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NPCがわたしを"推す"! VRMMO (あれ? 推してるのわたし!?)  作者: 麻莉
シーズン4 悪魔は嗤い、被造物は踊る 【2章:【 】】
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出逢う

 インペリアル・アペクス号は有名な船大工NPCと生産職プレイヤーが情熱を注いだ結果、現在風の船内となっていた。


「船の中に街が出来てる...」


「色々あり過ぎますね...」


「街中でショッピングしている気分です」


「全部、回れるのでしょうか」


 レストランやカフェ、各種ショップ。バー・ラウンジもあれば劇場、カジノまで揃っている。

 船体のデッキ部分は巨大なプールが設置されており、自由に泳げる。


「調べでは【ムートン】で構えてるお店の出張版が中階層にあるらしいです」


「後は各街にある有名店なども中階層に出店しているそうです」


 有名な商人や貴族たちが支援した結果、船内に街が完成してしまった。


「試験的に実施した計画みたいですが」


「ここには有力者たちが乗っている。盛況なら別街で2号店くらい出来るかも」


 周囲を見渡す。


「最終候補まで残った聖女候補たちに取り入ろうと各界の著名人も多数、乗っているみたいですし」


「なんか......乗客全員、敵に見えます」



『これ全てください!』


 近くの服屋から女性の声が聞こえてきた。

 店から出てきた女性は少女。150cmくらいの身長。小柄ながらボリュームのある胸を持っていた。ミルク色の髪は肩まで伸びている。買い物にきた何処かの貴族の令嬢と思わせるが、その考えはすぐさま消えた。シスター服を着ていた。少女の隣には買い物袋を両手にいっぱい持ってる執事がいた。


(ロリ巨乳......いや、なんでもない)



「エマ様。少し買い過ぎでは?」


「グラムのおじさまからお金多く貰ったし、使わない方が勿体無いでしょう」


「グラム侯爵です............エマ様」



 少女と執事のセット。数十分前にも似た二人組と会話したばかりだ。


「まさか、ね......」


 楽しく会話をしている二人組はピタリと足を止めた。

 私たちに気づいた。


「あっ!!?」


 私たちを指差す少女。大声を出した。


「アシリアさんとアシリアさんのご主人さんだ」


「あ、どうも。えっと———」


「聖女候補の一人、エマ・クラユイ様です。ご主人様」


 ハイテンションで挨拶するNPCのエマ。


「初めまして! エマ・クラユイでーす!! で、こっちは......」


 渋い青髪の美男子NPCが続いて挨拶する。


「セーレと申します。エマ様の執事をしております」


 俯くヴァルゴ。あ、まさか......この執事も


 ウマ柄の懐中時計を取り出し、何度も時間を確認するセーレ。

 何かに気付き、口を開くヴァルゴ。


「相変わらず、緊張すると時間を確認する癖は直ってないようですね............()()()


「君は......人間と契約した噂は本当だったんだね。それに......」


 セーレはアリエスとカプリコーンを見た。


「星霊。それも元天使と元初代聖女まで従えているとは......末恐ろしいね」


「えっ!!? 今セーレ、なんて言ったの?」


「うん? 高級シスター服を着ているのは初代聖女。現聖女のアシリアさんじゃないよ、エマ」


 絶叫を上げると思ったが、目を輝かせたエマはアリエスに近づき手を握っていた。


「大先輩様だぁああ!!!!!!!! わぁ〜〜〜!!!!!!!!」


「う、腕が......もげる」


 大はしゃぎのエマと振り回されるアリエス。エマからは敵意がない。あるのは純粋さだけ。


 アリエスの手を離すエマ。


「エマ、超幸せ!! ふぅ〜 セーレ」


「なんだい、エマ」


 ふ〜ん。この二人も気心が知れた関係みたいだ。


 エマの無邪気な笑顔がなくなり真顔になっていた。


「エマ。船旅中、遊ぶ以外の事しない」


「船旅中だけかい?」


「【サングリエ】に戻ってからも、聖女になるために行動するだけ。良い?」


「ボクは君を聖女にするために生きてる。エマの決めた道がボクの道さ!」


「えへへ! ありがとう! と言うわけでユミナさん」


「......?」



「エマたちはアシリア様に何もしない」


 態々敬称を変えたのは、私たちに対しての決意かも知れない。

 自分たちは決して手を出さない、みたいなものだろう。


「エマ様、そろそろ......」


 懐中時計を見せる。


「では、パーティー会場で」


 彼女たちは去った。


「愉快な方々でしたね、ご主人様」


「そうだね。少し面食らったよ。で、ヴァルゴ」


「心配ご無用です。彼も悪魔。契約者との契約違反は悪魔の矜持に反します。ですので、問題ありません」


「なら、作戦を続けますか」


 船限定で販売しているアイテムをあるかも知れない。


 私たちは、アシリアと離れているのを周囲に印象付ける行動を開始した。

 明らかに一般客とは違う視線を感じ取れるし、隙が出来たと殺し屋が客室へ向かっても別働隊が待ち構えているから即座に返り討ちされるかもね。



 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 70.セーレ→→契約済:人間種:エマ・クラユイ


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

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