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春の風
生暖かい埃まみれの風が吹く
春一番
嬉しい言葉だ
それでいて、迷惑な風だ
埃をまともに
体に浴びてしまった
身なり悪い
おっさんだが
そんな俺でも
嫌な風だ
春を教えてくれる風は
どこか
激動を教えてくれる風
今年も一年間
いろいろ大変だぞ
どこか嘲笑っているようだ
春はまだ……
しかし遠くでは
ないようだ
埃に乗って
春が近づいている
確実に近づいている
どうせなら
もっと綺麗な風に
来ればいいのに
贅沢は言えないな
埃だろうが
強風だろうが
春の暖かさには
勝てないから
冬の澄んだ冷たい空気より
春の埃まみれの新しい空気のほうが
嬉しいからだ
俺も春みたいな人間になりたい
嫌なことを運んで来ても
みんなが笑ってすましてくれる
一生叶わぬ
願望だな




