表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
RIN ~共に生きる異世界生活~  作者: ジルコ
第二章:メルリスの街にて
56/181

広範囲殲滅方法

昨日間違えて二話投稿しています。ご注意下さい。

そして評価を頂いたので今日も二話投稿します。

二話目は18時頃に投稿予定です。

 無事に4階層に降り、土製ダートでゴブリンの目を貫きながら下層へ続く道から外れた方向に進んでいる。実験をするために人がいない場所へ行きたいからだ。

 迷宮に入る前日に各階層の魔物と注意する点などが無いか聞いたのだが、9階層までは私には注意することは無いと言い切られてしまった。無駄にヒナの評価が高い気がするので気が付かない危険が無いかちょっと不安になってしまう。


「よし、そろそろいいかな。」


 マップを見ても他の冒険者はいないしそろそろ実験に入ってもいいだろう。


「今度は何をするニャ?」

「この前みたいに大勢の敵と戦うことを想定して、一度に敵を殲滅出来る方法を試してみたいんだ。」

「まあ、そんなのがあれば便利だニャ。私の場合、逃げながら列を伸ばして、来る奴から順番に首をはねるくらいしかないからニャ。」

「そうですよねー。」


 そうなのだ、ヒナの敵の殺し方はほぼ首はねだ。理由を聞いてみたら、首は細いし頭が無くなれば胴体は動かなくなるニャと簡潔な答えをもらった。

 ヒナと戦ったゴブリンは例外なく首がコロコロする。表現は可愛らしくしてみたが、実際は凄惨な光景だ。まあダートで目から脳を破壊している私が言う事ではないかもしれないが。


「ヒナ、前方の部屋にゴブリン3匹。とりあえず実験するからヒナは待機していて。」

「わかったニャ。相変わらず便利な能力ニャ。」


 そうなんです。マップさん超便利です。


 アイテムボックスから液体の入った容器を取り出し、松明に火をつけて準備をする。


「松明なんて使ってどうするつもりだニャ。ゴブリンに気づかれるニャ。」

「まあ実験の前段階だから。まあ気づかれてもいいし。むしろそういう状況で使えるかどうかを実験したい。」

「まあ、見ておくニャ。」


 しばらく進むと松明の光に気づいたのだろう、ゴブリンがこちらに走ってくる。ゴブリンの攻撃範囲に入る前に液体の入った容器を投げる。容器はゴブリンの手前で割れ中の液体が地面に広がった。


「うわっ、臭いニャ!!何するニャ、タイチ。」


 ヒナの罵声には答えずそのまま松明を投擲する。ボウッという音とともに一瞬火が燃え上がるがすぐに下火になってしまい一部を除いて消えてしまった。


「あー、予想してたけど失敗したか。」


 火が燃えたことで一瞬止まったゴブリンたち向かってダートを投擲しながらつぶやく。すぐに3匹は動かなくなった。


「とりあえず検証するのはいいから早くここから離れるニャ。」

「ごめん、ヒナ。」


 魔石もとらず、そのままその場を離れた。


「それであの変な液体はなんニャ!?」


 ヒナの機嫌がものすごく悪い。具体的に言うとしっぽが逆立っている。


「えっと、とりあえずごめんなさい。」

「それはいいからあの液体ニャ。」

「一応、燃えやすい液体に火をつけたら殲滅できないかなと思ったので特殊な油を混合したものです。」


 なんかいたずらを見つかった小学生のような気分だ。放り投げた液体は灯油と揮発性の高いパーツクリーナーの混合液だ。パーツクリーナーは種類によって揮発性に違いがある。個人的には揮発性があまり高くないクリーナーが好きだが、ちょっと整備したい時に使うと便利なのだ。ただ自転車用以外のクリーナーを使うと不具合が起こることもあるので注意が必要だが。


 灯油を使った理由は単純にDPが安かったから。1リットルで5DPだ。灯油単体では燃えにくいことはわかっているので揮発性の高いクリーナーを混ぜれば何とかなるかと思ったのだが無理だったな。クリーナーの量を変えれば何とかなるのかもしれないがそうするとDPを大量に消費しないといけなくなってしまうからな。


「それであの結果かニャ!?」

「はい、すみませんでした。」

「・・・まあいいニャ。ここから出たらタイチに何かおごってもらうニャ。」

「なるべく今日の稼ぎの範囲でお願いします。」

「それくらいの分別はつくニャ。」


 良かった。なんとか機嫌を直してくれたようだ。この方法はダメだな。まだ何個か配合を変えたものがあるのだが死蔵するしかないな。猫人族にとっては灯油の匂いは耐えられないようだ。注意しておこう。

