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RIN ~共に生きる異世界生活~  作者: ジルコ
第二章:メルリスの街にて
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ストーカー

本日二話目です。ご注意下さい。

今日もブックマークしてくださった方がいました。

本当にありがとうございます。

(ねえルージュ、私の服焦げ臭くない?)

(まあ、気にしても仕方ないよ。)

(それって焦げ臭いってことだよね!)


 やはりあの部屋のせいで服にも匂いがうつってしまったようだ。まあ原因は自分なので仕方がないが。

 そういえばルージュは五感のうち視覚、聴覚、嗅覚、触覚がある。どこで見たり聞いたり嗅いだりしているのか疑問も残るがなんとなくとしか言えないらしい。

 まあ異世界で自転車が意思を持って話している時点で、気にしても仕方がないとあきらめている。


(それで今日はどうするの?)

(とりあえず朝の訓練も終わったし、朝食を食べたら迷宮の2階層の調査かな。)

(うーん、何日かに一日でいいから長距離乗る日を作ってね。)

(そうだね。たまには気晴らしも必要だしね。)


 帰りにギルドに寄って配達とか長距離を走れる依頼が無いか確認してみよう。


 食事を食べて早速迷宮へ来たのだが、時間を見誤ったな。この時間は迷宮に入るのに人気の時間らしい。昨日の2倍以上の人数が並んでいる。

 確かに朝から入って探索し、夜になる前に出てくる人も多いはずだからな。


(どこか違うところに行く?)

(いや、今更予定変更は面倒くさい。とりあえず土魔法で訓練しながら待つよ。)


 魔法を使っても地下で使えばよほど魔力の感知能力が高い人以外にはわからないのが土魔法のいいところだ。

 自分の下に空間を開け補強し、中で土を圧縮したり変形させたりする。見ることは出来ないので成功しているかはわからないが、MPは減少しているので何かは起こっているはずだ。


 待つこと20分、もうすぐ自分の番になると言うところで後ろの方が騒がしくなってきた。

 何でも列に並ばずに入ってきたとか。小学生か!!

 理由はくだらないがこのままでは喧嘩に発展しそうな雰囲気だ。

 それはまずい。そんなことになったら入るための受付をしている兵士さんが減ってさらに入る時間が延びてしまう。

 幸いなことに喧嘩の原因はその横入りした男が逆切れしているからのようだ。周りも援護しないところを見ると有罪確定だな。

 よし、わからないようにあの男を潰そう。


「だからちゃんと並べば入れるんだから後ろに並べ。」

「うるせえ、俺は最初からここで並んでたんだよ。小便に行ってただけだ。」

「俺たちは誰もお前のことを見ていないがどうしてだ?」

「そりゃ、お前らの頭が悪いんだろ。3分前くらいの記憶もないんじゃねえか?」

「そうか、お前の前の冒険者と並び始めたときに話したがその時から前にお前はいなかったぞ。」

「つべこべ言わず黙ってればいいんだよ。」


 よし、横入り男が殴りかかっていったぞ。殴るために足を踏ん張るところの地面を土魔法でへこませる。

 あるべき場所に地面が無かった男はつんのめって顔面を地面に打ち付ける。

 うわっ、痛そうー。

 更に殴られかけた冒険者が剣を鞘ごと振るって後頭部に叩きつける。怖っ、容赦ないな。

 男はそのまま気絶したようだ。誰も助けに行かないのは自業自得だな。

 よし、静かになった。多少遠距離によるMP消費はあったが時間には代えられないからな。

 何も関係ないように装いつつ、あと少しになった順番を待った。





(なんかタイチおもしろいことやってたね。)


 2階層の入り口の階段までの最短経路を歩きながら、周囲を見回す。同じように進んでいる冒険者が多い。この人たちにとって1階層はただの通路なんだろうな。


(別に面白くもなかったよ。もし喧嘩にならなければほかっておいただろうし。)

(でもタイチの魔法に気が付いていた人がいたんだよ。敵意は感じなかったから特に何もしなかったけど。)

(そうなのか!?全く気付かなかった。どんな人だ。)

(たぶんタイチと同じ年齢くらいの猫人族の女の冒険者だよ。)


 思い浮かぶのは昨日見た、どこかで見たことがあるような女の子の冒険者だ。


(一応ばれないようにやったつもりだったけど。)

(まあ、上には上がいるってことだね。)


 訓練を一生懸命やってきただけにちょっとへこむな。まあルージュの話を聞く限り特に問題は無さそうだから大丈夫か。





(ねえ、ルージュ?)

