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【書籍化】スライムマスターちゃんのVRMMO  作者: アザレア
第5章 第4回公式イベント 浮上都市編
148/175

第129話 (チェリー視点)

お待たせしました

書き直ししたり、仕事が忙しくて投稿が遅れました

しばらく投稿が不安定になるかもしれません

ご了承ください



side チェリー


「今日こそボスを倒すぞ〜!」


「気合い入ってますね。チェリーさん」


「そりゃね〜。前回はあと少しってところで失敗しちゃったし……今回で倒し切っちゃいたいからね〜」


 あそこのボス討伐1番乗りしたいんだよね。昨日はココロちゃんとナギちゃんがボスを倒したらしいし〜……今日は2人とも忙しくてログインできないらしいから追いつきたい。


(ココロちゃんは家庭の事情だけど……ナギちゃんは自業自得だったね〜)


 学校の課題をやらないで来て明日までにやってこいって言われてた。やらないと地獄の補修行き。見せてほしいって言われたけど、感想文みたいな課題だったから見せられなかったよね〜。ナギちゃんはあの手の課題苦手だから苦戦してそう……帰る時なんて世界の終わりを悟ったみたいな表情してたし。


「本当はココロちゃんも誘いたかったんだけどね〜……最近遊んでなかったから」


「仕方ないですよ。私たち王都周辺のフィールドまでしか行けてないですし……向こうは生産で忙しいでしょうからね」


「ん〜……そうだけどさ〜」


 ミリアちゃんは真面目だね〜。そういうところが良いんだけども……私は割と適当にやっちゃうからね。お買い物も買いたいものは衝動買いしちゃうし。


「あといきなり今のチェリーさん見せたら驚くと思いますよ……パートナーが最後に会った時から様変わりしちゃってますし」


「そう?まぁ〜……ちょっと変わったとは思うけど」


「ちょっと?」


 私は近くに居たインディーの頭を撫でた。インディーは笑顔で手に持った(・・・・・)トーテムポールを嬉しそうにブンブン振る。

 インディー、イースター、マヤはみんな第3進化までlvを上げて……ツクモガミって種族になった。アーティファクト系統の特殊進化で……ココロちゃんのスライムヒューマ的な立ち位置なのかな?


(見た目は幽霊なんだよね……子どもの)


 ツクモガミは幼い容姿の子どもが進化前の物品を持っている感じ。インディーならトーテムポール、イースターはモアイ像、マヤは水晶髑髏だね……ちなみに服装はみんなインディアンやアマゾンの原住民的な民族衣装。ツクモガミって和風なイメージだけど、元になったのがあっち系だから仕方ない……逆に着物とかだと違和感凄いだろうし。


(次、仲間にする子は刀にしようかな?)


 そろそろ私とミリアちゃんも4匹目増やそうか検討してるんだけど……私は物理アタッカー要員入れたいんだよね〜。その辺はミリアちゃんのキャロットちゃんに任せっきりだったから……ソロで動く時のこと考えなくちゃ。


 この前の闘技大会はソロ向け過ぎて厳しかった……まぁ、元々人と対決するの苦手だったけど。その手の遊びは基本的に弱いんだよね……ナギちゃんが強過ぎるのもあるけど。トランプで高度な心理戦しないで欲しい……


「確かにパートナーは様変わりしてるけど……ココロちゃんもパートナーの見た目様変わりしてるし、大丈夫でしょ」


「それもそうですね」


 さて、そろそろ戦闘前のアイスブレイクは良いとして……早速、博物館に突入しよう。博物館の中は薄暗くてひんやり……お化け屋敷って感じ。


(まぁ、お化け屋敷にしては内装があれだけどね……)


 どっちかというとホラー路線にしたナイトなミュージアムって感じ。あっちもちょっとホラーっぽいけどね。第1作の南北戦争の部分が好き……


「あっ、ミリアちゃん。右の列3番目……銅鏡が敵だよ」


「了解です。キャロット!」


 キャロットちゃんがハンマーを叩きつけた銅鏡が砕け散り、黒いモヤを出しながら消失する。よし、正解だったね。


 私は昔から曰く付きの物を察知するのが得意…その道の人には霊感がかなり鋭く強いらしい。曽祖母の遺品にヤバそうな宝石があって、私の言葉を信じなかった親族がそれを相続……その人は不幸の連続に見舞われていった。他にもそんな感じの体験が色々……


