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「彼女は死にました。」私はあなたの子を産みません。  作者: Kurakura


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31/49

王城は戦々恐々…

30話を越えてもお付き合い頂きありがとうございます。


「今日は城内がピリピリしてるんですよ…」


 召喚状の指示通り午前中に登城したフラム侯爵は、侍女に会議室へ案内される廊下の途中で出会(でくわ)した書記官に


「フラム侯爵!お久しぶりです。会議室に向かわれるんですか?でしたら僕がご案内致しますよ!」

と言って、侍女から案内を引き継いでくれた彼の後ろを付いて歩いていると、()()呟いた。


「そうなんだ…」


この書記官とフラム侯爵は以前一緒に仕事をした事があり。

当時、気さくに会話が出来る良い関係を築けていたので、この日も侯爵と言う立場に臆せず話しかけて来た。


「僕は今日…遅出登城だったんです。そしたら来て早々『手が足りない!』と、急遽記録係を任されて……何か、緊急案件が入ったとかで……他の書記官達は徹夜で作業してる者も居るし……そうじゃない奴も顔色は物凄く悪くて……何があったのか聞いても『話してる場合じゃない』『後でわかる』って…事務室や資料室の空気が重いし………ここでフラム侯爵に会えて良かったです。やっと呼吸出来た気分です。」

 (随分…ストレスだったんだなぁ…)

「…………あれ?そう言えば…フラム侯爵は…今、議士ではないですよね?…会議は午後からだし…」

書記官は少し振り向いて尋ねる。


「………うん…召喚状が届いてね。」

フラム侯爵は目を逸らして、頬をポリポリと掻きながら答えた。


書記官は余計な事を聞いた。と思ったのか

「あっ…申し訳ありません!詮索するつもりじゃ…」


「良いんだ良いんだ。僕が悪い立場で呼ばれてないと思うし。気にしないで 。」


そうして会議室の扉の前まで来て、書記官はペコペコと何度も頭を下げて去って行った


(…本当に…第二王太子妃候補……なんて話が出るのかな……)


扉の両端に立つ護衛騎士が会議室の扉をあける。

フラム侯爵の目の前には、広い会議室に長細くコの字に配置された議席テーブルがあり

上座の国王陛下や要職の貴族が横並びに座る場所に()()居るのを確認した。


フラム侯爵はその人物達に対して、スッと表情を引き締め一礼してから入室する。

「ロンバス・フラム侯爵様…こちらへどうぞ…」

侍従の案内に従い、上座のそこに居る方達。

国王陛下…宰相のハーミット公爵…ドケーシス公爵。の元へ向かう


「国王陛下にご挨拶申し上げます。」

陛下に最敬礼をしてから

どちらかの公爵に挨拶をしようと目を配る。

先にドケーシス公爵と目が合ったフラム侯爵は頭を下げて

「ドケーシス公爵…先日は娘がお招きに預かり、ありがとうございます。」

と御礼を述べると

ドケーシス公爵はフラム侯爵に向けて頭を下げた。


フラム侯爵は自分が頭を下げた目線より、下に見えるドケーシス公爵の頭に、驚きで汗がダラダラ出て来る

(コレはもう…絶対…エティの言ってた()…)


()()が頭を下げているのに、頭を上げる訳に行かない。


「公爵…頭を上げて下さい。お願いです!」

フラム侯爵はヒソヒソ声で切願する。


その言葉でドケーシス公爵が頭を上げてくれたので、フラム侯爵もやっと頭を上げられた。


改めて、ドケーシス公爵に向き合って顔を見たフラム侯爵は驚いた

(…酷い隈だ……こんなにやつれて…)


