第73話「現代の革新」
遺跡から統合世界に戻ると、住民たちが僕たちを待っていた。
「レイさん、お帰りなさい!」
「みんな......」
市民広場に、古代の住民も現代の住民も、子供たちも集まっている。
「調和破壊者との接触、成功したんだね」
ウィルさんが安堵の表情を浮かべる。
「はい。ディスコードさんと話すことができました。でも、まだ救済は完了していません」
「そうか。では、我々にできることを教えてもらおうか」
アルカディウス王が前に出る。
「実は、皆さんに相談があります」
僕は98%純度の小石を見せた。遺跡から戻ってきても、まだその力は残っている。
「これは古代の調和術師の方々の力をお借りしたものです。」
「つまり、決戦までに何らかの対策が必要ということか」
ソーンさんが分析する。
「そうです。ディスコードさんたちの分裂術は、古代と現代の技術を組み合わせた高度なものです」
フィンが説明を続ける。
「僕たちの調和陣形だけでは、長期戦になった場合、対応しきれない可能性があります」
すると、住民の中から一人の現代技術者が手を上げた。
「それなら、我々現代組の技術も使いませんか?」
「現代技術?」
「はい。調和術を機械的に増幅する装置を作るんです」
別の古代住民も声を上げる。
「古代魔法でも、増幅陣というものがあります。大勢の魔法使いが力を合わせて、一人の術者を強化するのです」
「それを組み合わせるということですか?」
僕が確認すると、技術者たちが目を輝かせた。
「そうです!現代の増幅技術と古代の魔法陣を融合すれば、レイさんの調和術を飛躍的に強化できるはずです」
マスター・エルドラが興味深そうに頷く。
「理論的には可能ですね。ただし、前例のない挑戦になります」
「やってみましょう」
僕が即答する。
「みんなの力を合わせれば、きっとできます」
「よし!それなら早速始めよう」
カイルが拳を握る。
「でも、どこで作業するんですか?これだけ大きな装置なら......」
フィンが心配する。
「市民広場を使おう」
アルカディウス王が提案する。
「ここなら十分な広さがある。それに、みんなで力を合わせる象徴的な場所でもある」
こうして、統合世界史上最大のプロジェクトが始まった。
現代技術者たちは、魔力増幅器の設計図を広げている。
「基本構造は現代の音響増幅技術を応用します」
「魔力も音と同じく波動ですからね。理論的には応用可能です」
一方、古代魔法使いたちは、巨大な魔法陣の設計に取り組んでいる。
「増幅陣の基本は七重円陣ですが、今回は特別に二十一重円陣で行きましょう」
「二十一重!?それは伝説級の大魔法陣ですね」
子供たちも、自分たちにできることを探している。
「僕たち、何かお手伝いできることはありますか?」
古代の子供が尋ねる。
「もちろんです」
マスター・エルドラが優しく答える。
「魔法陣に使う石を運んでもらえますか?小さな石でも、みんなの気持ちが込もっていれば、とても大切な材料になります」
「はい!」
子供たちが元気よく返事をして、作業に参加していく。
僕は、この光景を見ながら、胸が熱くなった。
古代の人も、現代の人も、大人も子供も、みんなが一つの目標に向かって協力している。
「すげぇな......本当にみんなで作ってるんだな」
エリックが感動している。
「......これが、本当の統合なんだね」
「そうですね」
僕が頷く。
「ディスコードさんも、きっとこんな光景を夢見ていたはずです」
作業は順調に進んでいく。
現代技術者と古代魔法使いが、お互いの知識を教え合いながら設計を進める。
「魔力の共鳴周波数は、この計算式で求められるんですね」
「逆に、現代の精密測定技術で、魔法陣の誤差を大幅に減らせますね」
技術的な部分だけでなく、作業する人たちの心も一つになっていく。
「重いですね。一緒に持ちましょう」
「ありがとうございます」
「この魔法陣、すごく美しいですね」
「現代技術と組み合わせると、より効率的になるんですよ」
お昼になると、みんなで一緒に食事をした。
「レイさん」
一人の現代住民が声をかけてくる。
「この装置、本当に調和破壊者の人たちを救うために使うんですよね?」
「はい」
「戦うためではなくて?」
