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第67話「分裂の悪夢」

統合世界の朝を迎えるはずだった空が、不気味な紫色に染まっていた。


「これは...」


僕たちが王宮で緊急対策会議を開いている最中、ウィルさんが血相を変えて駆け込んできた。


「大変だ!各地で異常事態が発生している!」


「どういうことだ?」


ソーンさんの問いに、ウィルさんは息を切らしながら報告した。


「完全調和都市が...古代区域と現代区域に分かれてしまった!住民たちが互いに近づけなくなっている!」


「なんだと!」


アルカディウス王も驚愕の表情を浮かべる。僕たちが最も誇りに思っていた成功例が、敵の攻撃対象になったのだ。


「すぐに現場に向かいましょう」


「そうだな。エリック、何か感じるか?」


ソーンさんの問いに、エリックは目を閉じて集中した。


「......空気が、歪んでる。昨日と同じ感じが...あちこちで」


「複数箇所での同時攻撃ということですね」


フィンの分析は的確だった。調和破壊者たちは、統合世界全体を狙った大規模な作戦を実行し始めたのだ。


「みんなで手分けして各地を回るぞ。レイ、お前の調和術が必要だ」


「わかりました」


僕たちは急いで完全調和都市に向かった。かつて美しい調和を築いていた街が、目に見えない壁で真っ二つに分離されている光景は、心が痛むほど不自然だった。


「おい、何で向こうに行けないんだ!」


「昨日まで一緒に住んでいたのに...」


古代区域と現代区域の住民たちが、互いに手を伸ばしながら困惑している。見えない分離の壁が、彼らの絆を強制的に断ち切っているのだ。


「これが分裂術の本当の恐ろしさか...」


ソーンさんが歯噛みする。昨日の戦闘では僕たちへの直接攻撃だったが、今度は住民たちの日常生活そのものが標的にされていた。


「レイ、調和術で何とかなるか?」


「やってみます」


僕は3個で95%純度の小石を発動させた。深癒の光が分離の壁に向かって広がっていくが、昨日よりも抵抗が強い。敵も対策を講じてきたようだ。


「......みんな、諦めちゃダメ」


エリックの小さな声に、住民たちが振り返る。


「僕たちは一緒にいたいんでしょう?その気持ちが一番大切なんだよ」


エリックの優しい言葉に、住民たちの表情が変わった。


「そうだ!俺たちは家族同然じゃないか!」


「壁なんかに負けるものか!」


古代・現代の住民たちが手を取り合おうとする強い意志が、僕の調和術と共鳴した。95%純度の光がさらに強くなり、分離の壁に亀裂が走る。


「いける!」


カイルの火炎魔法とフィンの風魔法が僕の調和術を支援し、ついに分離の壁が破綻した。住民たちが再び抱き合える瞬間、胸が熱くなった。


「ありがとう、レイ君たち!」


「これで安心だ」


しかし、喜びも束の間だった。


「......また来る。もっと大きいのが」


エリックの警告と同時に、空が再び紫色に染まった。調和破壊者たちの攻撃は、これで終わりではなかったのだ。


「各地で同じことが起きている可能性があります」


フィンの指摘通り、僕たちは急いで他の地域に向かった。統合教育を行っている学校、古代・現代技術を融合させた工房、様々な場所で分離現象が発生していたのだ。


「先生!向こうの友達に会えない!」


学校では、古代系と現代系の子供たちが泣きながら分離の壁を叩いていた。


「大丈夫だよ、みんな」


僕は膝をついて子供たちと同じ目線になった。


「君たちは友達でしょう?その気持ちがあれば、どんな壁も乗り越えられるよ」


「本当?」


「本当だ。みんなで一緒に『友達だ』って言ってみて」


子供たちの純粋な「友達だ!」という声が重なった瞬間、僕の小石が自然に輝きを増した。子供たちの無垢な絆が、調和術の力を押し上げてくれたのだ。


「すげぇ...子供たちの力も借りるのか」


カイルが感動の声を上げる。


分離の壁が消え、子供たちが再び一緒に遊べるようになった時、僕は大切なことに気づいた。調和術の真の力は、僕一人の能力ではない。みんなの「一緒にいたい」という願いが集まって生まれる力なのだ。


