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151.猫草は合わなかった


・反バステト派のエルフ達視点


森にて。

エルフ達が喧嘩している。



「だからそれは我々が飼っていた鳥だ!

印の付いた魔獣はテイムされた魔獣だから、勝手に狩るなと何度言えば分かる!」


「うるせぇ! 森の恵みは皆の物だ!

俺達のやり方にケチをつけるんじゃねぇ!」



元々この森に居たエルフ族と、奴隷から解放されて森へ逃げてきたエルフ族が、こうして毎日喧嘩している。



「だいたい、てめぇらバステト様だか知らねぇが、あんなデブでノロマの猫を崇拝するとか、頭おかしいんじゃねーか?」


「新たな魔王様を悪く言うとは、いくら無知の新入りとはいえ許さんぞ!」


「ええい! いい加減にせぬか!」


「「シルフ様……」」



シルフ婆さんが一喝し、場が静かになる。



「この暇男ども!

毎日毎日、そんな言い争いをしてる暇があったら、働かんか!」


「シルフ様! 我々は納得できません!

バステト様とかいう猫は、本当に魔王なのですか?!」


「【鑑定】してみるとよかろう! 【鑑定阻害】されるじゃろうがな!」


「魔王ということは、我々よりも当然強いのですね?!

腕試しに挑んでもよろしいですか?!

もし我々が勝てば、今後あのデブ猫を崇める愚かな行為を禁止してください!」


「やってみるといいわい、この身の程知らずどもめ!

バステト様は北の畑で昼寝中じゃ!」



反バステト派のエルフの若者達が森の北にある畑に向かう。



◇ ◇ ◇ ◇



・トミタ(猫)視点



猫草というのは、特定の種類の草でなく、低い草を猫が好んで食べることからそう呼ばれている。


町の仲間の猫達が、猫草を美味そうに食べているのを見かけたので、俺も試しに食ってみることにした。


畑には新鮮な小麦の草が生えている。ちょっとだけ食べて見よう。


カミカミ。

もしゃもしゃ。


……苦っ! まずっ!

ぺっぺっ!


どうやら俺には合わないらしい。

せっかく食のレパートリーが増えると思ったのだが。


猫は腹の毛玉を取り除くために猫草を食べていると聞いたことがあるが、本人達はそんなこと考えてなさそうだ。

何となく本能的に食べているようである。もちろん俺のように、猫草を食わない奴も居る。


とまあ、そんなことはさておき。



なぜか俺の目の前には、目つきをギラギラさせたエルフ達がやって来た。

奴隷から解放された奴らだったな。

どうしたんだろう?



「デブ猫……貴様に決闘を申し込むのだッ!」



鮮やかな茶髪ポニーテールの男エルフが言った。

面倒事の臭いがする。嫌だなぁ。


荒事にはなりませんのでご安心(?)を。

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