113.授業中
翌日。森の自宅の敷地内。
俺とエルフの子ども3人は今、エルフのお姉さんから授業を受けていた。
薬草など植物についての授業だ。
俺は紙にメモをしつつ、授業を聴いていた。
「癒し草は、ポーションの材料になります。
草の粉末を水に混ぜ、2~3日煮込むと完成です」
『【加速錬金】なら煮込まず一瞬で作れるけど?』と書く。
「まあ、さすが肉球魔王様。
エルフ族は錬金術の適性が皆無なので、羨ましいですね」
『人間の錬金術師に協力してもらったらどうだ?』と書く。
「残念ながら、我々エルフと人間は、あまり仲良くなくて……」
そういえばそうだったな。
俺はアウレネと普通に接しているから意識したことがなかったが。
エルフといえば、最近フランベル国では、他の国からエルフの奴隷を買い集めているらしい。
勇者少年達が動いているみたいだとマック君は言っていた。
奴隷のエルフに植樹させ、紙を作らせている、と。
わずか半年で、フランベル国に大量の植物紙が普及したのだ。
本の値段もかなり安くなっている。
フランベル国に関しては、エルフと人間の距離が少しずつ近付いているような気がする。
気のせいかもしれないが。
「では、癒し草の育て方に移りましょう。
この草は冬に種をまき、春に収穫することが出来ます。
土は湿った赤土を好み、日がよく当たる場所で……」
にしても、今日は子どもは誰も騒がないな。
いつもなら先生であるエルフのお姉さんをからかって……ん?
「「「……ZZZ」」」
寝てるだけかよ!
エルフのお姉さんが気が付き、3人にチョップを食らわせた。
「いってぇな、クソババア!」
「暴力はんたーい!」
「そんな短気だと、嫁の貰い手が無くなるぜ先生ー?」
「余計なお世話です!」
元気な子どもにエルフのお姉さんが叱りつつ、授業が続く。




