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NPCがわたしを"推す"! VRMMO (あれ? 推してるのわたし!?)  作者: 麻莉
シーズン4 悪魔は嗤い、被造物は踊る 【1章:アグネス女学園の乙女生活】
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責任を取ってくるわ

 起き上がるオリバー。息が上がっていた。


「英雄にでもなるつもり......」


「英雄に興味はないわ。私は......大切な人たちを護る為に動いているだけよ」


 オリバーは下を見ていた。ユミナの大切な人たちを。


「貴女の想いに、みんな応えているのね」


 私は臨戦態勢を解く。


「私は、貴女の想いは尊敬します。ですが、貴女の行動は否定します」


「えっ......!?」


「生徒と教師。一般的な考え方なら受け居られない関係。でもオリバーさんはシフォンさんを好きになってしまった。愛は素晴らしいモノと同時に残酷なモノ」


「分かった風に言わないで......」


()()()()()。私も同じだったから」


 オリバーが私を見詰めていた。


「一歩分の勇気を出したから、今の私がいます」


 私の言葉に悟った顔を浮かべるオリバー。


「そっか......」


 オリバーから完全に敵対する意思がなくった。下の騒音も消え去っていた。


『ご主人様』


 後ろから声をかけられた。相手はカプリコーンだった。

 カプリコーンの隣には制服を着た女性がいた。


「シフォン会長......?」


 シフォン会長が私の方へ歩いてきた。


「休まれては?」


 微笑えむシフォン会長。


「十分過ぎる休息を取りましたわ」


 純粋で清楚な印象だった。

 オリバーさんが見惚れるのは分かった気がする。


 シフォン会長が私にお辞儀し、オリバーさんの方へ。


「......先生」


「ごめんなさい......」


 シフォン会長がオリバーさんの手を優しく握った。


「バカですよ、こんなわたしの為に。わたしには先生が好きになる要素はありませんわ」


「違う......一目惚れだった。ずっと告白したかった......でも、私は教師。貴女は生徒。自分の気持ちを押し殺した......結果、学園にも多大な迷惑を掛けた。私の方が大馬鹿者よ」


 シフォン会長の手を離す。


「責任を取ってくるわ。シフォン、ありがとう。最後にお話ができて。貴女は立派な淑女になるのよ。後......私が言えた義理じゃないけど、残りの学園生活、貴女を想っている生徒たちの為に【生徒会長】と【最高のお姉様(アリストス)】を続けてほしい」


 そう言い残し、オリバーさんは去った。


「ユミナさん。ありがとうございました」


「い、いえ......私は」


「謙遜しないでください。不甲斐ない生徒会長のお言葉では嬉しくないでしょうが」


「そういう意味ではありません」


 私は悪魔の下を見た。


「全員は助けれませんでした」


『お嬢様。ご安心してください』


 音もなく隣に現れたヴァルゴ。


「どういう意味よ」


「アレをご覧ください」


 指を指す方向へ目を向ける。

 倒れていた女子生徒が次々と起き上がってきた。全員、”どうして自分がここにいる”みたいな顔を出していた。


「召喚主が悪魔召喚を破棄しました。なので、供物となった魂は返却。全員無事ご無事です」



「やったぁぁああああ!!!!!!!!!」



 私の前にメッセージが表示された。クエストクリアの報告だった。



 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 アグネス女学園限定クエスト


 ・消えた乙女たちの捜索:クリア!!


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

















 その後、レナード理事長たち教師陣が到着。オリバー・リーディエントは自首した。シフォン生徒会長も起きたばかりで本調子ではなかった。他の生徒に支えられて学園へ戻っていった。


 さて、残る問題は......


『終わった様だなぁ』


 私たちはグラシャラボラスと対面した。


「まずはおめでとう。君たちの勝利だなぁ」


「貴方も参戦すると思ったわ」


 嗤うグラシャラボラス。


「アイツとちゃんとした契約を結んでいれば、お前たちと敵対していたぁ。だが、悪魔は契約を何よりも重んじる。それが我ら悪魔の矜持。例外はない」


 悪魔にも譲れないプライドがあるのか。見た目は暴力的なのに意外にもルールは守る悪魔だな。


「では、オレから提案を提示しよう」


 グラシャラボラスが私、クイーン、カステラを見ていた。


「お前たちに興味が出た。これは受け取れ」



 グラシャラボラスから受け取ったのは指輪と板だった。指輪は悪魔風の装飾以外特に目立ったアイテムではなかった。板の方から見た。ただの板ではない。透明なアクリル板。アクリル板に描かれているのはグラシャラボラスというキャラクターのイラスト。アクリル板の下には円形の台座が付属していた。



 謎の縦長アクリル板を悪魔から受け取り、テキストを読んだ。




 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 ・悪魔の欲板(イーヴィルスタンド)


 契約状態:未契約


 悪魔が契約候補者と交渉中の証。お前に注目してる、唾をつけたからな。


 契約者候補は一定時間、対応する悪魔の欲板(イーヴィル・スタンド)から悪魔を召喚できます。

 召喚時間、行動時間は召喚した悪魔との好感度によって変動します。

 好感度が低いと悪魔が牙を剥くことがあります。


 悪魔が役目を終える、もしくは倒された場合、悪魔の欲板(イーヴィル・スタンド)に戻る。再召喚には時間がかかる。

 但し、1分以内に悪魔の蒐集棚(コレクション・ケース)に収納しないと消滅します。


 ※悪魔の欲板(イーヴィル・スタンド)は譲渡不可

 ※悪魔の欲板(イーヴィル・スタンド)は奪われない

 ※悪魔の欲板(イーヴィル・スタンド)は他プレイヤーと交換不可

 ※悪魔の欲板(イーヴィル・スタンド)は破壊不可


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜








 私たち3人は顔を見合わせ、同時に呟いた。


「「「これ、アクスタだ!!?」」」


悪魔契約には三段階存在する

ユミナたちの状態は2段階目

1段階目:悪魔の護謨(イーヴィルラバー):提案中

2段階目:悪魔の欲板(イーヴィル・スタンド):交渉中

3段階目:???:契約済

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