「先ずは座りましょう。」

ハーミット公爵がそう言って議席ではなく、壁際にある三人掛けソファの方へ移動した。


侍従が椅子を二脚、ソファに向かい合う様に置く


ソファには陛下とドケーシス公爵が腰掛け、椅子にはフラム侯爵とハーミット公爵が座った



「事の詳細は後で話すが、先ずはドケーシス公爵からフラム侯爵に確認しなければならない事がある。」

陛下がそう話すと、ドケーシス公爵が引き継いで話す。


「フラム侯爵…御息女のエタンセル嬢から()()お聞きになりましたか?」


()()聞かれて、フラム侯爵は一度ハーミット公爵を見ると、ハーミット公爵は真っ直ぐに見返してくる


(…なる程…ハーミット公爵側にはキチンと話しが通ってるのか…)


「…娘は、ヘクター殿と婚約解消になる()()、そして第二王太子妃へと打診がある()()…理由も詳細も()()()話す事は出来ない。…その打診の否応は娘が決めて良いと…その四点です。聞かされた以上の事は追求してません。」


「そうですか……ありがとうございます。」


(その感謝は追求しなかった事についてかな?)


「この後、議会で第二王太子妃を据える事に付いて話し合う……が、()()については確実に決定に持って行く。その時、王家はフラム侯爵家のエタンセル嬢に打診するつもりだ。其方の娘が話した通りにな。」


「………娘には…応じる意思があると言われました。」


それを聞いた三人が安堵の表情を隠す事なく浮かべた

ドケーシス公爵は陛下に背中をバンッと叩かれる。

「いっ」

「コレで一つクリアだな!」

そう言って陛下は立ち上がり、扉に向かって歩き出した。

「安心した!少し仮眠を取ってくる。ブレイブお前も少し休め!フルーク・ドケーシス。フラム侯爵に状況を説明しておく様に。」


「「はい。」」

二人の返事が届いたか疑問な速さで陛下は出て行った。


「かなり疲れてる様だな…力加減も声量も馬鹿になってる…」


(陛下に向かって()鹿()だなんて…ハーミット公爵もだいぶお疲れなんだな…)

人前で陛下に砕けた表現をする様子を見てフラム侯爵は思った。


「では、俺も少し仮眠を取ってくる。フルーク、後の説明は任せた。」

そう言ってハーミット公爵も出て行く。


二人残された所に侍従がテーブルをセットし、侍女が紅茶を運んで去って行く。


二人きりになった会議室で、ドケーシス公爵は事情と状況を説明した。




 会議室の上座、国王陛下や要職の貴族が横並びに座る場所に

フラム侯爵とドケーシス公爵も座っている。


上座の斜め後ろに記録係の席があり、そこに着席しているのは、朝フラム侯爵と出会った書記官。

彼は心配そうにフラム侯爵を見ている。


(大丈夫かな…朝は元気そうだったのに…)

フラム侯爵の顔色は良くなかった



進行役の書記官が口を開いた。

「本日は….ウィリアム王太子殿下とクレア・ドケーシス公爵令嬢の学園卒業後に行われる婚姻式に付いて詳細を決める予定でしたか…不測の事態により議題内容が変わりました。

