ユミナは今日も女王になる
「う〜ん」
鏡の前で私は唸っていた。
久しぶりの制服。まだまだ夏は残っている。
夏服はありがたい。でも、今日は着たくなかった。
「いつまで、やってるんだ?」
後ろから白陽姫ちゃんの声が聞こえる。
振り返り、睨む目をした。
「誰のせいだと思ってるの?」
首を傾げる白陽姫ちゃん。
自分のした事が分からないって顔だった。
「思い当たることはないが」
「ほほぉ〜 じゃあ、証拠見せてあげる」
そう言って、私は首元を白陽姫ちゃんに見せた。
家の洗面台の鏡にも、うっすら映っている赤い痕。
私の首筋には、昨日つけられただろう白陽姫ちゃんのキスマークが残っていた。
喉元は痕は残らなかったけど確かに私の心に刻み込まれている。
それ以外にも、絶妙に夏制服で隠れている箇所に、白陽姫ちゃんのキスマークがある。
「昨日、言ったよね。今日から二学期初日。なのに......」
首以外はなんとか、誤魔化せる。でも、夏服の性質上、首元は丸見え。
言い訳ができない。
「だから、敢えて付けた!」
自分の行動を否定しない白陽姫ちゃん。
「恥ずかしいよ」
「せつなに悪い虫がつかないように予防線を張った」
「だからって......これは」
何度も鏡で確認した。色々な手を使ったが痕を消滅させることはできなかった。
時計を見た。どうやら、タイムアップになってしまった。諦めよう......
久々の通学路。
徐々に学園の生徒が姿を現していく。
で、私たち義姉妹は——————
「ものすごく見られているね」
「そうか?」
手を繋ぎしながらの登校。
女性同士なら普通と思っている人も今回ばかりは少数派だ。
私たちの間に流れる空気が友人同士の空気ではなかった。
より親密になった変化。
異性や同性と特別な関係をなっている者たちは真っ先に気づいた。
そうでない人たちは、なんとなく察した。
周りは見守ってくれた。
誰も口出しする者はいない。
二人の幸せな笑顔を壊す訳にはいかない。
「今日から、一緒に学園での思い出、つくろう。白陽姫ちゃん!!」
「うん! 後悔させないよ、せつな!!」
私たちの前には、これからも色々な困難が待ち受けるかもしれない。
それでも、私たちはお互いを支え合い、乗り越えていく。
一歩、前に出たから。心に従ったから。
少しの勇気を持ったから、未来が開けたんだ。
これから続く道も二人なら進める。
そう、信じている。
だって、愛は強んだからッ!!
◆
「随分ご機嫌ですね、ユミナ。足元から花びらも出ていますし」
城の廊下を歩いている私とアシリア。
星霊を十二体、解放が出来た結果なのか、『星霜の女王』に新しい効果が追加された。歩く度に様々な色の花びらが舞う仕様。きっと今後、活躍できる場面があるだろうと考えている。
隣にいるアシリアに目線を向けた。嬉しそうな顔をしている。
「そう? いつも通りだと思うけど」
「私には分かります。ユミナは今、幸せに満ちています」
呆然した後、口角を上げた。
「そっか! 私、今幸せなんだ。ありがとう、アシリア!」
「ただ、いくつか懸念はあります」
廊下を見るアシリア。
「ユミナ......また、人増えましたね」
アシリアの目が曇る。
私は見ないように目線を逸らした。
「気のせいじゃないかな〜 うん、気のせい」
「後は......皆さん、最近ユミナへのアプローチ激しいですね」
「いやぁ、そんなことはないと思うよ」
苦し紛れの口笛もアシリアには効かなかった。
「ま、良いでしょう」
アシリアは私を抱きしめた。
「少しは......私も構ってください」
アシリアの頭を撫でた。
「そうするよ! 行こっか!」
私たちは謁見の広間へ向かった。
◇
王座に座っている私は従者に命令をした。
『征服者の冥剣』を支配力低下と武器強化にはガイコツモンスターや怨霊モンスターの素材を使わないといけない。
だから、従者と一緒に必要な素材が獲得できる『隠森棲幽』へ向かうことにした。
星王の創造で創造した純白のドレスを装備し、LUK値を底上げしてくれる銀色のサークレットも装備した。
「てか、ヴァルゴ......」
「はい? お嬢様?」
「さっき、みんなの前で『ユミナ様』って言ったよね」
「あの場では、『お嬢様』よりも『ユミナ様』が適切だと判断した結果です」
大勢の従者がいたからと弁解しているヴァルゴ。
「不意打ちはやめてよね」
「オドオドしていたお嬢様。非常に可愛かったですよ!」
「もぉ〜!」
城内を歩いていると、私の前にウィンドウが表示された。
内容は『星霜の女王』の魔法が変化したものだった。
外に出る前に確認する必要があった。
覗くと、私は自然と笑みを浮かべていた。
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星の力を受け継ぎし、君臨する女王(EM:??)
⇨未来の世界は有終の美(EM:500)
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「お嬢様?」
突っ立っている私を心配するヴァルゴ。
ウィンドウを閉じる。
足取りが軽かった。
「ヴァルゴ。今日もよろしくね!」
「はい。どこへまでも、ついて行きます!」
私は、今日も女性NPCの女王として、ゲームを楽しむのだった。
まず初めに。申し訳ございません。
本編完結を解除しようを考えています。
私の我が儘に付き合わせてしまい申し訳なく思っています。
ご迷惑をかけてしまいすみません。
もし宜しければこれからも応援よろしくお願いします!!
次話、2月14日6時投稿します。