「戦うためではありません。理解するためです」
僕が確信を持って答える。
「ディスコードさんたちの心の奥にある、本当の想いを届けるためです」
「......そうですか」
その住民が微笑む。
「それなら、喜んで協力します」
午後になると、装置の基本構造が見えてきた。
中央に僕が立つ円形の台があり、その周りを二十一重の魔法陣が囲んでいる。
さらにその外側に、現代技術による魔力増幅器が配置されている。
「理論上、レイの小石の効果を10倍以上に増幅できるはずだ」
ソーンさんが計算結果を報告する。
「10倍......」
僕が驚く。
「それなら、98%の純度でも、理論上の100%にかなり近づく効果が期待できますね」
フィンが興奮している。
「でも、一番大切なのは技術じゃないよね」
子供の一人が言う。
「みんなの気持ちだよね」
「そうですね」
僕が子供の頭を撫でる。
「みんなの『一緒にいたい』という気持ちが一番大切です」
夕方、装置がほぼ完成した。
「テストしてみましょうか」
マスター・エルドラが提案する。
僕が中央の台に立つと、住民たちが魔法陣の外側に並んだ。
「それでは、始めます」
僕が小石を取り出すと、装置が光り始めた。
98%純度の小石の光が、魔法陣によって増幅され、さらに現代技術の装置によって安定化される。
そして何より、住民たち一人一人の『みんなで一緒にいたい』という想いが、光に込められていく。
「すごい......」
「これなら、どんな分裂術も無効化できそうですね」
「それだけじゃない」
僕が確信を持って言う。
「この光なら、ディスコードさんたちの心に、僕たちの想いを直接届けることができます」
装置のテストは成功した。
でも、その時、遠くから不気味な光が見えた。
「あれは......」
「調和破壊者の拠点の方向ですね」
フィンが心配そうに言う。
「分裂術をさらに強化しているようです」
「それなら、なおさら急ごう」
アルカディウス王が決意を込めて言う。
「明日の夜明けには完全に完成させる」
「はい」
住民たちが一斉に答える。
その夜、みんなで交代しながら作業を続けた。
僕も、できる限り手伝った。
「レイ君、無理をしないように」
ウィルさんが心配してくれる。
「大丈夫です。みんなと一緒なら、疲れません」
本当だった。一人で戦うのではなく、みんなで力を合わせる。それがこんなにも心強いものだとは思わなかった。
夜明け前、装置が完全に完成した。
「これで、理論上は最強の分裂術にも対抗できます」
技術者が報告する。
「でも、本当の力は技術ではなく、込められた想いですね」
古代魔法使いが付け加える。
僕は完成した装置を見上げた。
現代技術と古代魔法の融合。そして何より、統合世界全住民の絆の力。
「ディスコードさん」
僕が心の中で呟く。
「あなたに見せてあげたい。これが、あなたが夢見ていた本当の統合世界です」
「レイ」
ソーンさんが声をかける。
「準備はできたか?」
「はい」
僕が頷く。
「みんなで、ディスコードさんたちを迎えに行きましょう」
住民たちが一斉に拳を上げる。
「おー!」
これが、統合世界の真の力。
技術でも魔法でもなく、みんなの絆の力。
最終決戦の準備が、完全に整った。
でも、これは戦いの準備ではない。
救済の準備だった。
━━━ 【キャラクターステータス更新】 ━━━━━━━━━━━
【名前】レイ・ストーン 【レベル】35
【称号】小石の魔術師・絆の証明者・救済の宣言者・先代の継承者・統合の完成者
【ステータス】
HP: 450/450 MP: 350/350
攻撃力: 28 防御力: 42
魔力: 100 素早さ: 31
命中率: 30 運: 27
【スキル】
・小石生成 Lv.9: 1日3個制限(統合世界住民全員の絆の力による究極強化)
・投擲 Lv.4
・鉱物知識 Lv.6
・魔力操作 Lv.10
・身体調和術 Lv.3
・古代文字理解 Lv.4
・空間移動術 Lv.1
・聖なる障壁 Lv.2
・深癒の光 Lv.5
★巨大調和増幅装置操作 Lv.1(新習得)
感想・コメント、励みになります。お気軽にお寄せください!
※執筆にはAIも相談相手として活用しています✨




