恋するおじさん Part5
馬場さんの必殺技『無明川流れ』を避けることが出来なかった。
私は胸を深く斬り裂かれ、血飛沫を上げて、倒れようかどうしようかと思案していると、馬場さんが厳しい声で言った。
「早よ倒れんか」
だよな。
私は地べたに無様に倒れると、死んだ。
死んでみると楽なものだ。もう何もしなくていいのだ。はなさんをゲットしようと頑張る必要もない。いや、ちょっと待て。なんで死んだのに私はこんな文章が書けているんだ。
はっと気がつくと、私は空の上にいた。
天国じゃない。小型ジェット戦闘機の後部座席だ。前には操縦桿を握ったモロ星人がいた。
「チュッ? チュッ? チュッ?」
モロ星人が私に話しかけて来る。意味はわからないので私は何も答えなかった。
それが幸いしたようだ。ジェット戦闘機がまっすぐ地上へ突っ込んで行く。
馬場さんと結婚式の参列者達が、一斉掃射を繰り出して来る。
しかし、これはもう見た。動かなければ一発も当たることはない。
弾丸の嵐を潜り抜け、私は突っ込んで行く。
標的は馬場さん……ではない。
その隣に並んでいる、はなさんだ。
はなさん、自分勝手します、すみません。
私と、心中してください。
どうやっても私のものになってくれないのならば、あなたを道連れにして、私も死にます。
不器用ですから。
私にはこんな結末しか選べませんでした。
すみません。
どっかーん!
ごぉーん……、ごぉーん……、ごぉーん……。
ぷすぷすぷす……。
メラメラメラ……。
目を開けると愛しいはなさんの笑顔があった。
倒れた私を後ろから抱き締め、上から覗き込んでいた。
「よくやりました。合格です」
そう言って私を褒めるはなさんに、首を傾げて聞いた。
「よくわかりません。これでよかったのですか?」
「はい。あなたはあまりにもわがままが足りませんでした。あなたはそれを身につけ、今、完璧超人となったのですよ」
「完璧超人……」
「はなさんと一緒に宇宙の果てまで旅しましょう。ダイスケさん」
初めてはなさんが私を名前で呼んでくれた。
「馬場さんは……?」
「彼はあなたに嫉妬させるためにはなさんが作り出した架空のキャラでした」
「どうりで強すぎるわけだ……」
「はなさんはずっとあなたのようなおじさんを探していました。募集をかけてよかった。一緒に来てくれますよね?」
「どこへでも、喜んで」
二人の周りには何もなかった。真っ白な光の中で、はなさんが私にキスをした。
(完)
─ 完 ─
完!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!




