第147話
「さて忌避剤の効果はどんなものかな?」
次の日、私は忌避剤を使って葉獣の樹海に来た。一応実験で王都周りのフィールドで試したけど……何処ぞのカマキリ以外は寄ってこなかったね。
(あのカマキリのヤバさを思い知らされたね……)
格上だろうがお構い無く襲いかかる……戦闘マシーンのような思考回路してる。まぁ、強さ自体は今の私たちなら脅威では無かったね。
「あくまでも襲われにくくなるだけ……気にしないやつには効果が薄いことは覚えておこう」
そして肝心の葉獣の樹海だけど……入って5分くらい経過しても襲われていない。これは上手くいったかな?
(やっと採取できそうだね)
とはいえ完全に安全なわけでは無いから気をつけていこう。ちなみに今回のメンバーは前回と同じメンバー……採取メインだから慣れてる子たち連れてきた。
私はライムたちが周りを警戒してくれている間に採取をしていった。いくつか採取した中で興味を引かれたのはこの2つかな。
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葉獣草
葉獣の樹海に広く生えている薬草
微量の興奮作用のある成分を含んでおり
その成分は食べた生物に蓄積されていく
蓄積すると危険だが、調整すれば武器になる
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破魔草
呪いに対して強い浄化作用のある薬草
あまりに強力故に弱い闇属性のモンスターは近づくことができない
魔除けに使われる縁起の良いものでもある
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葉獣草は沢山取れるんだよね。恐らくはこの場所の食物連鎖の植物枠……これを食べた草食モンスターを肉食モンスターが食べる。そして蓄積されていた成分で興奮状態になっていく。
(生物濃縮って言うんだったかな?まさかゲームでそれが出てくるとは思わなかった)
でもこれは上手いこと作れば戦闘用の薬が作れそう。ちょっとパラサイトマッシュルームと同類の臭いがするけども……これ見た目がちょっとヤバい方のクスリの材料っぽいし。
破魔草の方は聖水の材料に良さげ。ちょっとルベリーが触れると危なそうだから、拠点で扱う時は管理に気をつけないと。
「まぁ、呪いに関するものじゃなきゃ手を出さないか……」
あとの素材は既存の薬の性能をそこそこ上げるのに使えそうなもの。かなり種類あるから今回は割愛かな……やっぱり樹海は素材の宝庫だね。
「ギュロロロ!」
「おっ、やっとモンスター出てきた」
出てきたのはステゴ。忌避剤の材料に使ったから効果無いのは分かってた……とりあえずアセロラに焼却してもらおう。念の為にレンシアに動きを止めてもらうか。
「スナァ……!」
「メララララ!」
「ギュロロロ!?」
ステゴは砂に絡め取られ炎で焼かれてローストステゴになった。そういえばステゴって草食だから肉食べれそうだよね?
「素材に肉無いから試せないんだよね……」
あったとしても料理は専門外。ライムたちがやってるのは料理っていう名の何かだしね。偶にダークマターが製造されてゴミ箱に送られてる。
(今度あのダークマターで薬作れるか試してみようかな……いや無理か)
元になる材料が毎回違うし……あれを材料にしたら本当にヤバい代物が出来上がりかねない。偶にやばい臭いとか音がするからね。むしろあれを材料に忌避剤を作れば良かったのでは?
「昨日の疲れが残ってるのか……思考が変な方向行くね」
これは今日は調薬するのはやめとこ。変なミスしそうだし……私がそう思った時だった。
ゴゴゴゴゴ!!
「わっ!?何!!?」
突然、地面が大きく揺れ出した。揺れはかなり大きくて転びそうになったが、しばらく揺れは続きジワジワと収まっていった。
「地震?初めて遭遇したね」
なんだったんだろう?ここは特に地震が起きるとか聞いてないし……
「なんか不安になってきた。余震とかあると怖いし帰ろうか」
揺れのせいでエレベーター動かなくなると困るしね。私は採取を切り上げてアマゼニアへと戻った。そしてこの時はまだ知らなかった……世界各地で異変が起きていたなんて。
◇
side???
『舞台装置は動き始めた。捨てられた神獣たちよ……己が使命を思い出しなさい。混沌の名の下に』
ココロ「今回短くない?てかもうイベント?」
作者「前回は前置きか長くて字数オーバーしちゃったんだよね。一応、今回の地震は前触れだからイベントはもうちょい先だよ」
ココロ「ちなみに難易度は?」
作者「前回よりも難しいよ」
ココロ「oh……」




