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138.フランベルジュ、町へ赴く


森の魔獣達がマットレスを作っているのを見ていると、俺も何か作りたくなってきた。


念動力で紙を縫い合わせ、紙袋を作った。

買い物といえばこれだろう。


問題は、この世界、使い捨てするほど紙は安くないんだよなぁ。

何度も使える買い物袋を作るなら、布製の方が良いかもしれないな。


俺は紙袋を覗きこむ。

うむ、我ながらよく出来ている。


紙袋を被る。

ふむ、狭くてなかなか居心地良し。

何だか楽しくなってきたぞ。



「にゃー(ひゃっふー!)」



10分くらい袋を被って散歩してたら、袋がボロボロになってしまった。

いったい俺は何をやってるんだろう。



◇ ◇ ◇ ◇



俺は他の商品の制作も指示することにした。


黒鉛を棒状に削らせ、それに布を巻き付け、紐で縛る。

鉛筆もどきを作らせた。


デザートアプルを絞らせ、それを微生物に頼んでアルコールにしてもらう。



◇ ◇ ◇ ◇



店を開始して、そろそろ1ヶ月、か。


売上は順調。

森の魔獣達が作った商品も問題なく売れている。


俺が作る断熱容器とガラス製品は、受注を受けたら少しだけ作ることにした。

大量に作っていたらMPがもたないからな。


そして、医者がようやく店に訪れたみたいで、作った薬はタダで渡している。

薬に添付した文章が好評だったので、調子に乗った俺は医学知識のコラムをタイプライターで打ち、店に貼り付けてある。

先日、そのコラムが活版印刷の連中に目を付けられ、医学書として出版していいか聞かれたからOKを出しておいた。


そして今日は、フランベルジュが待ちに待った、王様と会える日だ。



「キュオオオオオン!(では、行ってくるのである!)」


「にゃー(俺も付いて行こうか?)」


「キュオン!(なぁに、心配ないのである!)」



フランベルジュは意気揚々と町へと出発した。

まだ日が昇る前だというのに、よほど楽しみにしていたのだろうか。


なんだか心配だなぁ。また弓で撃退されなければいいが。



「にゃんこさん、私も町へ行きます~」



ん? アウレネが町へ行くだと?



『珍しいな。というか町に入って大丈夫なのか?』と書く。


「ふっふっふ~。じゃじゃ~ん!

見てください! 奴隷の首輪も~ど~き~!」



リオン君が付けているような、奴隷の首輪をアウレネは付ける。



「これで奴隷のフリをして、町へ侵入します~。

集落の子達がドジして数人捕まったから、救出しに行きますよ~。

フランベルジュさんのお出迎えで兵がお留守になっている所を狙います~」


「というわけじゃ。バステト様、儂らの仲間を救出する許可をくだされ」



シルフ婆さんが頭を下げたので、『相手を殺さなければOK』と書く。


そして、アウレネ、シルフ婆さんが出発する。

それに俺も同行する。

この二人がやりすぎないように見張るのだ。



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