(うん、つけられてるね。)


 2階層に降り探索を開始した。この階層もマップを完成させようと思っているのですべての部屋を回るべく右回りに進んでいた。最初の方は他の冒険者もいたがしばらくすると3階層へ続く道から外れたのか冒険者の数が急に減った。

 つけられているかなと思い始めたのはそのころだ。そして今、行き止まりだった部屋から戻ってきて、来た道と別の道へ進んだのだが追跡者はその行き止まりの部屋には行かずこちらを追ってきたのだ。


(何が考えられると思う?)

(本命はさっきの喧嘩の時に使った魔法かな。大穴で僕を狙っているとか。)

(ですよね。)


 まだこの街に来てから日も経っていないし、人に恨みを買うとか、目立った行動をするとかはしていないはずだ。知り合いさえほぼいないからな。


(まあ、妨害もしないし敵意もないみたいだから放置でいいんじゃない。)

(そうだな、何か変化がないか注意したうえで普通に探索を続けるか。)


 とりあえず危険は無さそうなので問題を先送りしよう。





 そういえば2階層に来てそれ以外の問題が発生した。正確には1階層でも問題だったのだがそれが増えたと言った方が正確か。

 その問題の原因はゴブリンとの遭遇率が高くなったことだ。1階層ほど冒険者がいないため外れた道を行くとほぼ確実にゴブリンと遭遇する。別にゴブリン自体が問題なのではない。1階層に比べれば近づくときのスピードが多少速くなっているように感じるのでLvが上がっているのかもしれないが相変わらずダートの一撃で死ぬ。

 問題なのはそのダートを回収する必要があることだ。10センチ以上刺さったダートを引き抜くと納豆のような粘ついた緑の液体がダートにへばり付いているのだ。

 テンションはだだ下がりである。

 とりあえずいらないぼろ布でふいた後、袋に入れてまとめている。溜まってきたらマジックバックに入れるふりをしてアイテムボックスに収納する。帰ってからこの数のダートの手入れをするのは大変そうだ。

 せっかくワクコが作ってくれたダートだ。手入れをせずに悪くするのはもったいない。


(ルージュ、今ので何匹目?)

(今が64匹目かな。このままいけば100匹達成できるかもね。)

(いや、別にいいから。)


 追跡者がいるせいでアイテムボックスから土の塊を取り出して圧死させることが出来ないのが微妙に不便だ。圧死の場合、まあいろいろと汚いものが見えてしまうが魔石が取り出しやすいし武器も汚れないお得な方法なのだ。


(とりあえずダートの訓練だと思うしかないな。)

(行動がワンパターンすぎてあまり訓練にならないと思うけど。)

(ぐっ、そのとおりだけどさ)


 今後もこの問題は発生しそうだから何か対策を考えた方がいいかもしれないな。


(あっ、タイチまた罠だよ。)

(そうだね。今度の罠は落とし穴っぽいな。)


 相変わらずわかりやすい黄色のタイルの床があり、周囲の床が周りの床と色が違うためおそらくあの床が抜けるのだろう。1階層に比べれば黄色がちょっと床の色に近づいている気がするので罠もランクアップしていくのかもしれない。

 マップにメモをしながら罠をよけつつ歩く。

 追跡者がいるので土の塊で罠を発動させることが出来ないので、避けるか解除するかしかない。こう考えると土の塊ってとても便利だったんだな。


 6割以上うまったと思われるマップを見ながら本気で追跡者を撒こうか考え始めた。

ストーカーの話を聞くとやり過ぎの場合と被害者が過剰すぎると思う場合があります。手紙を出しただけでストーカー扱いはさすがにかわいそうです。まあそれ以外に何かしていたのかもしれませんが。

まあ、人に迷惑をかけてはいけないですよね。

読んでくださってありがとうございます。

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RINの外伝の小説を書いています。次のリンクから読もうのページに行くことが出来ます。 「お仕事ですよ、メイド様!!」(飛びます) 少しでも気になった方は読んでみてください。
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