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ひんやり⑤
橋の上から
橋の上からひらりと落ちた。
悲鳴とともに立ちあがった。
五限目倫理。頬杖で眺めた窓の向こう、小さな人影は欄干を越えて真っ逆さまに。
「なんです授業中に」
「いま橋からひとが飛び降りて――」
「マジか」「警察!」
遅い。毎日登下校で通る、すぐ側の橋だ。いますぐ駆けつければ。
「俺も見ていましたが、なにも見えませんでした」
後ろの席の学年主席だった。
教諭は息を吐く。
彼が言うのならね、の安堵。そして、悪童を見る目をこちらに投げ、ふたたび黒板を向く。
違う。確かに落ちた!
信じないならもういい。ひとりでも助けに行く。
席から飛びだそうとしたとき、また低い声が言った。
「……あれは、毎日落ちてる」
2020/7/4 第66回 #Twitter300字ss @Tw300ss お題/橋




