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転生したら玉虫色の球体でした  作者: 枝節 白草
第3章:転生秘話
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答え合わせ

港町リヴァイアサン。その名前の元となった土地神リヴァイアサンはもういない。

僕が食べてしまった。あのままでも結局ダゴンに食われていたのだから食べたのが誰であっても大して変わりは無いだろう。

僕はチェルシーと二人で港町の船着き場に居た。


「ねぇ、チェルシー、…あのさ、クロ…怒ってた?」

「んー?何に対して?それによるかもー」

「僕が…逃げたこと」

「あー、それに対しては………んん!あー、あー、ふぅ」

「どうしたの?」

「クロ様に発言を止められたんよー、もー、別に減るもんじゃないしむしろ可愛い………んんん!……、ゲホッゲホッ…ハァー、ハァー」

「どうしたの?」

「クロ…様…に、はぁっはぁ…、呼吸を…はぁ…はぁ…とめられ…」

「クロ、酷い事するねぇ」

「クオンと良い勝負だよ…もー」

「じゃあクロは何に怒ってたの?」

「え?あー、そのうちクロ様にも何かプレゼントとかしてあげてよー?」

「あー、そういことか。うん、分かった」


二人で船を待つがいっこうに来る気配が無い。

ここに来る時にも船乗り達が嫌がってた事を思い出した、待ってても無駄かもしれない。


「ねぇねぇ、クオン?。船、必要無いんじゃないかな?」

「え?」

「私は飛べる、クオンの本体は浮ける。同行者に人間はいないよ?」

「あっ、言われてみればそうだったね」


僕は本体に戻ろうとしたが、海を覗き込んだ時に不意に妙な感じを覚えた。

このまま、人の姿でも大丈夫だと思えるような不思議な感覚。

僕は人の姿のまま海に飛び込んだ。


………。


普通に沈んだ。

沈んだが恐怖感は無かった、むしろ心地良いとさえ感じる。

呼吸が出来る…、はて、元々呼吸など必要だったのだろうか。

海に沈み、初めて呼吸を意識したが僕の体は酸素など必要あるのかどうか。

まぁ、今はどうでも良い事だと思い考えるのを止めた。

そして泳ぐ必要も無い事に気付いた、進みたい方向に海流が押してくれる。

僕は取り敢えず海面に顔を出す。


「チェルシー、僕はこのままでも大丈夫そうだ。行こう」

「わー、リヴァイアサンの力かな?」

「言われてみればそうかもねー。水がある程度動かせるよ」


僕はそう言うと水を圧縮しチェルシーの方へ飛ばす。

もちろん手加減しはしている。ちょっと強めの水鉄砲だ。

水の塊を当てられてたチェルシーがバランスを崩し海面へ降ってきた。


「うあ、あっぷ、ぷあー!もー!何すんのさー!」

「うーん、水が無いと撃てないし、水の量も必要になりそうだな。あまり実用的では無いかも、もっと違う使い方考えるかな」

「私への謝罪が先じゃないかな!?」

「加減できる力が欲しくてさ、本体で戦うと相手即死しちゃうし」

「もー!私の扱い酷くない!?」

「そろそろ行こうよ、日が暮れるよ」

「もう嫌ぁ…」



道中海が荒れたり鮫が来たりと色々あったが、海流が操れるのだから何も問題にはならなかった。荒れた海も進めるし、鮫も近付けはしない。

まぁ、鮫なんて僕からしたらメダカ以下の存在でしか無いのだけど。


海流に乗って移動できるのだから目的地の森がある大陸へはすぐに着いた。

まぁ、そもそも僕がヨグソトースの時空移動を使えるようになれば話は早いのだけれど、ただの空間移動とは違いヨグソトースの力は高等な能力らしい。


海岸に着くと、そこには黒いゴスロリ服に身を包んだ黒髪の女の子が立っていた。


「おかえり、クオン」

「うん、ただいま。クロ」

「逃げたこと、別に怒ってないわ」

「僕も、クロが嫌になって逃げたわけじゃないよ」

「……そ」

「そう」


お互い何かに納得し、クロは小さく微笑んだ。

僕はクロに二つほど聞かなければならない事があった。

それはダゴンから聞いた話だ。僕ら邪神の召喚には贄が必要なこと、それと…。


「クロ、僕をこの世界に呼んだのはクロなの?」

「あら、どうしてそう思ったの?」

「森にあった死体の山、山賊の被害者にしては多すぎると思ってた。あれは、僕をこの世界に呼ぶための贄だったんだね?」

「…正解よ」

「そっか、じゃあもうひとつ。クロも未熟な神だと言ったね?僕が未熟なのは人の魂が付いてるからだとダゴンが言った。クロもそうなの?」

「ふぅ…、あの魚はほんとお喋りだったわね。…ええ、そうよ。私も他の世界からの転生者よ。魂がこの黒山羊の体に定着したの」

「そっか、転生…か。ということは僕は一度死んでるんだね。元の世界で、ヨグソトースの贄として殺されたってことなんだね」

「…そうよ」

「じゃあなんで元の世界に渡ると魂が重複するなんて言ったの?死んでるなら元の世界の僕の魂はすでに消滅してるよね?」

「…」

「もしかして、まだ…」

「確証は無いのよ、それは私も同じ。はぁ…、私もお喋りだったわね」

「全部、教えてくれるよね?」

「元々そのつもりだったのよ。逃げたのはクオンの方でしょう」

「…そうだね」

「行きましょう。今度こそ、ちゃんと説明するわ」



やっと転生ものっぽい伏線の回収に進む事ができそうです。

物語はまだまだ続きますので少しでも気に入っていただけたらブックマークやお気に入りを何卒、何卒ー

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