「次はどこへ行きますか?」


フィンの問いに答えようとした時、エリックが突然立ち止まった。


「......みんな、静かに」


エリックが植物の蔓を地面に這わせ、自然と対話している。彼の自然感知能力が、何か重要な情報を捉えているようだ。


「エリック、何かわかったか?」


「......敵の本拠地。森の奥、古い遺跡の下に...大きな機械がある」


「本当か!」


ソーンさんが身を乗り出す。


「......でも、すごく危険。近づくだけで、心がバラバラになりそうな感じ」


エリックの表情が曇る。彼の自然感知は、敵の分裂術の影響まで感じ取っているのだ。


「情報としては十分だ。まずは各地の被害を食い止めてから、本格的な対策を考えよう」


ソーンさんの冷静な判断で、僕たちは救援活動を続けた。


工房では、古代の職人と現代の技術者が協力できなくなって困惑していた。


「昨日まで一緒に素晴らしい作品を作っていたのに...」


「ああ、君の技術と僕の魔法を合わせれば、もっといいものができるはずなのに」


職人たちの悔しそうな表情を見て、僕の心にも怒りが湧いてきた。調和破壊者たちは、人々の努力と成果を台無しにしている。


「絶対に許せません」


僕の怒りを込めた調和術が、これまで以上に強い力を発揮した。95%純度の光が工房全体を包み込み、分離の壁を一瞬で消し去る。


「おお!また一緒に作業ができる!」


「ありがとう、レイ君!」


職人たちの喜びの声が、僕の心を温かくしてくれた。


一日中各地を回り続け、夕方になる頃には相当数の分離現象を解決できていた。しかし、エリックの表情は晴れなかった。


「......まだ終わらない。明日も、明後日も続く」


「そうですね。敵は持久戦を狙っているのかもしれません」


フィンの分析に、僕たちは深いため息をついた。


「でもよ、今日見たのは希望でもあったよな」


カイルが前向きな言葉を口にする。


「住民たちが諦めなかった。子供たちも、大人たちも、みんな一緒にいることを選んだんだ」


「そうだな。分離に対抗する住民たちの意志...これが僕たちの最大の武器かもしれません」


僕はカイルの言葉に深く頷いた。今日の経験で、調和術の真の力を理解できた気がする。



統合世界に戻ると、ウィルさんとマスター・エルドラが心配そうに待っていた。


「お疲れ様でした。各地の報告が届いています」


「ありがとうございます、マスター・エルドラ」


僕たちは今日の活動を詳細に報告した。エリックが発見した敵本拠地の情報は、特に重要だった。


「森の奥の古い遺跡...確かに怪しい場所ですね」


「しかし、エリックが感じたほど危険な場所なら、慎重に準備する必要がある」


ソーンさんの意見に、全員が同意した。


「今日の成果も大きかったですね。住民たちの自発的な結束、子供たちの純粋な願い...これらが調和術の力を押し上げている」


マスター・エルドラの分析は的確だった。


「レイ君の小石、今日は特に輝いていましたね」


ウィルさんの指摘で、僕は手のひらの小石を見つめた。確かに、住民たちの想いと共鳴した時の輝きは、これまでとは違っていた。


「95%純度でも、まだ成長の余地があるということですね」


「そのようですね。ただし、無理は禁物です。1日3個の制限は絶対に守ってください」


マスター・エルドラの警告を受け、僕は改めて気を引き締めた。


「明日からの戦略を考えましょう」


ソーンさんの提案で、僕たちは作戦会議を開いた。


「敵の攻撃パターンは見えてきました。各地での同時多発的な分離攻撃、住民の日常生活への介入」


「対策としては、僕たちの機動力を活かした迅速な対応」


フィンとソーンさんの分析に、僕たちは頷く。


「でも、根本的解決には本拠地への攻撃が必要だな」


「そうですが、エリックの警告を考えると...」


