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駆け出し魔法学生はスタート時点を目指す  作者: 石狩なべ
第五章:優秀な青の魔法使い
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第4話 っぴ。


 席に座ったあたしは教材を鞄から出していく。筆箱を出したところで、歳の近いクラスメイトに声をかけられた。


「ルーチェおはよー」

「おはよー」

「ね、今日ってさ、最初の授業ケイト先生だよね」

(……。……。……え……)


 その名前を聞いた瞬間、あたしはクラスメイトに震える目を向けた。


「……まじ?」

「いや、だと思う」

「……」

「なんか対策してきた?」

「……何も……」


 うわー。来たよー。ケイト先生かー。


(答えられないと公開処刑してくる人)


「皆さーん! こんにちはー! このクラスは久しぶりねー! 皆に会えてとっても嬉しいですー!」


 年下組は満面の笑顔を浮かべる。年上組は苦い笑顔を浮かべる。


「今日は久しぶりの授業なので、改めて基礎のお勉強をしていきまーす。皆さんいいですかー?」

「「はーい」」

「あらー! 元気なお返事! 先生とっても嬉しいですー!」


 基礎的なものなら答えられるかもしれない。あたしは震える手で教科書を構えた。


「皆さん、魔法使いというのは呪文を唱えて魔力を魔法に変えます。呪文は様々。皆さんの頭では常日頃イメージをしている。小さな子が泣いていたらどうする? 山奥で遭難してしまったはどうする? イメージして、思い浮かんだ単語が言葉となって現れ、魔法が生まれる。しかしただ唱えるだけでは魔力は魔法には変わりません。言葉を明確に、滑舌は明瞭に、空気に言葉を乗せないと魔力は空気になってしまう。さあ、今日は言葉の復習をしましょう」


 ケイト先生が杖を振ると言葉が浮かび、その言葉が黒板に貼り付いた。


「さて、改めて言葉とは何か。使うのは簡単だけれど説明するのは難しい。先生ならこう説明します。『言葉とは言端ことはの複合語である』。昔の人は言いました。葉っぱの「葉」は沢山の意味で、豊かさを表す表現の一つ。沢山の『言端』を使う。表現する。それを一まとめにしたものこそが、先生達が普段から使っている言葉であると」 


 あたしはノートに走り書きした。そんな事を以前も言われた気がする。


「しかしこれだけでは言葉というものをどのように使うか説明ができてませんね。さて、言葉とは? そうですね。人が声に出して言ったり、文字に書いて表したりする、意味のある表現のこと。国によって言葉というものは決まっております。だから先生は未だに外国語は苦手です。何を言っているのかさっぱりわかりません」


 あたしも外国語苦手。……ミランダ様はわかるかな?


「言葉には長いものから短いものまでございます。この言葉の大きさを表すために、『言葉の単位』というものが存在しているのは研究クラスの皆さんであればおわかりのはずでしょう。単位が大きい順に『文章』『段落』『文』『文節』『単語』の五つがございますね。はい、あなた。『文章』とは?」

「えっと、えっと……言葉の単位の中で……一番大きいの!」

「はい! 素晴らしい! その通りです! それが文章。では『段落』とは? はい、あなた!」

「んーと……文章を……いくつかのまとまりに区切った時の、一括のことです!」

「その通り! 文章が長くなると、いくつかの段落に区切ることが多くなります。文章中の段落の切れ目は改行することで表します。この時、段落の最初を一文字開けるのが決まりです。小説とかでよくお見かけしていると思います。それではこれはおわかりですかね? 『文』とは? はい、あなた!」

「えーと……」

「あら、わからない?」

「すみません……」

「学生クラスでやらなかったかしら?」

「私、先生の授業が初めてで……」

「あら、じゃあ仕方ありませんね。丁寧に教えます。『文』とは、句点(。)によって区切られる一括の言葉のことです。文法の基本の単位でもあるので覚えてくださいね」

「はーい」

「では次に行きましょうか。『文節』とは何でしょう? はい」


 ケイト先生が23歳のクラスメイトを当てた。年上組が注目した。


「ニコラス・マルク。どうぞ」

「……文を……区切ること……?」

「まあ、ざっくりした説明ですこと。おほほほほ!」


 ――あ、来るか!? 年上組全員がさっと血の気を引かせ、マルクは固唾をのんだ。


「まあいいでしょう」

(ふーーー! あぶねーーー! ニコラス君回避!)

「もっと詳しく言えば、文節とは、言葉を細かく区切った際に不自然にならない一まとまりのことを言います。もっと簡単に言えば息を吸える箇所。『ネ・サ・ヨ』を使用すればとても簡単に区切りを見つけることが出来ます。……ニコラス・マルク。これくらい常識ですよ。去年やりましたよね? 一昨年もやりましたよね? 先生覚えてますからね?」


 ――ああ! ニコラス君のハートがブレイクした! ニコラス君がかなりうなだれた。


「はーい、では最後。『単語』とはなんでしょう。はい、あなた!」

「一番短い言葉の単位です!」

「まーあ素晴らしい! 今のが言葉の基本です。みなさんならおわかりでしたよね?」


 あたしはノートの端に書いた。要復習!


