登城
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誤字脱字報告。助かります!国語力が低いので、正しい文法が分かってない自分であります!よろしくお願い致します!
王城に向かう馬車の中
叔母と向かい合って座っているトリステスは、俯き、ずっと自分の膝に置かれた手を見ている
頭の中は、昨日叔母に言われた事を思い出していた
『なんでそんな……王太子と二人で遠乗り? 逢引としか思われないじゃない。しかも、何度もだなんて……………兄さんに何て伝えれば…』
頭を抱える叔母の姿に、失望させてしまったと自責の念が渦巻く
叔母は『卒業出来ずに辺境伯領に帰る事になるかもしれない…』と言っていた
王都に執着がある訳では無かったが(学園を卒業出来ないのは嫌だな…)とは思う
そんな風に思っても自分の失態は理解していて、何かしらのお咎めも覚悟している。
せめて、エインガー家に迷惑が掛からない程度で済むことを祈っていた
自分の行いの後悔と…今日の登城の事で、トリステスは殆ど眠れなかった
◇
王城に到着すると、そのまま直ぐに謁見室に案内される。
トリステスは、先に室内に居た人達に驚き目を見開いた
(………彼女達は)
謁見室には
ラクリマ伯爵とティア。そして、シリッカ子爵とリールが居た。
用意された椅子に座っている各々は、皆同様に顔色が悪い
特にリールの表情は、この世の終わりの様だった
(………そう言えば…ウィリアム様と懇意にしている令嬢が、何人かいると噂で聞いた気がする。それが彼女達?…………………いや……私もその内の一人か……)
噂を聞いた時。自分も含まれていると思わなかった事に、トリステスは呆れた笑みが浮かんだ
椅子に案内され着席すると程なくして、国王陛下が現れる。
全員が起立し頭を下げた。
陛下以外にも聞こえる数人の足音
陛下が席に着き「楽にして良い」と声が掛けられ
顔を上げた一同は、陛下側に並べられた椅子に座る同席者の面子に、焦りと困惑が走る
共に入って来ていたのは、宰相のハーミット公爵とドケーシス公爵
そして、フラム侯爵
ドケーシス公爵の存在は、ウィリアムの婚約者であるクレアの存在を思い起こさせ
呼び出された理由は、やはりウィリアムと令嬢達の交流を言及するものだと察するのだが
宰相まで帯同する事態なのか?と言う焦り
そして、この場に現れたフラム侯爵の役割は?
彼の存在は、心構えの出来ない事態を匂わせた
「……顔を見たかったので、先ずこちらに来てもらったが…令嬢達は、今から王妃の宮に移動してもらう」
その言葉に一同に動揺が走る
「ご案内致します。こちらへどうぞ…」
侍従に声を掛けられて、三人の令嬢は困惑のまま、席に座る事なく退室を促される
リールは不安な瞳を縋る様に、何度も子爵に向けていた。
扉が静かに閉まり、陛下は重々しく口を開く
「此度は、ウィリアムの婚姻に関係する事案で其方らを呼び出した。」
残された三名は、やはりウィリアム絡みなのだ。と、娘への叱責を覚悟する。
「先ず確認したい。息子のウィリアムと其方ら各家門の令嬢との交流について、どこまで把握しているか?」
陛下は目配せでラクリマ伯爵からと促す
「……恥ずかしながら……召喚状が届き……娘に尋ねたところで、初めて…娘とウィリアム殿下とが……度々、二人きりに近い状況で交流があった事を知りました…申し訳ございません…」
(次…)と言う様な目線に、トリステスの叔母が口を開く
「私も同じく…召喚状が届いてから、問いただし…ほぼ二人きりと言う状況の交流が………多々あったと確認しました……私の監督不行届き故の失態です。申し訳ございません。」
続いてシリッカ子爵に視線が移る。
「………私も、召喚状を受け取ってから、急ぎ娘に確認しました。ウィリアム殿下との交流は、娘の部活動に興味を示していただき、度々…中庭に足を運んで下さったと……数度、昼食を共にする事もあったと聞いております。」
子爵の話が終わると、陛下は立ち上がり
「まず、謝罪させて欲しい…愚かな息子が招いた事態に…其方らの娘が共に歩まねばならなくなった…申し訳なかった。」
三名に向かって深く頭を下げた。
言われた言葉の意味を理解する前に、陛下に頭を下げられて。動揺し…三名は慌てて椅子から降り、跪く