カイルの積極論とフィンの慎重論、どちらも正しい。


「......もう少し、本拠地のことを調べてみる。植物たちに聞いてみる」


エリックの提案に、僕たちは期待を込めて見つめた。


「頼む、エリック。君しかできない調査だ」


「......うん。がんばる」


夜が更けても、統合世界の各地から支援の要請が続いていた。調和破壊者たちの攻撃は、予想以上に広範囲で執拗だった。


「レイ君、大丈夫ですか?今日は相当な魔力を使いましたが」


ウィルさんの心配に、僕は疲れた笑顔で答えた。


「大丈夫です。むしろ、住民のみなさんの想いに支えられて、力が湧いてきます」


「そうですね。今日見た光景は忘れられません。子供たちの『友達だ』という声、職人たちの協力への願い...」


マスター・エルドラも感動を込めて振り返る。


「調和破壊者たちは、人々の絆を引き裂こうとしています。しかし、その絆は簡単には切れない。今日それが証明されました」


ソーンさんの総括に、僕たちは深く同意した。


統合世界の夜空を見上げながら、僕は明日への決意を新たにした。敵の攻撃は続くだろう。しかし、住民たちの「一緒にいたい」という願いがある限り、僕たちは負けない。


「......レイ、みんな。明日、森に行ってみる」


エリックの静かな決意表明に、僕たちは身を引き締めた。


「危険かもしれないが、情報収集は必要だな」


「僕たちも一緒に行きます」


「当然だ!エリック一人になんか行かせるかよ」


「データ収集の準備をしておきますね」


仲間たちの力強い言葉に、エリックも小さく微笑んだ。


調和破壊者たちとの戦いは激化している。しかし、今日の経験で僕たちは大切なことを学んだ。調和の力は、僕一人のものではない。統合世界のすべての住民の想いが集まって生まれる、巨大で温かい力なのだ。


95%純度の小石が、住民たちの絆と共鳴してさらに強い光を放った時、僕は確信した。僕たちは必ず勝てる。分裂に対抗するのは結束。破壊に対抗するのは創造。憎悪に対抗するのは愛情。


明日はエリックの自然感知で敵の本拠地を詳しく調査し、根本的な解決策を見つけよう。統合世界の平和を、住民たちの調和を、必ず守り抜いてみせる。


「みんな、今日はゆっくり休みましょう。明日は大切な日になりそうです」


「そうだな。エリック、無理はするなよ」


「......大丈夫。みんながいるから」


エリックの言葉に、僕たちは安心して眠りについた。


統合世界の夜は静かだったが、各地で住民たちが手を取り合い、明日への希望を語り合っている声が風に乗って聞こえてきた。


分裂の悪夢は確かに深刻だった。しかし、それに立ち向かう人々の絆はもっと強い。僕たちは、その絆を守る戦いを続けていく。


調和破壊者たちよ、覚悟しろ。統合世界の真の力を、明日思い知らせてやる。


━━━━━━━━━━━ 【キャラクターステータス更新】 ━━━━━━━━━━━


【名前】レイ・ストーン 【レベル】34

【称号】小石の魔術師・住民の希望


【ステータス】

HP: 430/430 MP: 280/330

攻撃力: 26 防御力: 38

魔力: 95 素早さ: 29

命中率: 28 運: 25


【スキル】

・小石生成 Lv.9: 1日3個制限(住民との共鳴で威力増大)

・投擲 Lv.4

・鉱物知識 Lv.6

・魔力操作 Lv.10

・身体調和術 Lv.3

・古代文字理解 Lv.4

・空間移動術 Lv.1

・聖なる障壁 Lv.2

・深癒の光 Lv.5


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※執筆にはAIも相談相手として活用しています✨

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