第97話

　平日があっという間に過ぎ、土曜日になる……今日から闘技大会の本戦が開始される。王都には熱気が溢れていた。

「まぁ、私の出番は明日なんだけど」

　今日は自由型の本戦。属性型と種族型は明日本戦……午前の部、午後の部って感じで分かれてね。なので今日は特に忙しくもない……強いていうなら自由型のトトカルチョくらい？

「むっ、ハズレた」

　こういうタイプの賭け事なんてしたことないから中々当たらない……とりあえず倍率とか見て勝ちそうな方に賭けてるんだけどね。

　この本戦、1つ面白い点があって。出場プレイヤーの登録パートナーの種族名、進化数、lvが表示されるんだよね。ちなみに表示されるのは戦闘に出したパートナーのみ。1回も勝負に出してないパートナーは？？？で表示される。

（こういう部分から勝つか見定めるんだろうね……7割近く聞いたことないモンスターだけども）

　種類多過ぎ。特に自由型はね……なので1回戦はどういうパートナーでどんな戦い方をするのか情報を集める感じ。この情報で2回戦目以降の賭けに活用する……私にはこれくらいしかできない。

「ビリリ！」

「メララ！」

「レモンとアセロラは楽しそうだね」

　今更だけど私は自分の拠点で本戦を見ている。本戦の観戦だけどイベントフィールドの闘技場に転移して観戦するか、メニューからプロジェクターみたいにスクリーン表示で観戦できる。

　私は人が沢山居るところが苦手なのと、うちの大世帯だと闘技場での観戦が難しい。レモンとアセロラは騒ぐだろうしね。

（なので自宅観戦がベスト）

　会場の熱気も悪いものじゃないんだろうけどね。ちなみにチェリーとミリアちゃんは闘技場で観戦してる。誘ったんだけど知り合いの人たちと観戦するらしい……どんな人なのがちょっと気になるね。

（てか私の本戦……地味に面倒そうなんだよね）

　肝心のトーナメントはこんな感じ。

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種族型　第1回戦

▶︎1試合目

コガネ（虫系）vs ウオマル（水生系）

▶︎2試合目

サイクツオウ（物質系）vsカクリヨ（死霊系）

▶︎3試合目

ライオネル（獣系）vsクリスタ（精霊系）

▶︎4試合目

レギオン（ゴブリン系）vsココロ（スライム系）

▶︎5試合目

Ms.ベジタブル（植物系）vsデルタ（鳥系）

▶︎6試合目

ナギ（鱗系）vsガリュウ（ドラゴン系）

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　私は第4試合……ゴブリン系と戦うね。あと知り合いの名前があってビックリしたよね。

「デルタさん……種族型に出てたんだ」

　情報系クランのアーカイブ。私の情報かき集めてるんだろうなぁ……特にデルタさんとは第2回イベントで同じサーバーだったし。これは第2回イベントで見せてないメロンやチェリモが大事になるかな。

（まぁ、それは第2回戦で当たったらの話だね）　

　今はゴブリン対策……対戦相手の人は結構有名みたいで掲示板で簡単に情報が拾えた。どうもゴブリンの神官でパートナーは全てゴブリン派生。予選では主軸が近接型のホブゴブリン・ソルジャー2体。そこに火、水、雷のホブゴブリン・マジシャン。回復役のホブゴブリン・ソーサラーから1体を組み込んでたらしい。

「弱点属性が突けるなら魔法使い。分からないなら回復で粘るって感じの戦法らしいね」

　あと装備はどれも上質。霞森や大砂丘クラスらしい……そんな相手とやり合うのか。中々に厳しいね。

（とはいえ手の内が分かってるのがありがたい……）

　向こうは全員判明だけど、こっちは4体までしかバレてない……その差を活かして戦法を立てる必要がある。

「一応……作戦は考えてある。あとはそれを詰めるだけ」

　根本的な準備の方も終わらせてあるしね。とりあえず上手くいくかは私がどれだけ詰められるか、そして相手がどこまでスライム相手に対策してくるかだね。

（とりあえず1回戦は突破したい……欲を言えば2回戦も）

　ちなみに第1試合の勝者と第6試合の勝者はシード権がある。つまり勝てばベスト4確定……個人的に鱗系とドラゴン系の戦いが気になるよね。どっちも似てるし……この世界だとヘビのモンスターとかもブレス吐くらしいから。ドラゴンと大差無いんだよね。

「怪獣大戦争……楽しみにしとこ」

　私はそんなことを思いつつスクリーンの試合を見守る。スキルの応酬で炎や電撃が放たれて見応えあるんだよね……普通に対人戦とか導入しても良いと思う。闘技場限定とかにすれば安全だろうし。

（まぁ、そもそも闘技場がある町が無いんだけどね……私が行ったことがある町にだけど）

　次の町とかあるのかな？今回のイベントの反響によっては、しれっと運営が町に闘技場追加してそう……私がそう思っている間にスクリーンに映っていた試合の決着が着いた。

「またハズレた……うーん、賭け事って難しい」

　賭けてる金額、500Gくらいだからそんなに痛くは無いけどね。とりあえず楽しみながら儲ければいいや……なんかスクリーンに映る観客席には紙切れ投げてる人も居るけども。そして頭を抱える人も……

（これゲーム内とは言え……破産するまで賭けてる人居ないよね？）

　それは流石に可哀想……その人のパートナーが。私は呑気にそんなことを考えつつ次の試合のトトカルチョ、どっちの選手に賭けるか考えていった。