「それでは、文章に大切な文節の話に移りましょう。先程ニコラス・マルクに答えていただきました。文節。言葉を区切った一まとまりのこと。ここで、主語と述語に登場していただきましょう。花が咲いた。花が揺れた。花が枯れた。はーい。主語と述語はどれでどこで区切るでしょうか。はい、あなた。わかりますか?」

「花が、が主語。咲いた、が述語で、花がと咲いたの間で区切ります」

「まあー! 素晴らしい! そうですね! でもこれは序の口。簡単でしたね。でも答えられて素晴らしいです! ちゃんとお勉強出来て偉いですねぇー!」

「えへへっ」

「それではこれを少し長くしましょう。花が公園に咲いた。えー。ストピド」


 あたしはギクッと肩を揺らした。年上組全員があたしに注目した。


「主語、述語が出てきました。さて、『公園に』は、なんていう語でしょーか?」

「……め、名詞……?」

「はい?」

「(あれ? 違うの!?)あー、えーと……副詞……」

「文というのはいくつかの文節から成り立ち五つの種類で分かれております。これは小学生でもわかる問題です。ルーチェ・ストピド、お久しぶりですね。貴女のことはもうだいぶ前から見ておりまして、おほほほ。今年で11年目かしら? あー! そうですわよね。先生は間違えませんよ。貴女がこの学校に入った頃から見ておりますもの。これは学生クラスの時に散々やりましたね。ストピド。先生は小さかった貴女に優しく教えたはずです。成長していく度に同じことを何度も何度もお伝えしているはずです。文法ですよ。五つの種類。さあ、なんでしたっけ。一応言いますけど、別にプレッシャーを与えるわけではございませんが、別に貴女が憎いわけではございませんが、一応ね、言っておきますね。このクラスで言うとあなたが一番この学校歴長い人間ですのよ。というのも11年でございますからね。これくらいは答えられないと。さあ、ストピド張り切って大きな声で言ってみましょう! さあ、学校長年者代表として思いきり先生にお伝えくださいな! 一つ目ー!」

「……主語……?」

「二つ目ー!」

「じゅ、述語……」

「三つ目ー!」

「……」

「三つ目ー!」

「……せ、接続語……」

「四つ目ー!」

「……」

「四つ目ーーーーーー!!」

「……。……。わ……わかりません……」

「おほほほほほ! ルーチェ・ストピドったら貴女はいつになったら魔法使いになるのですか。やる気はあるのですか。呪文を唱える。言葉を使う者であるにも関わらず語の五つもわからない! 先生貴女には毎年毎年同じことをなんべんもなんべんも伝えている気がしますがいかがでしょうか。先生の勘違いでしょうか。ストピドはどうなのかしら。初耳なのかしら?」

「い、いえ……以前……お、お、教えていただいたかと……」

「貴女の魔法使いになるという夢はその程度ということですかね! 11年も魔術学校にいるにも関わらずまるで成長の兆しが見えません。ただ、一つだけ。貴女が去年、学生クラスからたった一つ上の研究クラスに上がれたことは先生とても嬉しいです。花丸をあげましょう。学校入学して11年目、研究生クラス2年目の貴女にね」

「……。……。あり……がとう……ございます……」

「あ!」

「やばい! ルーチェが白目剥いてる!!」

「さーあ! わかる方はルーチェ・ストピドにもわかるくらいの大きくて元気な声で教えてあげてくださいなー! チャイルズ・アンダーソン!」

「あ、え、えっと……」

「まあ、チャイルズ・アンダーソン! 貴方は去年散々課題をやらせてあげたではありませんか! 一体この一年何をしていたの!? この学校に入って三年目! 三年経っているにも関わらず未だに文法もわかりやしないのですか!? 常識ですよ!? 魔法使いになるでしょう!? どうせ家でぐだぐだぐだぐだ動画でも見ているのでしょう! やる気がないようですね! 全くやる気が見られません!」

「ぐはっ!」

「ローラ・ワゾウスキ!」

「ひい!」

「レイラ・カタナシーア!」

「どうかお許しを!」

「ああ、全く駄目ですね! 10代前半組はとてもお利口で頑張ってますよ! 貴方方はもう大人でしょう! 一体何をしてここでこうしているの! おほほほほ! そんなんだからいつまで経っても魔法使いになれないのではないですか! 先生は皆さんを憎いわけではないのです。皆さんを愛しているのです。愛しているからこそ鞭を与えるのです! さあ、答えなさい! この程度! 小学生でも解ける問題を大人が解けない! 一体どうなっているのでしょうね! このクラス! さあ、お答えなさい!! さあ!!」


 ――皆がお弁当を食べている頃、あたしは図書室で伸びていた。


(酷い目に……遭った……)


 ――先生は皆さんを愛しているのです!!