そちらについて陛下よりお言葉があります。」


続いて陛下が話し出す。

「……………つい先日、クレア嬢が自ら命を絶とうとした。」


その一言に議士達が騒つく

すかさず陛下がテーブルをノックすると、その場の全員が押し黙る。


「原因は息子のウィリアムにある。単発では無く、継続的にだ。クレア嬢は突発にでは無く、()()を迎えての行いだった。」


ドケーシス公爵の悲痛な表情に注目が集まる


「また…不届な貴族達が、ウィリアムの行動に()()勘違いしたのか。王太子の婚約者であるクレア嬢を卑しめる発言を度々囁いていた。

特に学園内において、[身分の隔ての無い環境での学びを]の言葉を()()()()()認識している者が多く。()()らもクレア嬢を追い詰めた要因である。」


陛下の言った事に準ずる噂を耳にした者も居た様で

何人かの議士は顔を顰めて不快感を露わにしている


「幸い一命を取り留めたが、影響が残っており…酷く体が弱くなってしまった。医師の診断結果は、このまま王太子妃になるのは難しい。との見解だ。」


この言葉に再び会議室はざわつき始める

そこかしこから、

「他に見合う家格と年頃の令嬢は居ない…」

「クレア様程優秀な令嬢は探すのが難しく…」

「今から妃教育を始めたら何年かかるか…」

「王太子のせいで婚約者が自死未遂など、外国の王族に婚約の打診は出来ないぞ…」


コンコンコン…

陛下が再びテーブルをノックすると会議室に静かさが戻る。


「クレア嬢もウィリアムとの婚約はこれ以上続けられないと解消を望んでいる。が、

……ウィリアムが拒んでいる。愚かな息子は、(真実想うのはクレア嬢一人だ)と宣ってな。

そして今現在、新たな婚約者候補を探すのは困難という事実もあるし、

諸外国に(婚約者を自死にまで追い詰めておいて、虚弱になったから切り捨てる王族)と思われる可能性も苦慮している。

こちら(王家)の身勝手な理由により、心苦しいが…ドケーシス公爵夫妻にクレア嬢を説得してもらい

最終的に、こちらが幾つか譲歩する形で、クレア嬢は婚約の継続、ウィリアムの学園卒業後の婚姻を承諾してくれた。」


「それは良かった…」

「外聞を保つにもその方が…」

「いやでも、譲歩とは?…」

「クレア様は体が虚弱になったと言ってなかったか?…」

 ザワザワザワザワと()()騒がしくなった所で

陛下は音量を上げて話す。



「クレア嬢はウィリアムの()()()行いが許せず、触れる事を拒んだ。譲歩とは白い結婚の承諾だ。」


 その言葉に議士達は静まり返る。

意味を理解するのにしばらく要して、誰かが声を上げる

 「しかし、それでは…」

陛下はそれを手を挙げて制した。そして再び話し出す


「そもそも、虚弱になってしまった為。懐妊・出産自体が難しい。王太子妃の公務も負担が大きい。

その打開策が先ず。

エタンセル・フラム侯爵令嬢を第二王太子妃として据える。」


議士達の視線がフラム侯爵一点に注がれる。

しばらく沈黙の後


「しかしフラム家の末娘は確か…」

「いやでも、かなりの秀才と聞くぞ…」

「家格も容姿も申し分無い…」

「クレア様が正妃に付いてくれれば、第二妃の教育がゆっくり進められる算段か…」

「しかし世継ぎは…?」

「いや、それならば…」


 勘のいい議士は、次に言われる言葉に気付いている。


「ウィリアムには側妃も娶ってもらう。」

何人かの議士が予想した言葉が、陛下の口から出された。


「ここまでは決定事項で其方への通告である。

この後配る資料に載せてある側妃候補に対しての意見と、後宮の建設設置・規則構築。

クレア嬢エタンセル嬢の婚姻の時期。諸々を議論する。休憩を挟むので資料を読み込む様に。」


 そう言って陛下が立ち上がると、その場の全員が起立して頭を下げる。


 フラム侯爵は見知った書記官の方に目を配る。

書記官と目が合うと口パクで告げた

(今日は長くなるよ。)


書記官にはドッと疲れが押し寄せていた。




この議会は深夜にまで及びました( ̄▽ ̄;)

書記官君の手はプルプルです。(;´Д`A

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― 新着の感想 ―
難解なお話だと、ハラハラしながら読ませて頂いてます 気になったのが 「示報」という単語と「したらつ」というふりがな 初めて見たので検索したのですが、どうやら一般的な単語ではない様子 また、「したらつ…
書記官もこの場で明かされた事実に心底『マージーかーよー!?』ってなってると思う… 超過勤務手当出るといいね…!! あと代休。
 バカ様の愚行の影響甚大…(´;ω;`)
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