「おやめください!陛下が頭を下げるなどと!」
「こちらの不手際です!陛下が謝罪なさる事ではありません!」
「どうか!頭をお上げ下さい!」
各々が、なんとか陛下の謝罪を止めようと必死に言葉をかける
「……いいや。下げなければならない。……愚かな息子が招いた事なのだ。……一人の親としての謝罪だ。」
陛下はスッと頭を上げ、言葉を続ける
「私はこれから、其方らに王命を下す。……それにより、其方らの差し出す代償は余りにも大きい………全て…息子、ウィリアムの咎だ。
………だが、そちらの令嬢達に咎が無いとする事は出来ない。……令嬢達に責が無い咎まで引き受けさせる形になり……申し訳無い。」
陛下は背筋を伸ばし、王命を告げる。
「…ティア・ラクリマ。……トリステス・エインガー。……リール・シリッカ。
三名は、ウィリアムの側妃と成るべく…候補に名を連ねる事を王命として下す。」
場は、静まり返る……
三名は理解が追いつかず、動きが止まる
陛下から目を離せず固まったまま、ラクリマ伯爵の顔は蒼白になっていく
青褪めた顔をしたトリステスの叔母が
「………………側妃?」ポツリと声を溢すと、
シリッカ子爵が我に返った
「お待ちください!そんな…」
大きく声を上げたところを、陛下が手を上げて制する。
「これから、王命を下すに至った経緯を説明する。」
有無を言わさない陛下の圧に、子爵の声は封じられる。
陛下が告げると、侍従が各々の椅子の側に一人用のテーブルを運び。
クレアの解離性同一障害について書かれた資料が配られた。
三名は椅子に座るよう促され、テーブルに置かれた飲み物が、長くなる事を予想させた
陛下が席に着くと、入れ替わるようにハーミット公爵が立ち上がり
「ここからは私が話をする。」
そうして、三名にとって地獄のような時間が始まった
各々が理解しても、しなくても。呑み込むしか無く
最初にリールの為に声を上げた子爵は、発する言葉を無くしていた。
◇
令嬢達は、王妃宮へと案内される。
王城と繋がってはいても、かなり距離が離れている。
最初から疲労困憊な様子のリールの足元はおぼつかず、侍女に手を添えられて歩いていた。
ティアは、毅然とした態度を保とうとしているが…気を抜くと震えるのか、ずっと手を強く握っている。
(…この子達、大丈夫かな…)
二人と比べると、少し余裕のあるトリステス。
何故なら、自分は(元々、辺境伯領に帰る…)と思っているから。
勿論、今の状況を重く受け止めているが
価値観の違いから、他の二人よりも疲弊していない
◇
王妃宮は、この国の神を祀る神殿を思わせるような建物だった。
大理石を使った白い外観に、植えられた植物も白い花が咲くものばかり。
王妃宮に案内された三人の令嬢は、その美しさを楽しむ余裕など無く
どうして、王妃宮に連れてこられたのか?
どんな話をされるのか?
どんな叱責を受けるのか?
ずっと追い込まれた思考で、侍従の後を付いて歩くのが精一杯だった。
応接室に案内され、門番のように立つ侍従が扉を開ける
王妃宮なのだから、当然、王妃陛下が居るのは予想出来た。しかしその場には
(ドケーシス公爵令嬢……)
あったはずの余裕を全て無くして、トリステスは青褪めた
リールは恐怖からなのか、小さくカチカチと歯が鳴っている
ティアは顔色を失い、蒼白になってしまった
「ようこそ 私のお茶会へ。」
クレアはニッコリ微笑み、三人の令嬢を室内へ招く。
まだ開ききってない早咲きのアジサイを、薄紫の薄紙やリボンでアレンジした飾りが置かれたテーブルには、色とりどりのお菓子やフルーツが並べられ。
香り高いお茶の準備がされている。
席に着いているのは、王妃とドケーシス公爵夫人。そして、エタンセル・フラム侯爵令嬢。
「………お…王妃陛下に、ご挨拶…申し上げます…」
ティアは、かろうじて挨拶の為の声を絞り出せた
トリステスとリールは、何も発する事が出来ず、ただただ頭を下げるのが精一杯だった。
王妃は笑顔で応える
「緊張しているでしょう?…楽にしていいのよ。ほら、クレア。座らせてあげなさいな。」
「そうですね」
クレアは侍女に指示を出し、三人を席に案内させた。
「……始めましょうか」




