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174.結婚式1


・パーシー視点


ここは王城の王の間。

俺は城の番兵、パーシー。

今日はニコ様との結婚式だ。


この1年間で、俺はとうとうニコ様と両想いになれたのだ。


結婚式は城で行われることになった。

友人の兵士達が王様へ懇願したのだ。

是非とも俺達を城で祝って欲しい、と。


王様は喜んで許可してくれた。

費用も、向こうが持ってくれるらしい。


ありがたいことだ。

普通は、結婚式なぞ貴族くらいしか行わない。

なにせ来客をもてなすだけのお金が無いから。


多くの友に見守られつつ、俺は王の間を歩き、花嫁の前へ……んん?


俺の花嫁であるニコ様の隣には、既に誰かが居る。



「やあパーシー。ボクはやっぱり君とは付き合えない」



えっ。



「なにせ君は貧乏だからね!

だから、金持ちのバロム子爵と結婚することにしたよ!

ボクは錬金術の研究に専念出来るし、貴族の仲間入りだ!」



ニコ様の隣に居たバロム子爵が、振り返ってこちらを向く。



「ええ。私はニコさんの錬金術を利用して大儲け。

ニコさんはその金でさらに研究。

まさに両想いというわけです。ういんういんというやつです」


「というわけで、元気でねパーシー。

バイバーイ」


「今後一切、私の妻に近寄るな、この下級兵。しっしっ」



ちょっと待て!

いったいどうなっている?!



「では二人とも、誓いの言葉を」



王様が言う。



「待ってくれニコ様!

あなたはそのタヌキに騙されている!

正気に戻ってくれー!」


「ええい! そこの不審者を捕えよ!」



王様の命令により、俺は兵士たちに捕まり、引きずられる。

見ると、ニコ様とバロム子爵がキスしようとしている。



「やめろ!

お願いだ! やめてくれ!

う、うわぁぁああああああああーー?!」



◇ ◇ ◇ ◇



・パーシー視点


……はっ?!

俺はベッドから起き上がる。



「パーシーや、おはよう」



おばあちゃんだ。

手作りのドレスを着て、ニコニコしている。


上を見ると見知った古ぼけた天井。

ここは俺の家だ。



「うなされていたみたいだけど、大丈夫かぇ?」


「うん、何でもないから平気」



さっきのは言うまでもなく夢だ。

何であんな変な夢を見たのだろうか。

俺は心のどこかで、自分はニコ様にふさわしくない、と思っていたのだろうか。



「今日は孫の晴れ舞台じゃ。

カレラとジェミニが生きておったら喜んでたじゃろうになぁ」


「親父とお袋も、きっと天国で喜んでくれているさ」



言いつつ、俺は朝食を済ませ、鎧をつける。

これが兵士の正装なのだ。



「さ、行こう」


「そうじゃな」



おばあちゃんの手を取り、王城まで歩きだす。

今日はニコ様との結婚式だ。



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