(ケイト先生の……愛は……重たい……)


 あたしは震える手で『小学生でもわかる国語の文法』を開いた。


(文法なんて……知るか……。文字ばっかり書かれてて……よくわからん……。何……? 修飾語って何……? なんですか、これ……)

「……」

(文法が魔法の何の役に立つんだよ……。知らねえよ……。そんなもの知らなくたって生きているよ……!)

「……、っ」


 机を指で叩かれた。


(ん?)

「ね、ね」


 顔を上げると、すごく派手な髪型をした男の子があたしを見ていた。


「スマホの充電器、持ってない?」

(わ……なんかめっちゃ派手な人……。超チャラチャラしてる。ピアスつけてる。第三ボタンまで開けてる。なんかいかにもチャラ男の陽キャって感じだなあ……。関わりたくないなあ……。……充電器……?)


 あたしはちらっと鞄を見た。モバイルバッテリーが入ってる。


「……スマートフォンの、どのタイプですか?」

「C」

「あ、ならいけます」

「まじぃー!? ちょー助かるんですけどー! 女神降臨じゃん! ちょーうれぴいー! まじありがとー! 神様すぎぃー!」

「(……は?)ああ、どうぞ……」

「まじサンキュー!」


 モバイルバッテリーとケーブルを渡すと、男の子があたしの隣に座ってきて自分のスマートフォンに挿した。


「今朝充電してくるの忘れちゃってさ! いやあ、まじ命の恩人!」

「……はあ」

「てかよく見たら? 結構可愛い顔してんね! どう!? 俺っちの彼女にならない!?」

「……ああ、どうも……」

「うわー! 振られたー! ちょードライじゃーん!」

(こいつ嫌いだわ……)

「年齢いくつー!? 俺っち、19歳!」

「……あ……一緒……です……」

「え、一緒!? まじぃ!? 同級生じゃん! うえーいww!」

(こいつ関わりたくないタイプだわ……)

「タメめっちゃ嬉しいわぁー! 19歳って言ったらこの学校若いのしかいないからちょード級レアカードじゃん!? まじ嬉しいー! チャットやってる? 運命っしょ。交換しよ!」

「あ……チャ、チャット、やってないんで……」

「え!? チャットやってない女の子とかいんの!? ちょーゴールドレアカードじゃーん! まじウケんですけどーww!」

(なわけねぇじゃん……。嫌だから教えないんだよ……。早く充電器返して……)

「俺っち、ユアン・クレバー! よろしくぅー! ……君は?」

「……ルーチェ……ストピドです……」

「え? ストピド? 名前にストピドってあんの!? うわー! まじか! ちょーすげえ! 名前が『間抜け』だなんて、俺っちだったらクラスの皆に自慢してるわ! 自己紹介とかちょー印象残るじゃん! 何それ! 面白すぎ! 最高じゃん!」

(……褒めてるのかけなしてるのかどっちなんだろう……)

「でもさー、なんか顔見てる限り、ルーチェって感じじゃないよな?」

「え?」

「ル ー チ ェ っ ぴ って感じじゃね!?」

(ル ー チ ェ っ ぴ ?)

「いいじゃん! 決まり! 今日から俺っち、君のことルーチェっぴって呼ぶから!」

「……はあ」

「あ、俺っちのことはクレイジーって呼んでくれな!」

「……クレイジー?」

「クラスの奴らからそう呼ばれてるんだよ! クレイジー野郎ってさ!」

(確かにクレイジー……!)

「俺っち、ちょーいかしてるぅー!」

(確かにクレイジーすぎる!!)

「あ、てか何これ。何読んでるの?」

(うわっ!)


 あたしが本を隠そうとすると、クレイジーに本を取られた。中身を見られる。


「あ、ちょっと、あの……!」

「何々? 文法? 復習してんの?」

「……だ、だ、だったら、何か……?」

「ルーチェっぴ、ちょー偉いじゃん! 俺っちだったら絶対サボるー!」

「……ケイトせん、先生の……公開処刑にされて……」

「あ、何? あのおばはん? 俺っちあのおばさんちょー嫌い! 俺っちもよくやられんだよー!」

(やられてそう……)

