表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
NPCがわたしを"推す"! VRMMO (あれ? 推してるのわたし!?)  作者: 麻莉
シーズン4 悪魔は嗤い、被造物は踊る 【1章:アグネス女学園の乙女生活】
307/396

不味い、完全に忘れていた!?!?!?!?


 星刻の錫杖(アストロ・ワンド)裁紅の短剣(ピュニ・レガ)をストレージにしまう。空いた右手はゆっくりと左胸へ。

 隣にいるリーナ。リーナもまたネックレスに手をかけている。


「準備はいい?」


「いつでも!」


 左胸に装備しているブローチ――――――『覇銀の襟飾(ヴァイセ・エーゲン)』。

 首にかけているのは歯車のチャームが付いているネックレス――――――『運命の歯車(クロノ・ウルル)』。




 私たちはは引きちぎるようにアクセサリーを外す。


「『真祖解放(しんそかいほう)』」

「『真遡解放(しんそかいほう)』」



 真祖吸血鬼へ変身完了。


「なんか私たち並ぶと姉妹みたいだね!」


「ふふっ。そうですね!!」


 鬼蜂の拳(キラー・スティンガー)を装備。捕食者の影爪(シャク・ロドエ)じゃないのはサイズの問題。後は現在タウロスに修繕依頼を出しているから装備出来ないのもある。バカデカい両腕兼用籠手よりもグローブ武器の方が廊下戦闘で活躍できる。


 ドレスから大量の極太イバラが放出される。


「そっちがイバラなら、こっちは毒針よ!」


 鬼蜂の拳(キラー・スティンガー)のグローブの外側、手で表現すれば甲部分には細く伸ばされた造形の猛毒を持つ針がある。毒針は直接敵に突き刺すこともできるが、弾丸のように飛ばすことが可能。


 鬼蜂の拳(キラー・スティンガー)を前に突き出す。二発の毒針が発射された。毒針は接近するイバラの軌道を変え、私に当たらない。


「魔法が使えなくてもMPは存在する!」


 アグネス女学園は、理事長をはじめ()()()()()以外魔法が発動できない。魔法使いでもある私には痛すぎるデメリット効果。だから()()()()()近接主体の戦法しか取れない。


 魔法が発動できないだけで、プレイヤーやNPCが保有するMP(魔力)は消えない。

 発射された毒針を補充するにはMPを消費すればいい。


 鬼蜂の拳(キラー・スティンガー)に新しい毒針が生えてきた。



「新婚の洗礼を受けろ!!!」


 うん? ほらぁ~ 私、新婚歴コイツより長いから(マウント!)

 イバラを殴りつつ、毒針を大量に発射。

 私のMPは無限だぁああ!!!!





 リーナが右手に嵌めている手袋は『吸血姫は遡る(ブラド・タイム)』。

 リーナが真の力を解放時に装備される専用アイテム。甲には砂時計のようなツールが付属している。『吸血姫は遡る(ブラド・タイム)』は甲部分にある砂時計を回転させることで、砂が落ちている間は瞬間移動を可能にする。デメリットとしては、砂が落ち切ると体に負担がかかり一定時間、動けなくなる。



「花嫁さん...お腹空きすぎて攻撃が乱暴になってきたよ」


 結婚式じゃ、ほとんど食事出来ないって言うし。我慢の限界なのだろう......


 茨がリーナ襲う。拳で茨を殴り軌道を反らした。


「人の女に手を出すとは不届きな花嫁さんだぁ~なぁ~」


 新郎さんに愛想尽きたんですか!?!?


 もうNTR展開は御免なのよ......ヴァルゴのアレはNTRなのか? アイツ自身で行く選択中だったからギリ未遂? いやでもあのクソヤロウが貰うとかほざいていたからやっぱりNTR展開かぁ~


「花嫁いつまでもブーケを持ってちゃダメよね!」


 さっさとブーケトスしなさいよ! 欲しければくれてやる? じゃあ頂きます!(ニッコリ)


 拘束中の生徒いないと茨の身体の構造がハッキリわかる。茨の奥。花嫁の核に該当する球体を発見。サッカーボール位の球体の内部。黒薔薇のブーケが内部で漂っているのが確認出来た。


「【天界女王(ヘラ)】」



 天界女王(ヘラ)は拳武器装備時、威力上昇する。追加効果で敵へクリティカルヒットした場合、敵に【減少】が発生する。【減少】を受けると、初めにステータス値が下がり続ける。1クリティカルでは、【減少】効果は微々たる物。連続クリティカル攻撃が当たると急速に【減少】が発生する。【減少】状態が長引くと敵の身体も崩壊していき、最後は無に還る。


