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NPCがわたしを"推す"! VRMMO (あれ? 推してるのわたし!?)  作者: 麻莉
シーズン4 悪魔は嗤い、被造物は踊る 【2章:【 】】
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再会

 夜になり、メインダイニングルームに入る。


 会場は非常に広い。豪華絢爛の装飾が施されている。パーティーは立食形式。テーブルの上には数多の料理やスイーツなどが並ばれている。特別なパーティーと言うことで給仕しているのは熟練の方々が主に配り歩いていた。


 参加者の多くは貴族や商人の代表など偉い人たち。食事しつつ政治的な会話をしていたが、アシリアと私が会場に入ってきた時、全員一斉に見ていた。


「全員アシリアを見てるね」


 アシリアに耳打ちした。


「いえ......」


 アシリアは横目で見る。


「恐らく、後ろが原因かと」


苦笑しか出ない。後ろにいる星霊11人の方へ振り返る。


「ま、私も言いたい所だったし......。ねぇ、みんな。ドレスは?」



 パーティーの主役はアシリアと聖女候補たち。が、同等の存在感を放つ私の従者たち。超絶美貌の女性陣をチラチラと視線を向けていた。本来なら”変な眼で見るな”とか言いたいが、今回は放置することにした。


「私たちの正装(ドレス)です」


 パーティーには星霊全員が出席。パーティーに相応しいドレスを用意していた。現に私とアシリアはタウロス印のイブニングドレスを着用してる。私が赤のドレス。アシリアが白のドレスとなってる。タウロスが気合い入れて仕立ててくれた逸品。見た目に反してかなりの防御力を有してる。暫く蜘蛛モンスターは見たくない......


「どこがよ!!?」


 全員いつも通りの星霊装備のままパーティーに出席していた。偉い方々を身に付けている服よりも遥かに高級品で私とアシリアの品位は下がらない。それでも......


「レオに関しては、ライオンだし」


「オレの正装!」


「あ、そうですか......」


 会場を歩き、専用のテーブルへ移動した。みんなは立食だけど、聖女と候補者たちはフルコースが給仕される。私もアシリアのご主人ということで隣に座る。


(貴族NPCと......プレイヤーが数名。貴族とコネクションを持つトップ層だろうね)


 程なくして、パーティーの開始時刻になった。


「では、開会式のスピーチしてきます」


「頑張ってね!」






◇◆◇


 その後開会式も無事に終わり、お食事が開始された。私たちは料理が配膳されるのを待っていた。


「アシリア。スピーチお疲れ様」


「ありがとう。いつも以上に緊張しました」


「状況が状況だったしね」


 反対側。候補者たちのスペースに目を向ける。


「ヴェロニカとエマもいる」


 パーティーが始まる前に知り合った聖女候補者NPC。

 背後には悪魔の執事が立っていた。私たち同様、周囲を警戒している。他の候補者を推している貴族たちに向けてだろう。候補者たちも大変だ......


「お二人をご存じでしたか」


「色々あってね......二人の言葉を信じるなら、アシリアの邪魔はしないらしいよ」


「よく改心させましたね!!? どんな手を使ったのですか?」


「う〜〜ん。ヴァルゴと執事が会話しただけかな」


「相変わらず、罪な女性ですね」


「一方的に罵っていただけな気がするけど......」




 会場が騒然となる。


「なんだろう?」


「来たみたいです」


 会場に入場してきたのは屈強な黒服の男たち。黒のサングラス。服越しからでもわかる鍛え抜かれた身体。マッチョの一団がパーティー会場に出現したのだ。


「あれがカジノのオーナーです」


「開会式には出席しなかったんだ」


「ご自身のスケジュールもあるかと」


「あーカジノエリアの稼働状況か......」


 アシリアの目線を追い、私もマッチョ一味を見る。大勢のマッチョの中心にいる赤髪の女性。彼女がインペリアル・アペクス号改修に多額の出資を行い、見返りとして船内にカジノエリアを組み込んだカジノのオーナーさんで【裏社会の女帝】と呼ばれているNPC。


「う〜〜ん」


「どうかしましたか?」


 私は首を傾げた。なんか見覚えがある風貌。


「誰も声を掛けませんね」


 流石の貴族たちも声を掛ける勇気が足りていない。

 皆、様子を伺うだけだった。


「............もしかして」


 私の中である確信が生まれた。

 確かめるべく、私は席を立つ。


「ちょっと行ってくる。ヴァルゴ、アリエス、レオ以外は引き続きアシリアの警護」


 何故自分たちだけ、とハテナマークを出しつつ私の後ろに着いてくる。



 私が前に登場するとマッチョの壁が更に厚みを増した。

 うっすら見える女帝さんの風貌に見覚えがある。黒いドレスの美女。金色の大きな鳥の羽根をうねられた鍔びろの帽子をなまめかしく傾けてかぶっていた。肘まで覆っているのは生地が薄い黒の手袋。背中に刺青がちゃんと入っている。白い肌が眩しい。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()があった。


 うん。とあるNPCの同じ服装!!!



「おーい、()()()!!!!」



 手を降り、件の女帝さんに挨拶をした。


 周囲は硬直し出す。いきなりフレンドリー過ぎるのでは、と。

 誰もが命知らず、無謀者と考えているが、予想を大きく外すことになる。


 私の呼び掛けに応える女帝さん。


「あれ? ユミナさん??」


 女帝さんも何故知り合いがこのパーティー会場にいるのか、少し驚いていた。

 女帝さんの返答。黒服マッチョ全員が青ざめる。警護中の黒服マッチョは一斉に会釈する。綺麗で乱れがまったくないお辞儀。



「「「「「お久しぶりです。ユミナ様!!!!!!!!!!!!」」」」」



 体育会系の人たちと同じくらいの声量で挨拶されました......


(鼓膜が破けそうな威力......)

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