「だけどさー、確かに文節ってわかってれば面白いよなー! 呪文の幅も広がるし!」

「……ん……」

「あり? どうしたんだ? ルーチェっぴ! なんか急に元気ないじゃん!」

「……文節、……よくわかんなくて……主語とか……」

「五つ種類あるのは知ってるー?」

「いや、それも、あの、よく、あの、わかんなくって……」

「なんだよー! そういうことなら俺っちが教えてやるって!」

「……わかるの?」

「この本に書かれてる通りだし?」

「……それ、じ、じ、字が多くてよくわかんない……」

「あー! 俺っちもイラストいっぱいある方が好きー! ちょっとノート借りてもいい?」

「あ、はい」

「サンキュー!」


 クレイジーがノートに五つのグループを書いた。


「まずは主語。『何が、誰が』に当たる文節な」

「……うん」

「で、次に述語。『どうする・どんなだ・何だ』に当たる文節」

「……うん」

「ルーチェっぴ、動物、何が好き?」

「ど、動物? ……黒猫」

「猫派か。俺っちは犬派! まあそれはさておいて、じゃあ、例文。『黒猫が鳴く。』主語と述語はどれだと思う?」

「主語は『黒猫が』、述語は『鳴く』」

「わかってんじゃん! じゃあ次! 三つ目。修飾語。文の中で『どんな』『何を』『どのように』『どこで』っていう風に内容を詳しく説明する部分のこと! 例文を作るとすると……『ルーチェっぴは図書室にいる。』主語と述語は?」

「……『あたしは』がー主語。……『いる』が述語?」

「ということは修飾語は?」

「『図書室に』?」

「そうそう! 内容を説明してるから修飾語! じゃあ次、接続語」

「それは……な、な、なんとなく、知ってる。……せちゅ続するやつ」

「わかってんじゃん! ルーチェっぴ! 主に、しかし、でも、だけど、みたいな感じで文と分の接続部分で使われるやつね! 例文で表せば、『俺は歩いてた。そこで、ルーチェっぴと出会った。』みたいなね!」

「はあ」

「そして最後! 独立語」

「それ……よくわかんない……」

「まーあ、簡単に言っちゃえば、文章中にあんまり関係ない単語っていうの? 今俺が言った『まーあ』とか『さあ』とか『よーし』みたいな」

「はあ……」

「例文で表したほうが早いか! 『さあ、走るぞ!』独立語はどれだと思う?」

「『さあ』」

「そうそう! それが独立語!」

「……確かに、言葉としてはあまりつけても意味がないかも……」

「だけど漫画の台詞とかにあったりすると、表現が豊かになるだろ?」

「確かに……大事」

「もっと詳しいやつとかもあるんだけどさ、あんまり詰め込みすぎてもルーチェっぴの頭爆発しちゃうから、とりあえず今日は『主語』『述語』『修飾語』『接続語』『独立語』だけ覚えれば? それで例文とか見てると自然と覚えてくるよ」

「……わかった。……ありがとう……ございます……」

「いいって! 水臭いじゃん! ルーチェっぴ! 充電器貸してもらってお礼だよ! ……あ、電源ついた!!」


 クレイジーがスマートフォンを耳に当てた。


「あー、もしもし! 兄ちゃん!? そっちどうだった? ……えー!? まじぃー!? 良かったー! いや、俺っちさー、スマホの電源切れちゃったんだけど、友達がモバイル貸してくれてさー! ……いや、ほんとそれな! まじお礼言っとく! うん! 良かった! ……あ、夕飯? あー、今日はバイトあるからいいよ。うん。……んー。わかった。うん! じゃーねー!」


 クレイジーが通話を切って、再びあたしに振り返った。


「ルーチェっぴ、まじありがとー! 本当に助かったよ!」

「……なら、良かった」

「ね、チャット教えてよ。せっかくだからさ」

「……」


 あたしはスマートフォンを出し、チャットアプリを起動させた。


「忙しいから、あんまり返事かえせ、せ、せないから」

「大丈夫、大丈夫! 俺っちもアルバイトで忙しいから同類! 類は友を呼ぶってな! あははは!」

(……クレイジーな子だな……)


 あたしとクレイジーがお互いの連絡先を登録した。クレイジーのアイコンはかなりイキってる自撮りだった。


「わあ、ルーチェっぴのアイコンなにこれ! どう撮ったの!?」

「……部屋、暗くして……魔法で光出して……」

「すげーきれー!」

「……ありがとう」

「専攻は?」

「……光魔法」

「人気あるよなー! 俺っちは緑魔法!」

「植物好きなの?」

「花って……俺っちみたいじゃん?」

「……」

「ルーチェっぴも気が向いたらおいでよ! 俺っち、そこの花屋でバイトしてるんだ!」

「……その髪型で?」

「俺っち、こう見えて……棘がある男だから?」

「……」

「ちょ、そんな顔すんなって! ルーチェっぴ、ちょーーードライアイスなんですけど! ぎゃははははは!!」

(……ドライアイス……)

「まじウケんですけど! ぎゃはははははは!」


 クレイジーの笑い声に気付いた見回りコウモリが刻一刻とこちらに近付いていた。


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