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【書籍化】スライムマスターちゃんのVRMMO  作者: アザレア
第5章 第4回公式イベント 浮上都市編
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第122話

最近、短めですみません




 風笛の霞森……後半はコピーミミック・トレントだらけ。色んな種類のモンスターの姿をしたコピーミミック・トレントたちが襲って来たけれど……正直、雑魚だった。


「まぁ、多彩ではあったけどね……ならないやつも居たけども」


 色んな姿を模倣できるコピーミミック・トレント、しかしその模倣には制限があった。

 まず肉体があること、ゴーストや精霊などの肉体を持たないやつは模倣できない。次に固形の身体があること、スライムのような液体の身体を持つ生物は模倣できない……樹液でいけそうではあるけどね。最後に常に浮いているもの。コピーミミック・トレントは鳥系を模倣しても飛ぶ能力は模倣できない。なので常に浮遊している相手はコピーできても動くことすらできない。


「今までの場所に比べるとモンスター弱めで攻略難易度低め……って思えるけどね」


 これボスが厄介なパターンだね。今出てきた模倣されたモンスターたち……その中にあれ(・・)を一度も見ていない。模倣できないタイプでは無いし……ボスで出てきそうな雰囲気が。


「まぁ、スチンとアセロラ居るしなんとかなるか」


 私の想定なら強いと言ってもそこまで強くないはず。そう思っていると私はボスエリアらしき場所に辿り着いた……他のと比べて一際太く大きな木、その幹の上の方にはコピーミミック・トレントの蕾……それもかなりの大きさで、中身はかなりの大型なモンスターと予想できる。


パキ!パラパラ……


 私たちが立ち入ったのを感知したのか蕾が剥がれ落ち始める。そして中にいたモンスターが地面へと零れ落ちた。蕾から落ちたのは4本の足に2枚の翼、長い尾に角の生えた頭……竜、それも恐竜モチーフの亜竜なんかじゃない。西洋の竜の姿をした竜だった。


「ヒュ、オオオ、オォォ!」


 偽物のドラゴンは笛のような鳴き声を上げる。そして息を大きく吸い込むと口から葉の混じった風のブレスを撒き散らした。


「ヒヤァ」


 風のブレスに対してプルーンが大盾を構えて前に出る。風のブレスはノックバックが強く、混じっている葉が刃として機能している。しかし氷の大盾は表面に薄い傷がいくつもできるだけで済んでいる。これが炎のブレスなら厄介だっただろうけどね。


「ヒュ、オオオ、オォォ!」


 ブレスを防がれた偽物ドラゴンはブレスを止めると物理戦に持ち込もうと向かってくる。それに対して私はプルーンに下がるように指示、偽物ドラゴンは妨害も受けず、ある程度近づいてきたが、地面が爆ぜて偽物ドラゴンの動きを止めた。


「プラァ……」


「さっきの風のブレスの時に種まきは終わってたんだよね」


 プルーンの退路を確保し、ここに来るまでに有効だったものをね。向こうの図体が大きいからプルーンの退路を用意しても問題無く引っ掛けられた。


「ヒュ、オオオ、オォォ……」


「あー、やっぱりボスだと効き目が薄めか……まぁ、効いてるだけ良いけど」


 そもそも品種改良をしているとはいえ、ただの植物だからね……最近は琴線に触れるような新しい植物も出てこないし。ボスを怯ませてるだけ優秀か。


(あれらはあれ以上の強さにするのは掛け合わせ同士が弱いんだよね……)


 あれ以上の強さにするのは元を強くしなきゃ……メロンの仕事も最近は栽培だけだし、1回使えそうな植物探しを検討しよう。テイマーギルドのランク上げも流石にするし、良いものが手に入れば今後のメロンの仕事が決まる。


「とりあえずこいつは片付けようか。アセロラ、あいつ燃やしちゃって。ボスだし本気出しても良いよ……本気の威力見てみたいし」


「メララ!」


 私の指示を受けたアセロラが意気揚々と前に出る。そして《過燃焼》を発動……人間の心臓の辺りがオレンジ色の光を放ち青く変化、そして青白い色になった。


「メラララララ!!」


 そして解き放たれるは青白い炎のレーザー。レーザーはキィィィン!!と甲高い音を奏でて偽物ドラゴンに、レーザーが当たったところが焦げて穴ができた……と、思った瞬間に偽物ドラゴンの身体を炎が飲み込んだ。


「………………!!?」


 偽物ドラゴンは掠れた笛のような鳴き声を放てず、音の無い悲鳴をあげるしかできない。植物の身体はあっという間に燃えて炭に変わり、鎮火のために暴れることも出来ずにボロボロと崩れて消えてしまった。い、威力ヤバァ……


(これは気軽には撃てないね……オーバーキルにしかならない)


 燃費も悪いみたいだしね。私はヘトヘトになっているアセロラを見た。確認すると100%にしてあったMPが5%も残っていない……MP570消費は気軽に撃つのは懐が死ぬ。


「さて、それじゃあ新しい町に行きますか」


 面白いものがあれば良いんだけどね……私はウキウキしながらボスエリアを後にした。



 監視都市アマゼニア。崖の上に作られた町で崖の下には何処までも広がるジャングルが見える。アマゼニアはジャングルの侵食と生息しているモンスターを監視するためにあり、ジャングルへはエレベーターで降りなくてはいけない……

 その他の特徴としては植物系の素材が豊富でそれらの加工品も豊富ってことだね。結構、面白い効果の薬とかあって興味を引かれてる。


「自分で採取したものじゃないと品種改良できないけど……面白そうな植物が沢山あるね」


 実験欲が湧くけれど、先にテイマーギルドでランクを上げなきゃね……ボス戦が思ってたよりも早く終わったから今から行ってくるか。私がそう思って転移のためにこの町のテイマーギルドに向かおうとした……その時。


ドォォォン!


 離れたところから爆発音が聞こえてきた。そしてその音を聞いて私は思い出した……あぁ、そういえば。


「あの人、ここに居るんだっけ?」


 嫌な予感を覚えつつ私は爆発音のした方へと向かった。爆発したのは町のハズレ……生産系のお店が多い地区の一角だった。野次馬の間をすり抜けるようにして前の方に出ると、衛兵たちが建物から人を連行して来たところだった。


「お前良い加減にしろよ!?これで何回目だ!!今度という今度は独房に押し込んでやる!」


「仕方ないじゃない。発明には破壊が付きものなんだから……少しくらい多めに見てよー」


「もう何十回も爆発起こしてるお前がそれを言うな!!もうやだこいつ……」


 メンタルブレイクを起こしかけてる衛兵に連れられて出てきたのは……お察しの通りクイラさん。その顔には反省の色が見えない……少しは反省してください。


(他人の振りしたい……)


 幸い?クイラさんは私のことを見つけずに馬車に乗せられていった。野次馬たちも「またあいつか」みたいな感じで解散していってる……正直、無視することは可能。でもそれをやったら今後クイラさんと顔を合わせにくくなる。詰所に行くか……


「差し入れというか……迷惑かけたお詫びに薬作って持ってこうかな?」


 メンタルブレイク起こしかけてるぐらいには迷惑かけてそうだしね。私は師匠の尻拭いのために薬を作ることを決めた……あー、胃が痛い。


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