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NPCがわたしを"推す"! VRMMO (あれ? 推してるのわたし!?)  作者: 麻莉
シーズン4 悪魔は嗤い、被造物は踊る 【1章:アグネス女学園の乙女生活】
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「ねぇ、カプリコーン。前に言わなかった!」

 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 無数の足音が地下道に響く。


 カプリコーンと100名のアグネス女学園の生徒だった。


 カプリコーンは先頭ではなく、後方を走っていた。理由はある。敵が牢屋の状況を見れば追いかけてくる。自分が迎え撃つ為に後方にいる。では前方は?


 カプリコーンは生徒を調査していた。中には【監督生】や【生徒会】メンバーに肩を並べれる生徒もいた。幸運にも100名の中に実力者が複数名存在していた。彼女たちと作戦を考え、前方を任せた。


 各々の武器は学園にある。が、今は携帯していない。いくら実力者であっても丸腰では太刀打ちできない。だが捕まった者たちの中にカプリコーンがいた。ウラニアの指輪から武器を取り出し、生徒に提供した。


 走り続けるが違和感があった。進んでも出口がない。

 複雑な道ではない。薄暗いが一本道の洞窟内。


 走っても走っても辿りつかない出口。誰かに監視されている気配。


 嫌な予感がする。カプリコーンの直感は直ぐに来た。


 後ろから二人現れる。レイチェル・ライラックとシャリー・エラーブル。

 二人の姿を見て、歓喜する生徒たち。中には二人の方へ歩き出そうとする者もいた。


 だが、カプリコーンが静止させた。


 カプリコーンは熾星の細剣(セラフィム)を構える。


「やはり、お二人は既に......」


 空中で立位体前屈姿勢になり、背中から水の身体を持った怪物が生えてきた。


 生徒たちの歓喜は悲鳴に変わる。


 襲いかかる【願き者の源水】。迎え撃つカプリコーン。


「なるほど。コイツらが攻撃中、他部位の防御力が下がっている」


 数回の戦闘で敵の弱点を見つけ出したカプリコーン。


「加えて、【炎聖の帝王(デネブ・アルゲディ)】」


 シャリー・エラーブルの【願き者の源水】に直撃した突き技。内部まで到達した熾星の細剣(セラフィム)

 水が蒸発していく。蒸発したことで【願き者の源水】の水状の身体が減少していく。


「アナタが耐えれない火属性の攻撃を与えれば、戦闘に使う分の水エネルギーも減る」



 カプリコーンが次攻撃を繰り出す瞬間に———



『きゃあああぁぁぁぁぁっ!』



 複数の少女の悲鳴が響く。後ろを見ると。


「なんで......」


 言葉を失うカプリコーン。


 先の光景。水の触手が無数。生徒が次々捕獲されていった。


 戦う者もいた。だが敢えなく敗れ、触手に捕獲された。


「やめろぉぉおおおお!!!」


 絶叫と同時に2体の【願き者の源水】を倒す。触手が群がる方向へ駆けた。


 斬った。斬り続けた。四方八方向かってくる触手を。


 生き残っている生徒を守りながら。


「ッ!!?」


 身体に触手が絡みつく。振り解こうとするがより一層触手がまとわりつく。巻き付かれた触手が鞭のように動く。風を切り、触手は宙を舞う。勢いのまま地面に叩き付けられた。


「がっ」


 水触手は相手の生死関係なく暴れた。地面に、壁に。何度も......何度も..................


「......ハァ、ハァ...ハァ......」


 カプリコーンの呼吸は荒くなっていた。【山羊の執星】に傷はない。が、土などが大量に付着していた。


「みんなを......解放しろ」


 今尚生徒を捕まえる仕草を見せていた水触手が全て停止した。


「私が代わりに捕まる。私の命を好きにしろ」


 ジリジリと近づく水触手。全部カプリコーンに集まっていく。下にいる生徒と目を合わせる。

 生徒たちはカプリコーンの意図を理解し、涙を流しながら走り去った。




 全員ではないが逃がした。後は私が時間を稼ぐ。

 カプリコーンは自分を犠牲に多くの人間を救った。


 悔いはない。ただ......最後にもう一度、自分が愛した人に会いたかった——————


「ユミナ様......」


 飛んでくる触手は束になった。水触手が迫る。獲物を狩る獰猛な肉食動物のように。






















 ガラスが割れる音。ガラス片が宙を彩る。



「【天照神(アマテラス)】!!」


 束に纏まっていた水触手が一気に蒸発し出す。灼熱の拳が直撃する。


 カプリコーンは目を見開く。


「ッ!?」


「ねぇ、カプリコーン。前に言わなかった!」


 拳から双剣に切り替える。


「【海女神(テティス)】!!」


 カプリコーンを拘束していた触手は綺麗に細切れになった。再生は出来ず、敵にエネルギーを奪われた。


 落下するカプリコーンを少女は抱き抱えられていた。

 桃髪に赤と緑のオッドアイ、カプリコーンに勇気をくれた大切な(女性)


 少女は着地する。


「『自分の命を大切にしなさい!!』、って」


 カプリコーンは呆然と主を見る事しか出来ない。


「............ご主人様」


 少女(ユミナ)はカプリコーンに顔を向けて笑顔で言った。


「頑張ったね、後は任せて」


 カプリコーンを端に置くユミナ。


 再び婥約水月剣(プルウィア・カリバー)を装備。



「よくも人の女を辱めたな、覚悟しろよ」


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