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125.リオン少年


購入した店まで、少年と歩いて行くことにした。

馬車を勧められたが、断った。

あれに乗ると気分が悪くなるからな。


一緒に歩いていると、少年が口を開く。



「自己紹介の時にも言ったけど、俺はリオン。8歳だ。

両親が死んで、知らない大人に家から追い出された。

それでスリをして生活してたら捕まったクチだ」



青い髪の小さなドワーフの少年、リオン君は大変な人生を送っていたみたいだな。



「まともな食事と生活が出来るなら何でもする。

雇い主が猫ってのは驚いたけど、言葉が通じるならいいや。

……通じるよな?」


『通じるぞ』と書く。

ちなみにリオン君を選んだ理由は読み書きと簡単な計算が出来るからだ。

奴隷選びでは、最低条件として読みが出来る者を選ぶことにしたのだ。

少なくとも読みが出来なければ、俺やヨツバとコミュニケーションが取れないからな。


「良かった。おっ、そろそろ着くぜ」



購入した店の中は、思ったより綺麗に保たれていた。

おそらく定期的に清掃していたのだろう。


建物は1階建てで、合計20畳くらいの、石造りの店。

奥に6畳ほどの生活スペース、キッチン付き。

残念ながら倉庫は無さそうだ。


でも、商品棚もあるし、これならすぐにでも商売が始められるな。




『この生活スペースを使って暮らしてくれ』と書く。


「それはいいけど、旦那はどこで暮らしてるんだ?」


『フランベルの森』と書く。


「マジかよ……魔獣だらけじゃないか、あそこ」



住めばそれなりに良い所なのだが、エルフ以外だと森暮らしは厳しいのだろうか。



「ま、いいか。それで、俺はどうやって生活する感じだ?

旦那が食料を持ってきてくれるのか?

それとも旦那がお小遣いをくれるのか?」


『どっちが良い?』と書く。


「小遣いで。旦那もそっちの方が楽だろ」



そうか。

とりあえず1万Gほど渡しておこう。



『これで2週間生活な』と書く。


「おう!」


『あと、夜にヨツバを連れてくるからな』と書く。


「俺のもう一人の雇い主様だな。

……人だよな?」


『人だぞ』と書く。

嘘は言っていない。


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