第二百七十三話 灰団
グレートソードの地ずり残月とかも好きです。
「教団!? こんなところにまで教団が?」
「おや、教団の者と会ったことがあるみたいな物言いですねぇ」
「まあ何人かとは対峙して退治したもんね」
私らのその言葉を聞いて《灰蛇》は驚愕の表情を浮かべた。
「何と! 我ら使徒に対峙して生き残ってるとは……金級の冒険者でもない限りは」
「自己紹介が遅くなったわね。私は金級冒険者、《縮地》のタオだよ」
「なんと! 本当に金級とは。そちらのお嬢さんも金級かな?」
「あ、私は銅ですけど」
「……」
「……」
「ま、まあいいでしょう。《縮地》タオ! あなたにこのヒドラが倒せますか?」
あ、スルーされた。まあ気まずいよね。実力者かと思ったら単なる観戦人みたいな立ち位置だもん。男塾で言うところの三号生死天王と一緒にいる田沢とかでしょ。いや、田沢は田沢でいい味出してるんだけどさ。
「さあね。まあその前にあんた先に倒した方が早そうだけど?」
「そんなことをしたらこの子は暴走しますよ? 私の魔力で抑えてるのですから」
体質的に特定の動物に好かれやすい波動の魔力を持った人は居るらしい。私がそういう魔力持ってるならぬこに好かれたいなあ。ぬこ可愛いよ、ぬこ。
とかやってたらヒドラが物凄い叫びを上げながら突っ込んでくる。ちなみに《灰蛇》の奴はヒドラの背中に乗っている。後ろの方にいるやつらは何をしてるのかは分からないがヒドラに踏み潰されないようにか少し離れた位置にいる。まあ転移すればすぐに接近出来るんだけど。
「よいしょ!」
タオが掛け声と共にヒドラを蹴り上げる。タオの方に向かっていったヒドラの首があらぬ方向に曲がった。いや、へし折れた? 動かなくなってる。とか思ったらその首がどさりと落ちて新しい首が生えてきた。うわっ、気持ち悪っ!
「はっはっはっ! 無駄だよ、無駄。一本や二本、すぐに再生するさ」
「切断じゃなければ大丈夫だと思ったんだけどな」
タオが悔しそうに言う。いや、ピンチというよりかはなんか試してる感じ? 攻め手を見つけようとしてるとか。
タオが攻めてそれをヒドラが受ける。受けると言っても防御とかしてる訳じゃない。打撃を食らってそれを再生して凌いでいるのだ。無尽蔵なのかな? 再生にも魔力とか使ったりしないの? 一人分の魔力で賄ってるのかな?
そして私は後ろにいる《灰蛇》の仲間たちの存在になにか閃いた気がした。いや、必殺技は閃かないよ? 乱れ雪月花とか高速ナブラとか活殺獣人衝とかとかイド・ブレイクとか。タオならDSCとかできそうだよね。
私は転移でその他大勢の男たちのところに行く。突然現れた私に彼らはびっくりしていた。
「コンニチワ(まつぼっくりっぽく)」
「なっ!? 貴様、どこから」
「あっちからね。あなたたちはここで何をしてるのか気になったんだよね」
「くっ、たかが銅一人、すぐに始末しろ!」
二人ぐらいが掴みかかって来たけど、そんなのに捕まるほどお粗末な反射神経も運動能力もしていない。ひょいひょい交わしてると魔法が来た。
「風の弾丸よ、敵を撃て! 木門〈風弾〉!」
風が固まった弾丸の様に私の身体を撃ち貫く。魔力が多ければ一発で致命傷になったりする代物だ。……もちろん彼らの魔力が多いとは言ってない。いや、多い方かもしれんけど。
私は身体に風の弾丸が当たる前に障壁を薄く身体に纏わせる。まあいわゆる「纏」というやつだ。ハンター試験は受けないけど。あ、水見式もやったことないよ。私としては水には甘くなってもらいたい。
「ぐっ!?」
まあ、てな訳で弾丸当たっても痛くないんだけど、撃ち落とされたみたいに演技をする。
「バカ! 魔力を無駄遣いするな! ヒドラに供給出来なくなるだろうが!」
「いやだが、早く捕らえた方が良かっただろうが」
「こんな小物に魔力使ってたら《灰蛇》様にどやされるぞ」
私のことを小物と呼んだか? いや、まあ、タオに比べたら名前も通っていない小物ではありますが。銅級だもんね。
「残念だったな、お嬢ちゃん。お前はここで死ぬんだ」
「いや、死なないだろ。死んだ方がマシって目には合わされるだろうけど」
「そういやうちの蛇どもの餌が足りなかったな。少しずつ齧られたら意識を失うまで正気でいられるかな?」
蠆盆!? そんな古代の処刑方法なんて妲己さんくらいしか思い浮かばないよ! 冗談じゃない。いやまあわざと食らったフリしたから痛くもなんともないし、普通に立ち上がれるんだけど。
しかし、こいつらがヒドラに魔力を供給していたのか。でも普通の人間だよね? そんなんでもつものなの?
とりあえずこいつらを倒せばヒドラの再生は止まるかもって事でぶっ倒す事にしました。まずは一番近くに居るやつをさっくり殺す。不用意に近付いて来たから身体を起こして心臓を一突きしただけなんだけど。なんか硬いものをかすった感覚があった。骨かな? いや、骨の位置間違えるほど耄碌はしてないよ。
「レド!? よくもレドを!」
「いや、誰が誰だか分からないから」
言いながら次の獲物を探す。こっちに向かってくるやつじゃなくて、後ろで驚いてるやつだ。転移。近くによってさっくりとやる。背中から腎臓に達する様に刃を埋め込む。うん、こっちは硬い感触はないね。もしかして心臓周りになんか防御みたいなのある? でもさっきのは心臓自体は刺せたからなあ。
どさりと倒れ込んだ人を見るとどうやらこの人は女性だったみたい。思わず胸元を見た。いや、おっぱいのサイズもさることながら心臓の辺りに何かがあったんだよ。
「なに、これ?」
「死にゆく貴様が知る必要はない! レドとモモの敵だ!」
武器を振りかざしながら向かってくる奴ら。よく見るとこいつらの胸元にも同じものがついている。もしかしてこれが魔力の源?




