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RIN ~共に生きる異世界生活~  作者: ジルコ
第二章:メルリスの街にて
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発見

評価記念投稿で本日二話目です。

ご注意下さい。

「やっぱ、5階層もあんまり変わらないね。」

「新しい魔物が出るのも6階層からだから仕方ないニャ。」


 フラッシュを使いながら、ヒナと一緒にゴブリンを倒していく。フラッシュを使うタイミングや連携などを確認しているし、経験値も入るので無駄ではないのだがどうしても同じようなことが続くのであまり訓練にならない。


「そういえばゴブリンって基本的に突撃してくるだけだけど、他の戦い方ってするの?見たことないけれど。」

「ゴブリンだけの時はまずないニャ。かなりの上位種、ゴブリンキングとかが操ると軍隊のようになるから注意が必要だニャ。」


 やっぱりいるのか。ナイトがいるんだからキングもいるとは思ったが、そうするとクイーンとかもいるのか?


「まあ、こんな階層ではまず出ないから安心するニャ。」

「それはフラグだね、ヒナ。」

「なんのフラグだニャ?」


 わかり合えないことをちょっと残念に思いながらフラグに注意して進んだ。





 5階層も半分くらい進んだところで奥の方から冒険者3人が走ってくるのがわかった。


「ヒナ、たぶん冒険者。3人いるけど走ってくる。今のところ魔物に襲われている様子は無い。一応注意して。」

「わかったニャ。」


 この低階層で一番注意するべきはゴブリンではない。もちろん罠でもない。それは冒険者だ。正確に言えば冒険者のふりをした盗賊だ。

 低階層には新人の冒険者が多い。当然Lvも高くないため、あまり強くない。その新人を狙ってお金や武器、防具などを根こそぎ奪って殺してしまうのだ。死体は迷宮が吸収してしまうのでわからないし街の外へ出ない限りは盗賊かを判定することも無い。

 もちろん盗賊を捕まえると報奨金が出ることになっているので、あまり派手にやると強い冒険者に捕まえられてしまうがほどほどならわからないという厄介な存在だ。


 そうこうしている間に3人の冒険者が近づいてくる。何やら言い争いをしているようだ。


「どうかしたのかニャ?」


 ヒナが声をかける。私は後ろで奴らがおかしな動きをしたとき用にダートをすぐに投擲出来るようにしている。ルージュには光魔法を準備してもらっている。準備は万全だ。


「お前らも盗賊か?」


 冒険者3人はいきなり武器を取り出すとこちらへ向ける。


「違うニャ。こんな美人の盗賊なんていないニャ。」

「・・・。」


 あっ、ヒナが赤くなってる。アレだな。リアクションがあると思って言ったら無言だったから、自分の言ったことが恥ずかしくなってくるあの状況だな。


「2人の盗賊なんていないでしょう?」


 ちょっとフォローしておく。3人の冒険者の方が止まったままだし。


「そうだな、人数が少なすぎる。悪かったな。」


 武器は持ったままだがこちらに向けることはやめてくれた。話は聞いてもらえそうだ。


「さっきお前らもって言ったってことは盗賊に襲われたんですか?」

「ああ、ゴブリンと戦っているときに背後からな。仲間の1人が多少切られたが軽症だった。あちらが6人いたから逃げたんだが、気が付いたらその切られた1人がいなくなっててな。」

