スキルを盗む怪盗紳士は師匠を探している その8
サブタイのサブタイ
お服さまは三食ないと生きていけない
◇◆◇◆◇◆◇◆
さぁ、努力の結晶を奪うコソ泥を捕まえよう! 、は一旦置いといて。
先に用事を済ませ、終わったら【サングリエ】に行く事にする。で、用事というのは......
「ここだよ!」
私はクイーンを鍛治室に案内した。私にもコソ泥にお礼参りする理由が出来た。(えっ!? ユミナの勘違い?? はて? 身に覚えがありませんなぁ~)
同時にクイーンにもコソ泥を追い理由がある。が、現状目撃情報は出ていない。闇雲に捜索しても無駄足になる可能性が高い。なので今のうちに準備を万端にしておこう。クイーンはプレイヤーに襲撃された時、戦闘を数回してしまい武具の耐久値が減っていた。
後は姿を隠せるアクセサリーを求めて。街に戻れないので私の鍛治室に案内した次第であります~
暖簾をくぐる。
「う~~ん」
丸椅子が揺れている。乗っているタウロスは唸り声を出していた。
「タウロス?」
声を書けたが返事は返って来ない。
にしても器用に座ってるな〜
「ツンツン......これもダメか」
頬や巨胸をつついても全くの無反応。それじゃあ......
「あひゃあああ!!!!」
秘技高速スクラッチ!
タウロスは笑いの状態異常に掛かった。
笑いすぎて注意が逸れる。器用よく座っていたタウロスはバランスを崩し、倒れ込んだ。
「はぁ......はぁはぁ.........なんだ、お嬢か」
息が荒いタウロスは後ろを確認。襲撃者が私と分かると若干睨んできた。
「アタイが脇腹弱いの誰から聞いた......」
「いや、誰からも教えてもらってないよ~ さっきまでクラスをこちょこちょの刑で遊んでいた名残!」
「......アイツも不憫な役回りだな。お嬢のオモチャになったのが運の尽きか......ハァー」
「おーい。深いため息漏らすな~ ってそんな事よりも」
「メイドをオモチャ扱いしてる事案よりも大事な事があるのか?」
「考え事?」
「あーまぁ~な」
指を指す方角を見ると、大量の紙の束。床に落ちてる紙を拾い中を覗いた。
「図面?」
チョーカーのデザイン絵だった。他にもアクセサリーの類いや武器・防具のデザイン絵が大量にあった。
「お嬢の新アイテムをどうするか悩んでいてな......以前臥怒れ邪悪龍の素材をゲットしたろ。アレで色々試作品を作ったが、納得いかなくてよぉ 素材は限られているから、紙に書いていたんだ」
「なんか、ゴメン」
「いんやぁ、アタイの腕の問題だ。最有力候補は両腕兼用ガントレットか王冠もしくはティアラかな~ 何か切っ掛けが在れば行けるんだけど......所で、どうしてクイーンが居るんだ?」
タウロスに今日の出来事を説明した。
「へぇ、奇妙なヤツが居るんだな~ トランプカードか~」
「で、ここに来たのはクイーンの武具の修理と姿を隠せる効果があるアクセサリーをお願いしたくて」
「武器修理依頼OKだ」
「ありがとう!」
クイーンも喜んでくれて何よりだ。
「で、アクセサリーの方は以前お嬢とアリエスに防具作ったろ」
私には純白の霊奏、アリエス潤幻霊服だっけ。顔が完全に純白の霊奏で被されている間は5分だけ姿を隠せる効果が付与されている。潤幻霊服は上下共有装備で見た目は唯の入浴用の衣服。身体の消せない傷を隠すことができる。
「後はヴァルゴがキョウ......何でもない」
あ、はい。恐喝か脅迫されたんだね......
だからあの時、いつの間にかヴァルゴが装備していたアクセサリーアイテム、幻鉄の眼鏡があったのか。純白の霊奏と同等の性能だったはず。
う〜〜ん
クイーンを見たが、幻鉄の眼鏡を製作しても装備出来ないかも知れない。頭装備が白色のベネチアン風仮面が装着している。目元にマスクとサングラス。絶対に合わない......超絶ダサい。
「使えそうな素材持ってねぇのか」
クイーンはストレージを開く。素材アイテム一覧をスクロールした。
「これ使える?」
目当てのものを発見し、タウロスに提示した。
「ほぉ〜 これなら隠密付与のアイテムが出来るかもな。種類はアクセサリーでいいか?」
「そうだね。アクセサリーでお願い」
「友人価格で受け持つぜ」
何っ!!? ズルい......いや、待てよ。これはチャンス〜!!
「じゃあ、タウロス。私も恋人価格で!!」
「......お嬢は適正価格だぞ。もっと値上げしても良いけどな」
「な、なんでよぉおおお!?!?」
「さっきのこちょこちょの仕返し」
「ぐぬぬ......っ。ひ、卑怯な......」
「ユミナが悪いと思う」
「流石、クイーン。分かってるな!」
ハイタッチする二人。
結託して私を苛めて楽しいか!!?
「で、早速依頼するか?」
「お願い」
クイーンはストレージから修理依頼の武具とアクセサリー製作に必要な素材をタウロスに預ける。
「け、結構修理品あるな......その白い装備は良いのか?」
「この白銀の幻鍵は耐久値がない」
クイーンの言葉に過剰反応し、タウロスはクイーンの周りをぐるぐる回り、まじまじ見ていた。
「この時代に耐久値無制限の防具があるとわなぁ~ 装備条件厳しいだろ」
「正解です。必要ステータスがDEXが500、AGIが400、CHAが100。MATを最低数の1にした状態が前提条件」
よくステータス揃えれたな~
レベルアップ時のポイントとアクセサリーで補ったのだろう。てか、魔法攻撃力を1にするとか、魔法を使うなと言ってるようなもんじゃん......
私は自分でも忘れがちだけど、魔法使いだからMATも上げてる.....
「1日3回【お宝】アイテムを白銀の幻鍵に吸わせないといけない縛り付き」
食事かよ!!?




