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RIN ~共に生きる異世界生活~  作者: ジルコ
第二章:メルリスの街にて
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いざ20階層

本日、40000アクセス達成出来そうですので、二話投稿予定です。

ありがとうございます。

中途半端だったのでちょっと短めです。

「じゃあ1週間くらい探索してきます。」

「行ってくるニャ。」

「はい、行ってらっしゃいですよ。」


 モカちゃんとマタリさんの見送りを背に迷宮への道を進む。とりあえず今日の目標は19階層の宿へ到達すること。そして明日は20階層のボスと初戦闘だ。MPボーションや食料は補充したし準備は完璧のはずだ。

 これからは1週間ほど迷宮を探索し地上に戻るというサイクルを繰り返す予定だ。そろそろ日帰り攻略は難しいし効率が悪い。予定を前倒ししてはいるが何が起こるかわからないから早め早めの攻略をするつもりだ。

 まだ8時前なのに空いている店を横目に見ながら進む。


「ヒナ、フルーツでも買っていく?」

「うーん、迷うけどお弁当も14食分も作ってもらったし、いらないニャ。」

「そっか。」


 14食分のお弁当は私たちが宿にいないときの食事の代わりだ。例の保存の棚をヒナが持っているので腐らせずに持ち運ぶことが出来るようになった。別にアイテムボックスでも同様の事は出来るのだがさすがにそれをするわけにはいかないしな。

 これだけ食料を持ち運ぶのにはちゃんとした理由がある。迷宮で何かあったとき用というのもあるのだが、一番の理由はギルドの宿の食事が高いということだ。もちろん魔石での支払いが可能ではあるのだが大銅貨5枚なんていう暴利の食事を食べる気はしない。味も普通らしいし。もちろん19階層まで食料などを運ぶ手間賃などを考えれば妥当なのかもしれないが、ヒナも私も食料を運ぶのにあまり手間はかからない。ならばわざわざ高い食事をとる必要などないというのが話し合った結論だった。


 迷宮に入り、ルージュの荷台にヒナを乗せて進んでいく。基本的に9階層までは魔物を土魔法で倒し無視して進む。変な噂が広がっているが特に被害が無いため、最近ではちょっとしたボーナスみたいな感じで受け入れられてきているようだ。まあ何人かの冒険者は私とヒナが倒して放置していくのを見ているからそのうち噂も沈静化するだろう。事実がわかってしまえば新しい話題に変わっていくものだ。

 10階層のボスを1分かからずに倒し、魔石と剣を回収して先へ進む。11階層以降はマップに反応があったら降りて戦うので多少進行は遅くなるが問題になるほどではない。迷宮の槍を回収するために遠回りしたりしているが、今日中には余裕で宿まで到達できるペースだ。


「あれ、そういえば新しい剣はどうしたの?」


 10階層のボスで初めてヒナが戦ったがいつも通りの剣であった。まあそれでも過剰な戦力だが。


「あの剣を知り合いに見せて鞘を作ってほしいってお願いしたら妙に乗り気になって、この剣に見合うような鞘を作ってやるって言われたからおいてきたニャ。」

「へぇ、結構かかりそう?」

「20日くらいって言っていたニャ。」

(へー、楽しみだね。)

「そうだニャ。まあ20日なら30階層のボスには間に合うだろうからいいニャ。」


 ヒナの声が楽しそうだ。後ろに乗っているから見ることは出来ないが、たぶん尻尾も振られているんだろうな。ヒナは共感で人の心を読むことが出来るけれど、ヒナの感情もしっぽを見ればすぐにわかる。共感のスキルが無くても、だれでもなんとなく相手の雰囲気で感情がわかるけれどヒナは特にわかりやすい。もしかしたら猫人族共通なのかもしれないな。


「そういえば20階層のボスってゴブリンメイジとゴブリンナイトとゴブリンの集団なんだよね。」

「そうだニャ。」

「じゃあなぜヒナ一人で突破できないの?」


 今までの戦いを見る限り、たとえゴブリンメイジが増えていたとしても倒せないようには感じない。むしろ魔法を避けて普通に接近して斬りそうな気がするが。


「ゴブリンが多いニャ。」

「えっ、それだけ?」

「それだけニャ。でもゴブリンメイジ5匹をすべて倒さない限り、ずっと出てくるニャ。」

(うわー。)

「しかもそいつらが壁になって一人じゃとても近づけないし、魔石の回収も他のゴブリンを倒している間に迷宮に吸収されてしまうから出来ないし本当に散々だったニャ。」

「無限湧きか。Lvアップにはいいかもしれないけど、しょせんはゴブリンだしね。」

「時間と武器の耐久性の無駄ニャ。」


 本当に骨折り損のくたびれもうけになるんだな。魔石の回収さえも出来ないなんて割に合わな過ぎる。でもどうやって他のパーティはここのボスを倒しているんだろうな?


(普通はどうやって倒すの?)


 あっ、ルージュも同じことを疑問に思ったか。


「普通は近接系が接近を防ぎつつ、後衛が弓矢や魔法でメイジを攻撃していくニャ。」

「それでパーティに一人は後衛がいたのか。」

「まあバランス的に近接だけのパーティなんてあんまりいないニャ。」

(そうだねー。でもちょっとかっこいいよね。近接だけで突っ込んでいくパーティ。)


 近接だけで敵に正面から突っ込んでいくパーティを想像する。確かにかっこいいが直ぐに怪我したり、武器防具の修理代が高くつきそうなパーティだな。なんとなく脳筋のイメージだし。いや、そんな冒険者ばかりじゃないだろうけど。


「ヒナは遠距離攻撃の手段を増やそうとか思わないの?」

「うーん、一応いくつか試してみたけどニャー。」


 ヒナがマジックバックからコボルトナイフを取り出し壁に向かって投げる。ナイフの持ち手部分が壁に当たり床に転がる。


「と、まあこんな感じで才能が無いニャ。」

「いや、コボルトナイフは投げる用のナイフじゃないから普通は刺さらないよ。店で投擲用のナイフを買えば?」

「お金がかかるから嫌ニャ。」


 変な所でお金を渋るんだよな。ヒナの実力なら他の冒険者より稼いでいるはずだしそのくらいは必要経費だと思うんだが。


「それに・・・」

(それに?)

「斬撃を飛ばせる魔剣があるらしいニャ。いつかその剣を手に入れるニャ。」

(おぉー、かっこいいー。)


 話が盛り上がっている2人をしり目につゆ払いをしていく。今までルージュとヒナは話すことがなかったんだ。この機会に親睦を深めてもらうのもいいだろう。

 ヒナにそれから一度も剣を抜かさず19階層のギルドの宿まで到着するという自分の中のミッションを無事に終えることが出来た。

ナイフ投げを見たことがありますが良くできるなと感心しました。

修練の賜物でしょうね。

読んでくださってありがとうございます。

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RINの外伝の小説を書いています。次のリンクから読もうのページに行くことが出来ます。 「お仕事ですよ、メイド様!!」(飛びます) 少しでも気になった方は読んでみてください。
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