 濡羽色の闇を覆いながら鬼蜂の拳(キラー・スティンガー)の攻撃が核に直撃。顔面が膨張。勢いよく花嫁が嗚咽を漏らす。


「リーナ!」


 私が花嫁を引きつけている間に吐き出された黒薔薇のブーケを回収するリーナ。



「【天照神(アマテラス)】」


 鬼蜂の拳(キラー・スティンガー)に燃える太陽に似たエフェクトが纏わりつく。


「火気厳禁!」


 ストレートパンチが花嫁へ。

 胴体が茨で構成されている花嫁。天照神(アマテラス)は拳武器装備時、威力&クリティカル上昇。加えて攻撃がヒットした敵の内外部に太陽と同じ温度を与える。


 大抵のモンスターは耐えることができず消し炭の一途を辿る。


 今回の敵は内部露出してる。植物だからよく燃える。更に外部はウェディングドレス。布製品もあっという間全身に燃え広がる。


「ユミナ様!」


 リーナの声が後ろから。今度の展開を予想。前に進むのを止め、右へ横移動。


「喰らいなさい! 出力100%―――【血の妖(クリムゾン)】」


 振り下ろされた剣。全力の血撃。防ぐことは出来ず。真相吸血鬼特製の特大威力の直撃。燃え盛る花嫁に耐え難い苦痛の負荷。花嫁は後ろへ吹っ飛び、床へ倒れ込んだ。


「貴女に恨みはないけど......返して貰ったから」


 花嫁は朽ち果て、消滅した。


「ほぉ~」


 一息つく。


「疲れたぁぁぁ~」


 私の『真祖解放(しんそかいほう)』とリーナの『真遡解放(しんそかいほう)』は解除。『覇銀の襟飾(ヴァイ・エーゲン)』と『運命の歯車(クロノ・ウルル)』、2つのアクセサリーへ元に戻った。変身解除後はデメリット効果が身体を蝕み。


「そっちは終わった~」


「はい。無事ブーケを回収しました」


 今回回収した黒薔薇のブーケは全部で4つ。私たちが2つ、ヴァルゴとカプリコーンチームは2つ。行方不明の生徒は10名。カステラが初めから10名に含まれているのか分からないので、残り6名として考えよう。


 廊下がひび割れる。割れたガラスのように砕け散る。


「戻って来れたぁ〜」


 砕けた先、いつもの女子寮の廊下。私たちは元の世界に帰って来れた。






「仮眠して元気100パーセント!!」


 花嫁を倒したことで異空間は消滅し、私たちは元のアグネス女学園に帰ってこれた。3人は就寝。私は一度ログアウトして仮眠を取ることにした。


 回収した黒薔薇ブーケ。【花嫁】を倒しても生徒に戻ることはなかった。だが、アイテム説明を読む限り、呪いのアイテム。なので、一度学園の外に出て『清浄なる世界へ(ヴィム・エブリエント)』を発動するしかない。



 制服に着替えた。ドアノブに手を置く。


「じゃあ、行こう!」


 ドアノブを回し、扉が開く―――


「......っ!!?」


 廊下に()()の女子生徒が立っていた。

 ゆっくり扉を閉めた。



 ヤバいヤバいヤバいヤバい

 ヤバいヤバいヤバいヤバい

 ヤバいヤバいヤバいヤバい

 ヤバいヤバいヤバいヤバい

 ヤバいヤバいヤバいヤバい

 ヤバいヤバいヤバいヤバい

 ヤバいヤバいヤバいヤバい



 全身から嫌な汗が止まらない。寮部屋に同室生徒以外の他の生徒は入れない。が、咄嗟に身体が動き、扉を背中で押さえていた。


「皆、緊急事態発生」


 不味い、完全に忘れていた!?!?!?!?

 そうじゃん、昨日の夜はクイーンの対処について話し合う予定だった。でも、監督生とか黒薔薇ブーケを持つ花嫁とか、イベント続きで完璧にクイーンの事をド忘れしてたぁああああ!!??!?




 どうする? どうする? どうする? どうする?

 どうする? どうする? どうする? どうする?

 どうする? どうする? どうする? どうする?

 どうする? どうする? どうする? どうする?

 どうする? どうする? どうする? どうする?

 どうする? どうする? どうする? どうする?




「お嬢様、ここは私が」


 救世主爆誕ッ!!


()けぇ! ヴァルゴ、君に決めた!!」


 扉が再び開く。今でもつくり笑いのクイーンが立っていた。


「久しぶりね、クイーン......」


「......久しぶり、ヴァルゴ」


 一触即発。不穏な空気が広がる。徐々に不安が募る。



 不安な空気。行動が起きる。お互い手が動く。



 バンッ!!!



「はぁ!?」


 二人は相手の手を握る。まるで久方ぶりに再開した親友が握手を交わす場面かのような光景。


「「会いたかった!!!!」」


 非常に笑顔。抱き合う両者。思考が追い付かない。状況に置いていかれる。


「似合っていますね!」


「ヴァルゴも完璧に着こなしていて流石!」


「ねぇ~ ふ、ふたりとも......」


 会話に入りたいが入る余地はない。


(いや、待てよ。これはチャンスではないか!?)


 ゆっくり歩を進む。抜き足差し足忍び足......


 カプリコーンとリーナは私の行動を静観。

 デキる従者を持って私は幸せ者だ!!


 一定領域内を脱出すれば、後は全力疾走する。

 意外なほど順調に事が進む。恐いくらいだ。だが、これは好機と思おう。


 良しッ。これくらいの距離なら......



 勢いよく走―――――――――!!?


「あれ? 動かない!?」


 走ってる途中の私の身体。私だけ静止したかのような感覚。


 肩に違和感が......ま、まさか!?


 恐る恐る顔を後ろへ。


「ひぃ!!!?」


 非常にニッコリ笑顔の女性、私の肩に手を置いていた。


「一緒に登校しようか」


「.........はい」


 こうして捕まった私はクイーンと一緒にアグネス女学園の校舎へ登校する事になった。












 あのぉ~ 最優先事項があるので、一度学外に出ても良いですか?








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