(インディーを仲間にしたのも……この霊感が働いたのもあるからね〜)


 見た目は私の趣味だけども……とまぁ、ここと私の相性は良いんだよね。隠れている敵モンスターの位置をなんか察知できちゃうから、ボスはダミーと本物の差があんまり無くて……そのせいで失敗が嵩んじゃったんだよね〜。今回こそは倒し切りたい……その前にボスエリアに行かなきゃね。


「ん〜……次はそこの剣だね。そのあとはあそこの本。その隣の筆も敵だね」


「やっぱりチェリーさんの探知能力……装備の強化も無いんですよね?」


「私の装備は死霊系モンスター強化オンリーだよ……これに関しては経験とかでも無いからね」


 私にだってよく分かってないからね〜。うちの家系神職とかでも無いし〜……本当に謎。両親ですら不思議に思ってるくらい。便利だし私の趣味を安全に行うには必須な力だけどね。

 そんなことを思いながらも、私は探知役、ミリアちゃんが攻撃役で博物館を進んでいった。そしてノーミスで無事にボス部屋まで辿り着いた……扉近くに居たアーカイブの人に話を聞いてみると、まだ誰もボスを倒せていないって。よ〜し、頑張るぞ〜!


ギィィィィィ……


 ボスの部屋への扉を開ける。扉の先にはいくつもの物が所狭しと並べられた棚……倉庫のような場所だった。並べられている物はどれも曰く付き……微妙に霊感が働く感じ。


「ケタタ!ケタタタ!」


 扉が閉まると私たちの前に南米とかアフリカの雰囲気がする人形が出現する。人形は宙に浮いていて……憎たらしさを感じさせてくる笑い声を出してる。うーん、ムカつく。何度もこの笑い声聞かされてるからね。


「ケタタ!」


 私がムカっとしているとボス人形はポン!と音を立てて消えてしまった。隠れんぼスタートだね……私は目を瞑ってボス人形の位置を探す。他の物品の気配が邪魔してくるけど……あれは一際邪悪な気配が滲んでるからね。


「10時の方向。緑の巻物に変身しているよ〜」


「了解です!モロコシ!」


「コーン!」


 私はボスの位置を特定。ミリアちゃんと共有……ミリアちゃんのパートナーがボス人形を攻撃する。


「ケタタ!」


 攻撃を受けたボス人形は笑い声を出しながら再び消える。また隠れたね〜……再び目を閉じて位置を探ろう。


(まだ前半はなんとかなるだよね〜……後半からキツいけど)


 今は偽物が無いからね……時折、邪魔するように呪いがあちこちから飛んでくるけど、それはインディーたちが守ってくれてる。この子たちは呪いに対して強いからね〜……マヤに至っては呪いがメイン能力だし。

 私はそこからボス人形を探していく。そして5回連答したところで空気が変わった。


「ケタタ……ケタタタタタ!」


 ボス人形が更に高く笑い声を放つと2体に分裂した。ここからボス人形の偽物が出現……正解する毎に2体から4体、8体と倍々に増える。多分、最後は32体の中から正解の1体を探さなきゃいけない。偽物と本物の差は殆ど誤差レベル……8体から本当に辛い。


「スゥ……ここからはより集中していこう」


 私は更に気を引き締めて気配を探っていく。偽物が増えた分、飛んでくる呪いが増えている……あまり時間をかけているとミリアちゃんたちが大変。とはいえ焦ればミスの要因となってしまう……


(こっちは偽物……こっちが本物だね)


 私は僅かな差を読み取って本物を探す。後半1回目は成功……4体に増えて2回目に入る。せめて8体まではノーミスで。


「4体……こっちの2体は偽物かな」


 私たちから離れようと限界まで遠い2体。ここのボスはかなり性格悪いからね。あんな分かりやすい場所には隠れない……と思わせて遠くに居ることもあるんだよ〜。本当に性格が悪い。


