おつまみ探しと邪龍?と配信?? その4
サブタイのサブタイ
人間得手不得手がある
いや、待て。まだ方法はある。
今までの行動を分析。良し、解析は完了した。
星王の創造の宝石を二回叩く。液体金属が出現する。私のバングルから銀色の液体が飛び出す。未知のアクセサリーの出現で偶然居合わせた生産職志望プレイヤーは発狂する。
液体金属は形を成す。私の背中に生やすは腕。合計八つ。上の四つは人間の手を模したモノ。下の四つはマニピュレーターの手を模したモノ。ロボットアームと似たような代物らしい。『いつか何かの役に立つかも』、とスコーピオンに教えてもらった。スコーピオン先生。どうやら、今日がその時だよ!
「ユミナ......もうやめようよ」
「フェーネ、気づいたのよ。私が直接食材を持つからいけない。この八本の腕があれば必ず合格できる」
人間の腕がダメなら、次は機械の腕だ。私に死角はない。
「自分の心が更にすり減るぞ」
「レオ、私は常に前へ進む女王。立ちはだかる相手は何者だろうと容赦しない」
「......既にユミナの負けだろう」
私が降参しなければ、私の負けではない!
「行くぞぉおおお!!!!!!!!!!」
はい、ダメでした。『ただの黒焦げたゴミ』が一気に8個に増えただけだった。
結局、私は諦めた。クエスト失敗となる。
1時間後。商業ギルドに隅っこで呆けている私にレオとフェーネがやってきた。
「で、結果は」
「不貞腐れるなよ、合格だ!!」
「私も!!」
レオとフェーネのステータスを確認。複数のジョブを獲得している者はサブジョブ欄押すと、今まで取得したジョブが表示される。二人の言葉に嘘はない。ちゃんとサブジョブ欄に【料理人】があった。
「味噌を初めて見たけど、独特な匂いしたね」
「他の生徒に聞いたが、おにぎりに味噌を塗ると美味いらしいぜ」
「私は煮る工程が難しかったわ」
「お前、火加減をちゃんと調整しないとバレンみたいになるぜ」
「あれは傑作だったよ。レモンティの包丁さばき見た?」
「しまった。酢の物を作っていたから見逃したぜ。不覚ッ!」
レオとフェーネは30分間に起こった事を語り合っている。
「うるさ————————————————い!!!!!!!!!!!」
私の絶叫が商業ギルドに響く。
「ふん。どうせ私は超絶不器用な人間よ」
「機嫌なおせよ〜」
「落ち着いて、ユミナ〜」
私を二人が宥めている最中に現れたのは二人のプレイヤー。
『聞いたよ、ユミナ』
この声は......
振り返ると、見知ったフレンドが立っていた。一人はスキンヘッドのマズボックリンゴさん。逆三角形の筋肉モリモリな肉体。二メートルを保有する身長。ファーを羽織っておりよく似合ってる。体は男性のオネエ様。
で、もう一人は私に話しかけた声の主。
「......カステラ」
「何故恨み口調なのよ」
どうせ何か言うんだしょう。短い付き合いでも分かるから。
「お久しぶりね〜 ユミナちゃ〜ん!!」
「リンゴさん!!!!!!」
「辛かったわね〜」
私のダイブを簡単に受け止めてくれたマズボックリンゴさん。優しい人だ。私はマズボックリンゴさん、大好き。
「酷いんだよ。みんな寄ってたかって私を虐めるんだよ」
「酷いわね〜 人間得意不得意があるのに〜」
「本当ですよ」
涙目の私をマズボックリンゴさんは介抱してくれた。
「と、被告人は述べていますが」
「アレはユミナが100%悪い」
「レオと同じ感想」
ちょっと、カステラ・レオ・フェーネ。
私は被害者よ。何呆れ顔しているのよ!?!?
