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ほがらかすぎるよ

 

 広東省広州市の路線バス301番でバス炎上事故があった。死者二名、負傷者三十名以上の大惨事だ。バスから白い煙が上がったかと思うと突然車内が炎に包まれ、火だるまになった乗客が転がり出てきたそうだ。中国当局は二十五歳の男を放火容疑で逮捕したという。

 最近、中国では市内バスの炎上事故が続いている。

 先日も杭州で同様の事件があったばかりだ。

 杭州の事件はバスのなかの監視カメラの映像がネットにアップしてあったのでそれを見た。座席に坐った若い男がかがみこんでなにやらごそごそしている。床に置いた鞄のなかを探っているようだ。突然、床一面にぱっと炎が広がる。犯人の若い男が床にまいた油に火をつけたのだ。乗客たちが驚き、慌てふためく。音声はなかったけど、悲鳴が聞こえてきそうだった。炎が広がる。バスがとまり、扉が開く。乗客が次々と走り転げるようにして出ていく。杭州の事件は死者こそ出なかったもののやはり三十数名の負傷者が出た。生きていてもしかたないと世をはかなんだ男の犯行だという。

 中国は日本以上の強烈な格差社会で貧富の差が激しい。富める者はますます富み、貧しい者は一生そのまま置き去りにされてしまう。希望など持ちようがない。このような事件が相次ぐのは中国社会の矛盾の現れにほかならない。強烈な貧富の格差という中国社会の根深い病がこのような現象となって現れた。

 ところで、広州バス炎上事件のあった翌日、僕は事務所の朝礼で事件の話を始めた。すると、事務所の中国人スタッフたちは「あはは」とほがらかに笑う。困ったなと思いながらも、

「バスのなかで不審者を見かけたら次のバス停ですぐに降りて逃げなさい。命のほうが大事だから」

 と呼びかけると、みんな「わあー」と笑い声をあげた。なんだか楽しそうだ。

「だって防ぎようがないよ」

 ある中国人の男の子が言う。誰も事故を防ぎなさいなどとは言っていない。そんなことができるわけがない。相手は確信犯なのだから。

「だから、バスに乗ったらちゃんと周りを見て怪しい人がいないかどうか確かめなさい」

 やっぱり、中国人は普段から周りの様子を注意するという習慣がないんだなあと思った。仕事でも、周りの様子を見ながら周囲の状況に合わせて自分の仕事をする人なんてほとんどないし。

 僕は話しているうちに、安全を確保しなさいと注意しているのか、笑いを取りにいっているのか、わからなくなってきた。それにしても、みんなほがらかすぎるよ。危ない目に遭わなければそれでいいんだけどさ。



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