 しばらくは気分転換のためにヒナにも戦ってもらって、昼食を食べたら光魔法の実験をしますか。


「じゃあそろそろ昼食を食べようか。」

「何があるニャ?」

「マタリさんに作ってもらったお弁当だね。」


 永遠の木陰亭ではお金を払えばお弁当を作ってもらえる。もちろん長期間迷宮に潜るなら初日以外は食べられないが、今のように夜には迷宮から出る攻略ならばおいしいお弁当があるのは非常に助かる。

 さっきのお詫びを兼ねてヒナにはアップルジュースの入ったコップを差し出した。


「おっ、気が利いてるニャ。よきにはからうがよろしかろうニャ。」

「ははー。」


 冗談が言えるくらいには機嫌も直ったようだ。良かった。美味しいお昼もあるし迷宮に居るとは思えないな。まあ武器はすぐに取り出せるようにしているけれど。


 さあ、お昼も終わったし本命の光魔法の実験をするか。


「あー、ヒナ。また広範囲殲滅用の実験をするんだけれど注意してほしいことがあるんだ。」

「またさっきみたいにひどい匂いがするのかニャ?」

「いやいや、そうじゃなくてね。これをつけておいてほしいんだ。」


 アイテムボックスから自転車用の遮光性の高いサングラスを取り出す。この実験用にわざわざDPと交換したもので600DPもした。


「目に着けるのかニャ?こんなのつけたら見えにくくなるニャ。」

「とりあえず実験するときだけでもつけておいてよ。」


 自分も地球から持ってきたサングラスをつけ準備をする。夜は必要ないがさすがに夏の朝の陽ざしの中、2、3時間走るためにはサングラスがあった方が楽だ。

 ちょうどいい具合に次の部屋にはゴブリンが5匹いる。早速実験だ。


 土製のダートを後頭部めがけて投げる。あっ、気づいた、気づいた。こっちに向かって4匹が走ってくる。


「ヒナ、サングラスしたね。」

「大丈夫ニャ。」

「じゃあ行くよ。フラッシュ。」


 目の前でゴブリンに向かってまばゆい光が放たれる。おぉ、実験は成功みたいだ。ゴブリンたちが目をおさえてうずくまってしまった。


「おぉー、すごいニャ、タイチ。これなら匂いもしないし動きを止められるニャ。」

「ああ、そうだな。ただ実験をしてみてこの方法の欠点に気づいてしまった。」

「なんニャ?」

「目をおさえてうずくまるからダートで目が狙えないんだ。」

「まあ、私といるときに使えばいいニャ。」


 迷宮の中は薄暗いので瞳孔が開いて光を取り込みやすいから強い光を当てれば動きが止まるのではないかと考え、予想通りうまくいったのだが目をおさえてしまうから攻撃できないとは思わなかった。仕方ない、この方法を使わないといけないときはワクコ製のダートか杖を使おう。

 とりあえず目が回復してきたゴブリンに向かってダートを投擲し倒しておいた。


 この魔法のイメージとなったのはカメラのフラッシュだ。もちろん普通のカメラではなく昭和の映画とかで見るボンっと音のなるフラッシュの方だ。

 研究室の中で昭和を題材とした映画を見たときにそれが出てきて、どういう原理なんだろうと話題になり、材料を調べて実験してみたのだ。基本的にはマグネシウムの燃焼による発光でそれを促すために硝酸ナトリウムなどを配合して燃やしてみた。量が多すぎてリアルな、目がっ、目がー、に皆でなったのはいい思い出だ。教授だけはサングラスをしていて無事だったが。


 とりあえず多少の問題はあるが、この方法なら使えそうだな。一瞬しか光らないのでそこまでMPも使用しないし。あと半分くらいしか4階層も残っていないので、フラッシュの実験をしながら攻略するとしよう。

自転車豆知識

〈パーツクリーナー〉

その名前の通りパーツの汚れを落とす薬品。

某有名汎用パーツクリーナーは揮発性が高すぎてあまり自転車には向いていません。自転車用以外のものを使うと塗装がはがれることがあるので自己責任で使ってください。


猫に灯油は毒です。中毒になるのでくれぐれもご注意を。

あとマグネシウムの燃焼は非常に危険です。遊ばないでください。

材料を手に入れる段階が難しいと思いますが。

読んでくださりありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
RINの外伝の小説を書いています。次のリンクから読もうのページに行くことが出来ます。 「お仕事ですよ、メイド様!!」(飛びます) 少しでも気になった方は読んでみてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