」
「随分、酷いことするんだ」
「悪魔の能力は、皆似たり寄ったりだが............」
ラッキー・アニモシティがゆっくりと近づいてくる。シャックスは羽ばたき、高みの見物をしていた。
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PN:【ユミナ】《状態異常:【部位封印】》
職業:①:【魔導龍王】
②:【魔導剣士】
〜装備欄〜
頭:沈黙の古代帽子
上半身:幽天深綺の魅姫・エクシード
下半身:幽天深綺の魅姫・エクシード
足:転輪の翠蹴
右武器:星刻の錫杖Lv.10 (EM:500):【右腕封印】
左武器:怒龍の籠手:【左腕封印】
〜装飾品〜
①:覇銀の襟飾(ブローチ)
②:真龍の手袋
③:星王の創造(腕輪)
④:グリモワール(指輪)
⑤:悪魔の蒐集棚(指輪)
⑥:
⑦:
⑧:
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ラッキー・アニモシティに対して【星なる領域Lv.10】が発動しなかった。
「えっ!?」
手が動かない。両手だ。筋肉が落ちた様に握る力がなかった。その影響で星刻の錫杖が床に転がった。怒龍の籠手で防御しようとしても左腕が上がらない。
激突し、壁が突き破られた。
《状態異常:【部位封印】》。身体一部が動かなくなる、使えなくなる効果。封じられている部位は装備できず、武器も持つことはできない。
悪魔:シャックスの能力は対象の機能を奪い、己の糧にする。契約者に奪った機能を与えることも可能。ラッキー・アニモシティは部下が倒された場合、彼らの身体機能を奪うように予めシャックスに命令を出していた。身体機能を失った者からタマゴが排出される。タマゴ、もしくは雛の状態でシャックスが吸収すると、奪った人間の身体機能を獲得できる。自身がコウノトリを模した悪魔であるため、人間を獲得すると人間の形が手に入り、人間同様の動きが可能となる。シャックス自身が使用せずとも、契約者に譲渡することも可能だ。その場合、契約者に自身の羽根を刺さないと効果が発動しない。
コイツが手に入れたのは部下の若さや筋肉量か......
ステータスを確認したけど、私の両腕が使えなくなっていた。
「《状態異常:【部位封印】》ね......」
ラキとの戦闘では欠損で、身体の部位が使用不可になっていた。だけど、今度は身体の部位が封印。単純に動かない仕様となっているのか......
状態異常なら『清浄なる世界へ』で解呪できる。でも、『清浄なる世界へ』を発動しようにも星刻の錫杖が装備できない。
他に解呪する方法があるとすれば、定番は敵を戦闘不能にするよね......
44.シャックス→→契約済:人間種:ラッキー・アニモシティ