「うーん……こいつかな」


 誤差レベルの差をなんとか読み取って答えを出す。今回も無事に正解……ボス人形は8体に増える。そしてあちこちにまた散らばっていく。うー……ここからが本当にキツい。


(数が多いと1個1個区別できないんだよね〜……)


 前回はこの段階で5回もミスしちゃった……できればここは2回で抑えたい。


「これとこれは違う……こっちの方はさっきの位置からして居る可能性は薄い」


 私は頭を必死に回して場所を探る……なんとか2体まで絞れたけど、ここから絞るのは難しい。どっちも感じる嫌な気配が同等……位置もおかしくない。50:50かぁ……これは直感で行くしかない。私は自分の勘を頼りにミリアちゃんに伝える……が。


「ケタタタタ!!」


 外してしまいボス人形は笑い声と共にまた隠れた。偽物の配置も変化する……


「ごめん。ミリアちゃん〜」


「大丈夫ですよ。まだ9回ありますし、これからです!」


 ミリアちゃんからの激励を貰い、私は再び気配を探っていった……今度は間違えない。私はミリアちゃんの期待に応えるために感覚を研ぎ澄ましていく……そして一瞬の揺らぎを感じて位置を特定した。


「ケタタ!」


 今回は無事に正解……そして偽物がまた増える。16体……前回はここでミスしちゃったんだよね。


(偽物の数もそうだけど……飛んでくる呪いの数が本当に辛い〜)


 これで焦らされてミス連発……10回失敗でボス部屋からボッシュートされちゃった。今回は呪い対策で大枚叩いて聖水を沢山買ったから心の余裕があるけど……時間はかけてられない。

 私は沢山の偽物の中から本物を探す……しかしここで4連続失敗。呪いの数を気にしないようにしていたつもりなのに……心の何処かで引っかかっていたかな。それでも緊張感をなんとか乗り越え……残り5回を残して32体へと突入した。


「うっ……頭が疲れる……」


 32体分の気配……16体の時でも結構疲れたけど、その倍は本当に辛いね。飛んでくる呪いの数も弾幕みたいになって猶予が全然無い。


「ケタタ!」


「くぅ……外した……」


 偽物の数と呪いの弾幕による極度の緊張感が私の感覚を掻き乱してくる。気配も多過ぎて気持ち悪いし……そんな状況下で見つけ出せる訳もなく、遂に失敗9回目……解答権はあと1回だけとなっちゃった。


(あと1回……崖っぷちだね)


 今の精神状態で当てにいけるかな……私は不安で胸がいっぱいになった。そんな時、ミリアちゃんの言葉が心に火を付けてくれた。


「大丈夫ですよチェリーさん!ここまで来れたんですから……チェリーさんの感覚を信じます!」


「ミリアちゃん……」


 こんな状況でも笑顔で私に明るい言葉を送ってくる。重く心に乗っていた緊張感が薄れていき……いつもの精神状態になれた。そして32体の中である1体に物凄く感覚が働いた。


(緊張感が解けて……感覚の鋭さが上がったかな?)


 ただその1体が合ってる保証は無い……でもミリアちゃんは信じるって言ってくれたし、私もこの感覚を信じよう。私はミリアちゃんにそいつの場所を伝えた。そしてキャロットがハンマーを叩きつけた。結果は……正解だった。


「ケタタタタタ……!?」


 当てられたボス人形は今までに見たことの無い反応を見せる。憎たらしい笑い声は壊れた玩具のようになり、身体の関節もガタガタと変な動きをする。そして糸が切れたように脱力すると地面に落ちてバラバラに……光になって消えてしまった。


「倒せたの……」


「そうみたいですね……」

 

 ボスを倒せた私たちはその場にペタンと座り込む。嬉しいけど……疲れた。頭回し過ぎてゲームの中なのに酸欠してるみたいな感じがする……でもこれでココロちゃんやナギちゃんの隣に並べるかな?


(とりあえず……休憩終わったら今はミリアちゃんと喜び合うとしよ〜)


 私はそう思いながら目を閉じて深く息を吐いた。



次は主人公視点です

とりあえず今月中には出します!

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