47.古竜復活
・古竜フランベルジュ視点
供えられた魔石は大きく、なかなか美味であった。
おまけに、立派なミスリル鉱石混じりの、竜型の憑代を用意するとは。
あの猫、思ったよりも優秀である。
ミスリルとは、魔法伝導効率の最も良い鉱石である。
これなら、弱った我でも憑代として使いやすいのである。
我は憑代に憑依するのである。
ふむ、思った以上にしなやかに動くことが出来るのである。
墓に供えられた数本の串肉を取り、食べるのである。
モグモグ。美味い!
消化管が無いのにどうやって食べるか、であるか?
魂に取り込むのである。
上位魔獣の常識なのである。
そして、取り込んだ肉を自分の肉として、体を作りかえるのである。
ふむ、体を完全に肉に変えるためには、まだまだ肉が足りないのである。
もっと肉が欲しいのである。
とはいえ我は誇り高き聖竜。
がむしゃらに森の魔獣を狩るのは気品に欠けるのである。
……そうだ、人間の町へ降り立ち、供物を集めるとしよう。
今はまだ竜型のミスリルガーゴイルみたいな姿であるが、我のことを知る者が王族の中に居るはずである。
その者に、貢物を用意させるのである。
その際、あの猫にも褒美を与えるように命令してやれば、恩を返すことが出来るのである。
我は受けた恩は必ず返す主義なのである。
過去に供物を捧げた者達の子孫にも、ちゃんとそれなりの礼をしてやるのである。
我は、ちらりと猫を見る。
……寝ているフリをしているのである。
ちらりちらりと目を開けて、こちらを見ているのである。
「キュオオオオオオン(しばし待て、不思議な猫よ。
すぐに褒美の品を持ってくるのである)」
我は翼を羽ばたかせ、飛び立つのである。
目指すは近くの町。
人間は王都と呼んでいたか。
王族はあの大きな岩山……城とか言ったか?
そこに住んでいるのだろう。
我はそこへ向かった。




