158.魔王、侵入者を払う01
森の自宅敷地内にて。
俺は毎日の日課の毛づくろいをしていた。
櫛を使って。
「いつも思うのですが、にゃんこさん、舌で舐めて毛づくろいしないんですか~」
『そんなことしたら腹に毛玉が溜まるじゃないか』と書く。
野良猫がたまにオエッと毛玉を吐いて気分悪そうにしている。
ああいう風になるのは勘弁だ。
毛づくろいを終えて、むしろの上に、ごろりとうつ伏せになる。
「キュオオオオン!(アウレネよ! 暇なら我と一緒に出かけるのである!)」
「どこにです~?」
「キュオン!(ちょっと王城に)」
王城?
「にゃ(何しに?)」
「キュオオン!(喧嘩したままでは寂しいのである!
だから仲直りするのである!)」
「にゃー(アウレネが一緒に行く必要あるか?)」
「キュオン!(我だけだとまた喧嘩しそうなのである……)」
「このゴーレムさん、とっても臆病者です~」
話を横で聞いていたシルフ婆さんが立ちあがる。
「儂も同行しよう。バステト様、行ってくるのじゃ」
「にゃー(俺も一緒に行こうか?)」
「バステト様を煩わせるまでもない雑用じゃ。
我々だけで良いのじゃ」
「にゃん(そうか。行ってらっしゃい)」
3人は町へ向かって行った。
◇ ◇ ◇ ◇
ただ今夕暮れ時。
先ほどフランベルジュから遠隔念話が届いた。
仲直りに成功し、今日は皆で城に泊まることにしたらしい。
自宅付近ではエルフ達が、テイムした犬やイノシシもどきをモフモフしている。
俺も猫をモフりたいものだ。
ただ、野良猫は俺を見ると逃げる。集会所の猫は俺が近づくとビクッとする。
せっかく猫アレルギーが無くなったというのに、人生ままならないものだ。
人生というか猫生か。
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森に侵入者、魔獣百程度。
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【森の主】による警告情報が頭に入ってきた。
最近、魔王の座を狙う輩がたまーに森に入ってくる。
アウレネいわく、魔王というのは魔王候補の資格がある者が、魔王を排斥すれば成ることが出来るらしい。
つまり、彼らは俺の命を狙う魔獣ということだ。
ま、死なない程度に痛めつけると素直に帰ってくれるけどな。
せっかく錬金術が無制限に使えるようになったことだし、今回はちょっとはっちゃけてみるか。




