108.(?)嵐の前の静けさ
サブタイトルに(?)を付けた理由は後で解ります。
あまり読んで気分の良い話ではないので、111話まで読み飛ばしてもらっても問題ないです。
・新魔王視点
今は夕刻。余と余の軍は7日ほど行進し、城からこの場所へとたどり着いた。
ここが、例の森、金眼夜叉が居るという森だ。
「ガルルル!(魔王様、我々が金眼夜叉を必ずや倒しますので、どうかここで待機を……)」
「ならぬ! 金眼夜叉! 余がこの手で葬ってやるうううううう!」
引き留めようとする側近を振り払い、余は森に入った。
◇ ◇ ◇ ◇
・トミタ(猫)視点
ぶぇっくしょん!
俺は鼻をすする。
「にゃんこさん、風邪です~?」
アウレネに『心配いらない』と書く。
誰か俺の噂でもしてるんだろうか。
「キュオオオオオン!(おい老婆! その肉は我が食おうとしていたのである!)」
「黙れこのガーゴイルめが! バステト様、串肉が焼けましたのじゃ!」
オークの串肉を受け取り、かじる。
モグモグ。豚肉の味がする。
でも、イノシシもどきの肉の方が美味いなぁ。
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森に侵入者、魔獣501体。
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称号【森の主】による森への侵入者情報が頭に流れる。
【鑑定】っと。
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鑑定結果
侵入者:魔王ゴルンとその配下500体
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魔王ゴルンって誰だよ。
アウレネに『魔王ゴルンって知ってる?』と書く。
「ゴルン? 新魔王のことです~?」
俺は今使った板をバキッと割り、かまどに突っ込む。
かまどの燃料のほとんどは、俺が文字を書いて使わなくなった板だ。
新しい板を取り出し、『そいつと配下500体が森に侵入したらしいぞ』と書く。
「「……」」
アウレネとシルフ婆さんは顔を合わせ、ニヤリとする。
「ゴミ掃除か、久々に腕が鳴るのう」
「弓の練習にもってこいです~」
『倒す気満々かよ。まずは話し合いだろ』と書く。
問答無用で攻撃してくるなら容赦しないが、そうでないのなら平和的に済ませたい。
だが、俺のささやかな願いは叶わなかった。




