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RIN ~共に生きる異世界生活~  作者: ジルコ
第二章:メルリスの街にて
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バンク

総合ポイントが160になりました。

ブックマークして頂きありがとうございます。

(ルージュ、あのパーティのいない通りを走っていくよ。)

(えー、ちょっと遠回りになるよ。)

(後ろから矢や魔法で攻撃される方が危ない。)

(りょーかーい。)


 11階層は探索を終えているから道の変更も簡単だ。たぶん5分程度のロスになるだろう。本当に邪魔な奴らだ。


(そういえばあれが奥の手?)

(まあね、一応ダンジョンの構造が予想通りで良かったよ。)

(ボス戦の奥の手って壁ぬけして背後からボスを襲うとか?)

(あっ、その発想は無かったな。一応違う用途で使うつもりだったけどそれも面白いかもしれないね。)


 11階層からは戦いよりも回避することを優先しないとな。ゴブリンナイトやボブゴブリンは1撃では死なないから無駄に戦闘を続けると魔力を消費しすぎる。MPポーションがあるとはいえ非常時以外は使いたくないしな。

 ペダルを6割程度の力で回す。10階層でしばらく待ったり、話したりしたのがいけなかったな。少し筋肉が固くなっている。しばらくはこのまま走って徐々に元に戻すしかない。

 軽く足を揉んだり、ペダルから外してブラブラさせて溜まった乳酸を流していく。


(あっ、タイチ。一時の罠だ。)

(本当だ。ありがとルージュ。よし、飛んでけ。)


 土魔法でダートを飛ばし、遠くから罠を発動させる。壁から出てきた槍が反対の壁にめり込む。


(あっ、槍の罠だったか。もったいなかったな。消費したから補充したかったのに。)

(まあまあ、また今度すればいいじゃん。)

(まあそうなんだけどね。)


 あるなら補充したいと思ってしまうのは私が貧乏性だからだろうか?まあ仕方がない。今は早く19階層へ着くのが第一だ。

 少しずつペースを上げていく。長時間、長距離を走るコツはなるべく瞬間的な力を使わずに一定のペースを守ることだ。ここで一気にペースを元に戻しても後から反動で遅くなるから意味は無い。ただでさえこの後は回避で無理をするつもりなのだ。それまでには本調子に戻さないと。


 アイテムボックスから一口サイズのワッフルのようなお菓子を取り出し食べる。迷宮焼きという名称で屋台で売っていたものだ。甘い生地のものとしょっぱい生地のものがあり、それぞれトッピングをしておやつや食事にするらしい。

 お腹はすいた感じはしないが、お腹がすいたと感じたときに補給しては遅い。内臓に負担がかかりすぎて食べられても状態が回復するのに時間がかかってしまう。そうならないために1時間につきそれぞれ2個づつを食べている。


(それ、美味しい?)

(うん、塩分と糖分がとれるからいい補給食だよ。)

(本音は?)

(羊かんが食べたい。)

(やっぱり。)


 仕方がないだろ。羊かんはいい補給食なんだ。塩分も糖分も補給出来てこの迷宮焼きみたいに口の中の水分を持っていかれることも無い。しかも小さく小分けされて、いろいろな種類があるから食べやすくて飽きも来ない。しかも手も汚れない。ビバ、羊かん。

 あぁ、この世界に羊かんとか無いのかな?今のところ小豆を見たことが無いんだよな。枝豆は発見したんだけど。あるとすればヤマト国なら可能性が高いか。どこかで輸入とかしていないか旅を再開したら探してみよう。

 本調子に戻り、再び時速60キロ程度で走行していく。ゴブリンナイトとゴブリンやボブゴブリンは基本的にこちらを見つけたら突撃しかしてこないので、6メートルくらいまで真っすぐに進み進路を急変して斜めに走れば回避できる。たまに棍棒を投げてくる奴がいるが土魔法でピンポイントの壁を作ってやれば回避可能だ。直線上ならば。


(タイチ。)

(ああ、まずいな。このままだと曲がり角でぶつかるな。)

(攻撃で倒すのは無理だし普通に回避するのは無理そうだよ。どうする?)

(このペースを乱したくない。消費MPが多いけど仕方がない。ルージュ、バンクをよろしく。)

(りょーかーい。)


 飛ばす系以外の土魔法の操作については、まだまだルージュの方が上だ。今回はルージュに任せよう。

 曲がり角が近づく。ボブゴブリンたちの歩く音が聞こえる。予想通り曲がり角で遭遇しそうだ。それじゃあ行きますか。


(頼んだ。)

(まかされた。)


 ルージュが土魔法でなだらかな坂を作っていく。その坂を登り、カーブに沿って斜めになっていくその坂を車体を傾けながら走っていく。大丈夫だ、このスピードならタイヤの摩擦があれば十分走れる。ボブゴブリンたちが驚いて私を見上げているのが見える。まあ壁を走ってる変な奴がいたら魔物でも驚くよな。

 バンクとは競輪のレース場のことで、そのレース場は外に行くにしたがって高さが高くなっていく。イメージ的には料理に使うのボウルの内側のような形だ。競輪ではこのバンクを使ってスピードアップをしてラストスパートをかけたりと駆け引きに使われる。

 ルージュが走る手前にバンクを土魔法で作り、それを利用してカーブを壁走りしてスピードを落とさずに魔物を回避できた。バンクを下るエネルギーを使いスピードを上げボブゴブリンたちを置き去りにする。


(やったね、タイチ。)

(いやルージュのおかげだ。あれだけの制御はまだ私には無理だ。)

(まあ土魔法に関しては僕の方が先輩だしね。)

(先輩、憧れます!!)

(なに、その乗り。ちょっと気持ち悪いよ。)

(えー、お約束かなと思ったんだけど。)

(かわいい女の子がするならいいかもだけど・・・)

(あっ、それ以上は言わなくていいや。)

(タイチが言うと・・・)

(だから言わなくていいって。)


 自分がしたことを改めて考えると気持ち悪いな。無いわー、いいおっさんが言うなんて無いわー。一応若返ってるけど無いなー。

 それにしてもルージュの土魔法はすごい。遠距離で発動するとMPが増大するから車輪が接するほんの数十センチ先までしか作らないのにこちらの進む方向をしっかり把握して必要最小限のバンクを作り出している。私なら今回使った2倍以上のMPがいるだろう。

 自分の努力不足を実感するが落ち込んでいる暇は無いな。


 同じような景色の中、それを置き去りにして走っていく。ブレーキをかけ止まり、ルージュをフレームの三角形部分を使って肩に担いで階段を降りて行く。ついに次は15階層。今まで来たことのない階層だ。地図では最短ルートを確認してあるがその通りにある罠の種類もわからないし、地図が間違っているなど他の要素がある可能性もある。口に水を含みゆっくりと飲み干す。両手で顔を叩き集中し直す。行くぞ!!

 残り時間はあと1時間50分だ。

バンクに実際に入ってみるとその角度の急さにびっくりします。

テレビなどの見た感じとは全く違います。

読んでくださってありがとうございます。

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RINの外伝の小説を書いています。次のリンクから読もうのページに行くことが出来ます。 「お仕事ですよ、メイド様!!」(飛びます) 少しでも気になった方は読んでみてください。
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