第155話
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▶︎進化先
メロウフレグランス・スライムヒューマ
植物属性のスライムヒューマの進化先の1つ
様々な香りを操り、引き寄せた獲物を罠にかけ住処の森への養分に変える
かつて大きな都市が森林へと呑まれた際、その森の中心にメロウフレグランス・スライムヒューマが居たという記録が残されている
そのため発見されると厳重な監視の下、住処の森ごと管理される
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これがメロンの進化先、順当進化って感じの説明文だね……なんか文明崩壊を引き起こさせるような文章書かれてるけど。うちの子たち、時々国の管理が必要なぐらいの種族になることあるなぁ……そんなことを思いつつも進化させる。
進化させたメロンは心無しかちょっとサイズアップ。咲いていた桃色の花と黒色の花も大きく艶やかになり……紫色の花が新しく咲いていた。
「身体が花畑みたいになってきたね……」
新しい花ということは状態異常増えていそう。早速、ステータスを確認……
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メロンlv1/80
種族:メロウフレグランス・スライムヒューマ
(第4進化)
HP:600/600
MP:400/400
スキル
《悪食》《打撃耐性・Ⅱ》《悪食》
《種子作成・Ⅴ》《光合成・Ⅳ》《品種改良》
《酒肉華の香り》《暗黙華の香り》
《恐毒華の香り》
敵に恐怖と猛毒を与える匂いを放つ華を咲かす
効果は長時間嗅ぐほど強力になる
味方には効果は無く発動は任意
《花畑生成》
MPを消費し自分を中心として花畑を生成する
咲く花は香り系の能力の花となり、その効果も内包している
花畑はMPを消費し続けることで広げられる
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私たちがあまりにも《罠作成・植物》を使わないから消えちゃった。でもあれ敵が罠にかかる前にレモンやアセロラが敵を蹴散らしちゃうから仕掛けても無駄になってたんだよね。
(罠として設置した植物は回収できないし……微妙に使い道が難しかった)
その代わりに増えた《花畑生成》はプルーンの《寒獄生成》みたいなタイプのスキル。こっちは結構使いやすそう……花の香りが何処まで効くのか後で実験しなくちゃ。
「んー……後は今まで通りだね」
「プラァ……」
性格の方も今まで通り……凄い眠そうにしてる。あ、これそろそろ活動限界だね。しばらくすると電源切れたかのように寝かねない。
「これは帰るしか無いね……」
完全に寝る前にアマゼニアに戻らないとね。スライムヒューマだと連れて帰るのが大変だからさ。私はメロンの手を引いてアマゼニアに帰還した。エレベーターまではなんとか連れて来れたね……その後はみんなで頑張って拠点まで連れて帰った。
「今度からメロンの活動限界には気をつけよう」
「ZZZ……」
私は爆睡しているメロンを見ながらそう思った。本当にここまで連れてくるの疲れた……今度から台車でも用意しようかな?ストレージに入れとけるし。
私はそんなことを思いながら休むためにお茶の準備を始めた。
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メロンが進化して何日か経過した。ちょっとリアルの方で忙しくてログインがあんまりできなかったけど、イベントに向けての準備はなんとか終わらせられた。薬の販売も順調……貯金が大分増えたね。
(イベントは明日。できたらレンシアやチェリモ、ドランたちの育成もしておきたかったんだけど……)
こっちは育成の方はあんまりできなかった……ドランに関しては今回連れていくつもりだったからちょっとキツい。まぁ、それでも連れていくけど、あの子はヘルゲート・ガーディアンとの戦いで活躍する可能性があるからね。まぁ、連れていくメンバーに関しては良いんだよ……問題は。
「何があったんですか?凄い怒ってますけど?」
「んー?怒ってるように見える?」
私は目の前の笑いながら圧を放つクティアさんに話しかけた。なんか周囲の空間が澱んでるような気配が……これはかなりの激おこです。
(後輩の神官たちがビビってるわけだよ……)
メロンの試練を受けに来たら神殿内がピリピリしてたんだよね……何事かと思って近くの子に聞いたら、神殿の集まりに行ったクティアさんが異様な圧を放って帰ってきたんだとか……絶対、集まりで何処かの神殿が喧嘩を売ったきたね……大凡予報は付いてるけど。
「精霊ですか?それともゴブリン?まさかとは思いますがドラゴンですか?」
「ドラゴンよ。精霊とゴブリンはあれから静かだからね……ふふふ、まだあの勘違い女は自分の立ち位置を理解してないのよね」
ドラゴン。元王族の人か……この様子を見ているとクティアさんとは本当に仲が悪いんだろうね。今回は何言われたんだろう?
「あの女……今回の戦いはドラゴンの神殿が取り仕切るって言ってね。自分たちは美味しいところを持っていけて、他の神殿はその補助をするような作戦を堂々と言ってきたのよ」
「うわー……」
自分たちの成果しか考えてないのか。ドラゴンの神殿の体制が気になるなぁ……りゅかちゃんの様子からして『強さこそ正義』みたいな感じじゃないと思うんだけどね。他のドラゴンの神殿所属の人も普通の人だったし。
(トップの暴走かな……)
ちなみに作戦の方は中央神殿が取り仕切ることになった。作戦内容はどの神殿も活躍できるもの……私たちスライムの神殿はサポート要員だね。
「そういえばうちからは何人出るですか?」
「6人ね。旧ノーステルマまで行けた子があんまり居なくて……頑張ってくれてはいるんだけどね」
6人。まぁ、思ってたより多いから良いや……私1人だったらどうしようって思ってたからね。その時はその時でどうにかするけども……
とりあえず配置の位置も教えてもらうと私たちスライムの神殿は獣系と鳥系の補助っぽい。あ、これ思ってたよりも仕事多そう。獣系と鳥系って統一が多い種族だし。
「他の神殿に迷惑かけちゃうから目立ってきてーとは言わないけど、ドラゴンの神殿よりは活躍してきてねー」
「できるだけ頑張ってきます」
サポート役で戦闘役より活躍するの難しい気が……でもできないなんて言える雰囲気じゃないからね。本当に頑張ろう。
少し話して気が晴れたのかクティアさんの圧が和らいだ。これなら大丈夫だろうと思った私は澱むような圧の中で寝ていたメロンを連れて試練へと向かった。