「探しに行かないのかニャ?」

「まあ、今回は寄せ集めのパーティだからな。それそれ自己責任だ。」

「シーフのお前がもっと気を付けていれば盗賊に気が付いたんじゃないか!!」

「うるせぇ、お前も気が付かなかっただろ!!」


 また、言い争いが始まってしまったようだ。あと、ヒナも復活したみたいで良かったな。


「言い争いは後でやってください。盗賊の情報をもらえますか?」

「人数は確認した限り6人。男ばかりだ。人数は多いがそんなにLvは高くないと思う。装備も貧弱だったし、まだ盗賊になりたてと言った感じだな。」

「わかったニャ。情報感謝するニャ。」


 ヒナが大銅貨1枚を冒険者に放り投げる。


「お前らもこの階層をこのまま探索するなら注意しろよ。」

「わかってるニャ。」


 そう言い残し冒険者たちは去っていった。


「それで、どうするヒナ。このまま探索を続ける?」

「話を聞いた限り私たちの敵じゃないニャ。もし危なくなってもあいつらが逃げることが出来る程度ニャ。まあ何とかなるからこのまま探索するニャ。」

「了解。」


 ヒナは決断力があるよな。時々その年齢に見合わない判断を瞬時にする。これまでの経験によるのかもしれないが。

 しばらく探索を続けているとマップに白い点が1つだけあった。全く動いていない。


「ヒナ、たぶんさっきの冒険者の仲間だ。動いていないようだから死んでいるかもしれない。」

「死んでいるならギルド証だけでも持って帰ってやるニャ。」

「そうだね。それじゃあ向かいますか。」


 盗賊に注意しながら動かない冒険者のところまで向かう。そこには胸部を槍に貫かれ、血を流しながら倒れている冒険者の姿があった。


「まだ生きてるニャ。」

「良かったー。それにしても盗賊に襲われたにしても装備とか奪われてないね。」

「たぶんアレ踏んだニャ。」


 ヒナの指し示す方向を見ると黄色いタイルが存在していた。いくら急いでいたとはいえ、あの罠を踏んだのか?


「このままだと迷宮から出る前にたぶん死ぬニャ。仕方ない、ポーションを使うニャ。」

「ちょっと待って。試したいことがあるんだ。」

「なんニャ?」

「この前、治療院で回復魔法を見せてもらったから使えると思うんだ。だから試させて欲しい。ヒナはもし無理だった場合に備えてポーションの準備だけしておいて。」

「わかったニャ。」


 クリーンは治療院で使わせてもらって先生にも褒められたけど回復魔法は初めて使うからな。ちょっと緊張する。でもイメージは何度も見たから大丈夫だ。医学書を読んで知識もある。

 刺さっていた槍を引き抜きアイテムボックスへ収納する。そして即座にクリーンを発動。

 冒険者の体から血や汚れが落ちていく。


(ヒール)


 すぐに回復魔法を発動する。刺さっていた場所から考えて肺にも傷がついているはずだ。肺も回復するようにイメージしながら発動を続ける。しばらくすると胸当てに穴は開いているが体には傷が無くなったようだ。成功だ。


「ふう。」

「やっぱりタイチはシーフじゃない気がするニャ。まあ便利だからいいけどニャ。」

「それは自分でも思う。」

「それでこいつはどうするニャ。」

「放置するのは助けた意味がないし、とりあえずは気がつくのを待つしかないんじゃない。」

「やっぱそうかニャ。」


 回復魔法である程度体力も回復しているはずだが気がつくのはしばらく後になるだろう。それにしてもあの罠にはまるなんてこの階層に居ても大丈夫なのか?1階層に比べれば多少わかりにくいとは思うが、まだまだ色がついているレベルだぞ。


「ねぇヒナ。この程度の罠にはまる冒険者って多いの?」

「いや、ほとんどいないはずニャ。戦闘中に誤って踏んで毎年何人か死んでいるとは聞いてるけれど、5階層程度ではまっているのを見るのは久しぶりニャ。」


 ということはこの冒険者はかなりの慌てんぼうということか。面倒なことにならないといいがな。

 待っている間暇だったので、先ほどまで冒険者に刺さっていた槍を取り出す。シンプルなザ・槍とでもいうべき槍だ。そういえば罠の槍が残っているのを初めて見たな。

 あれっ、罠の槍とか矢は吸収されるんじゃないのか?


「ヒナ、罠の槍とかって迷宮に吸収されるよね。」

「そうニャ。いつの間にか無くなっているニャ。」

「なんでこれ残っているんだろう。」

「そういえばそうニャ。」

「ちょっと確かめてみるか。」


 槍が飛んでくると思われる場所に土壁を作り、土製のダートを投擲し罠を発動させる。壁がぱかっと開き槍が土壁に突き刺さる。5秒待っても槍が消えることは無かった。


「あれ、これってもしかして罠から武器を取ることが出来るってことか?」

「でも罠の武器は一般的な武器だから大したことないニャ。」

「いや、予想通りならだいぶメリットがありそうだ。ちょっと待ってね。」


 土壁に突き刺さった槍を取り出し、適当な壁に向かって投擲する。槍が壁に突き刺さると5秒後に槍は消えた。


「うん、予想通り。ヒナ、これからこれ系の罠を見つけたら発動させていくからよろしく。」

「どういうことだニャ。」

「もしかするとボス戦とかで切り札になりうるかもしれない。」

すっかり走りやすい季節になりました。今の時期が一番いいかもです。

読んでくださりありがとうございます。

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RINの外伝の小説を書いています。次のリンクから読もうのページに行くことが出来ます。 「お仕事ですよ、メイド様!!」(飛びます) 少しでも気になった方は読んでみてください。
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