「凄い......『ただの黒焦げたゴミ』が100個超えてる」
カステラが私のストレージを見る。カステラも掲示板で得た情報で『まさか、な』と半信半疑だったみたい。でも、事実を確認し絶句していた。
「譲渡するよ」
掌を出された。いつも以上に丁寧な断りを言う。
キモいな~
「遠慮します。素材に出来ないので」
『ただの黒焦げたゴミ』は正真正銘アイテムとしては最低ランク。素材にも出来ない、回復アイテムにも出来ない、入手したらすぐ捨てられるアイテム。食した場合、強烈な【腹痛】状態に陥る。状態異常を解除する対策を取ってないと歩くこともできない。
『ただの黒焦げたゴミ』これまで数多の生産職プレイヤーが活用出来ないか模索しても答えは出なかった。産廃アイテム。
「レオ。入れて」
「当然の如くゴミを渡すな、ユミナは」
「もしかしたら、何かに使えるかも」
『ただの黒焦げたゴミ』を全てレオに渡す。渋々ウラニアの指輪内に収納するレオ。
「そうだ、二人とも。知っていたら教えてほしんだけど」
二人に事情を説明した。
「なるほどね〜 ユミナちゃんが急に商業ギルドにいた訳が分かったわ〜」
「【料理人】を取得して愛する従者に手料理を振る舞うか」
「手料理というより、酒に合うおつまみ作りだけど」
「アタシも【闇商人の取引所】に行ったことがあるけど......肉目的で入室したプレイヤーはユミナちゃんが初めてね〜」
「相変わらず行動が読めない百合姫」
「で、どう? 二人とも。心当たりない」
「牧場は〜 カステラちゃん」
「あの魔牛の牧場ですか?」
リンゴさんの説明では、ムートンとサンジュの間の道。道中に牛が放牧されてる。その牛はムートンで湧くモンスターなのに、テイムしているNPCがいる。彼の魔牛から手に入る乳製品アイテムはかなりの品質。
「チーズか」
「燻製器具もムートンのお店で購入できるし、行ってみるのもアリかもね〜」
「レオはチーズ大丈夫?」
「問題ないぜ! 昔献上品でもらったことあるし、傭兵時代も重宝してた」
「良しッ! チーズ探しに行きますか!!」
二人にお礼を言って私たちはスノー・マークさんが経営している牧場へ向かう。
ユミナたちが商業ギルドを立ち去って数分後。
「あぁ!!?」
「どうしたの〜 カステラちゃん?」
「ユミナに依頼を出すの忘れてた」
「急用なの〜」
「う〜ん。急用だけど、そこまで切羽詰まっていないような〜」
「......もしかしてカステラちゃんのギルドが受注中の学園クエストの事?」
「リンゴ姐も知っているか」
「勿論よ〜 かなりの長丁場らしいじゃん〜」
「そうなのよ。生徒会長NPCが一向に出現しなくてシナリオが進まない」
「気難しい、とか?」
「そもそも発生条件がわからなくて。女子生徒NPCの話も噂話ばかりで」
カステラがクエスト進行中に学園と外で自由に出入りしている理由は女性生徒会長との邂逅に必要なアイテム製作。魅力値を上昇するアイテムなどをひっそりと作っていた。ひっそりなのは何かの拍子に情報が漏れて他ギルドが先に生徒会長に会わないため。
ひっそりとアイテム製作をしていたおかげで『オニキス・オンライン』で知名度が爆上がり中のユミナとフレンドになれた。しかも、ユミナが装備している防具はどれも一級品。自分が製作してるアイテムよりも魅力値が高いと見ている。加えてユニークに分類される女性NPCを従者にしており、『リリクロス』では女王にまで上りめているときたもんだ。
ユミナの協力があれば、クエストがクリアできる。タイムリーでユミナの居場所が分かり、お願いをする筈が。忘却するレベルでユミナの不祥事で頭がいっぱいだった。
「ユミナちゃんなら解決できると〜?」
「確証はないけど、あんだけ女性ユニークNPCを籠絡してるユミナなら或いは......」
カステラはフレンドリストを見る。
「まずはギルマスにメッセージ送らないと。『ごめんね、忘れてた』星マークも添えよう」
メッセージ送信後にカステラはクエスト項目を確認する。
「【アグネス女学園の乙女生活 】。流石にクリアしていないか」
へぇー 女学園ねぇー
女をあらば見境なくハントする女王様に、女学園の存在を教えようとするとはねぇー




